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環境主義住宅を解く 第59回

 鳩山さんはこの国を、環境主義の国として世界に認めさそうとしているように思える。少なくとも12月のCOP15ではそうだった。でもうまくいかなかった。でも粘ってほしいと思う。「粘るから協力して」と言われれば、協力するからさ。いや、もちろん個人的に鳩山さんからそんな言葉をかけられるわけではない。国民に呼びかけてくれれば、少なくとも私はプライベートでも仕事でも協力したいと思っているということだ。

 この連載期間の5年間で「環境主義住宅」はどこまで広がっただろうか?
 しかし実はこの5年間で、私は「環境主義」からの家づくりのアプローチをしなくなった。「家」というものを様々な視点で眺め、たくさんの「家をつくる人」や「家を建てようとする人、リフォームしようとする人」に会って、環境から家というものをアプローチするより、家に求めるもの、家に求められるものをきちんと考えていけば、環境に行き着くんじゃないかと考えるようになっている。

 ただ、私の考える「求められる、求めるものがある家」というものは、それほど特別なものではない。私は仕事柄「特別な家づくり」をする人に出会うことが多いが、そんな人を眺めながら、「特別なものではなく、いまと未来の状況に置かれた、日本人が住むにふさわしい家」という地平を探してきたように思う。

 私にとって西村さんは特別な人だ。最近では長電話もしなくなったが、西村さんとの議論というか、それぞれがそのときに考えていることの確認作業は、私に「前に向かう力」を与えてくれた。いつも自分を見てくれている人がいるということは、最大の生きる力を与えてくれるものだろう。ありきたりな話で恐縮だが、人との出会いは人生の中でもっとも大きなものだと改めて思う。

 少なくともあと5年間ほどは仕事にがんばろうと思う。最後の仕事はリフォームで、その前の仕事が「パッシブデザイン」だ。リフォームは私が得意な「整理する」という発想が強く求められるものだし、パッシブデザインは私の好きな「理科」が必要な分野。うまくいいテーマが見つかった。
 この連載は今回でオシマイになるが、引き続き私の「仕事」に注目してくれればとてもうれしい。

 ところで、この大晦日の紅白歌合戦を観ていて、私は「彩香」の唄を聴いて、唄う姿を見て久しぶりに泣いた。彼女がカムバックしたら、誰か一緒に彼女のライブに行きませんか?
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環境主義住宅を解く 第58回

 毎回恒例になっている「自立循環型住宅研究会」のフォーラムの様子の紹介。今回で6回目。12月2日~3日にかけて大阪で開催した。
 今回の注目は「自立研アワード」という賞を設けたこと。10社の応募があり、そのプレゼンテーションが2日間にわたって行われ、米谷良章設計工房の米谷さんが見事大賞に選ばれた。米谷さんは私とも気が合い、日頃からよく会っている。彼の実力は相当なものなので、こんなふうに評価されたのはなんだかとてもうれしい。

 私はこの研究会が大好きだ。メンバーは皆真面目で、常識があり、情熱がある。こんな人たちがいることで、この国の家づくりもまだまだ捨てたもんじゃないと思う。
 
人が集まってくるといろいろ問題が起きてくる。派閥ができ、上に立つものへの批判が生まれてくる。「あいつがいるからもう私は行かない」というようなことを言うヤツも出てきたりする。この研究会では、そんな気配はまったく感じられない。とてもうまくいっている集団だと思う。
今回のフォーラムの冒頭に「この研究会は『ノリは軽く、内容は鋭く』が特徴です」と言った。それが人が集まって何かを進めていくときの最大のポイントだと私は思っている。この研究会では、まさしくそのあたりが見事に実現できている。

今回のフォーラムには自立循環型住宅研究のリーダーである澤地孝男さん(建築研究所・環境研究グループ長)をお招きした。すでにこの連載でも書いたと思うが、澤地さんたちがまとめた「自立循環型住宅への設計ガイドライン」という本に感銘を受け、その普及が私の仕事だと思ってこの研究会もつくった。だから今回澤地さんに来てもらえたのは私にとってとても大きなことだった。
「研究者がいい研究をして、それをうまく世の中に出す」→「それをうまく翻訳、解釈して実務者や市民に伝える」→「実務者や市民はそれを受けて前向きに取り組む」という流れは、世の中をいい方向に変えていく理想的なものだろう。自立循環型住宅は住まいの省エネと快適性を両立させようとするのがテーマだが、この流れはどんなテーマにも通じるものだと私は思う。
それがこの研究会の成功によって形になってきている。これは「翻訳者」の立場にある私にとっても大きな自信になる。こうして取り組んでいけば、いろんなものがよい方向に向かうに違いないと思うようになっている。「翻訳者」としてのレベルを上げていこうと思う。

私がいわゆる評論家にならないのは、こんなふうに実務者たちと実際に接しながら仕事をするのが楽しいからだ。大きな声は出せないけれど、しっかりとした声を出して、それに反応してくれる人たちと具体的なテーマに取り組み、それが形になっていくのを実感するのは本当に楽しいし、充実感がある。40歳の頃は「50歳くらいで仕事はフェードアウトしていこう」と思っていた。来年の4月で50歳になってしまうが、少なくともあと5年くらいはがんばろうと思う。

来年からは「野池学校」を開校し、「暮らし向上型リフォーム研究会」を立ち上げ、パッシブデザイン研究を本格化させる。自立循環型住宅研究会のメンバーで書く本の出版も決まり、私も単独で本を出す。「もう少しがんばるぞ」という気持ちから生まれたものだ。もう来年の仕事がすべて埋まるくらいのオファーが来ていて、純粋な仕事をこなすだけでも相当にしんどそうなのだが、それでもがんばろうと思っている。

まとめようと思っているのに、なんだか個人的な話になってしまった。次回は最後なので、うまくまとめたい。

環境主義住宅を解く 第57回

 数えてみると西村さんのホームページでの連載が80回ほどになっている。今回を入れてあと3回でオシマイだが、こんな好き勝手な文章をよく書かせてもらったなあと思う。
 始めたのは7年以上前になるということだろうか。もうその頃に何があったかも覚えていない。私はずっと忙しいながらも、仕事の内容も変わってきているし、世間の状況もかなり変わってきた。
 あと3回で「まとめ」のような文章を書こうと思う。はてさてうまくいくかどうか?

 私が求めているのは「幸せ」だ。私はもちろん幸せになりたいが、私だけ幸せになってもつまらない。私に近い家族、友人、そして仕事仲間はとくに幸せになってほしい。でもそれだけではなく、私の知らない人もできるだけ幸せになってほしい。これから世の中に生まれてくる人も同じ。この考え方が私の根にあって、それが私のすべての原動力になっている。
 環境問題に関心を持ったのも、このあたりが理由になっている。様々にある社会問題の中でこれに強く興味を覚えたのは、人だけではなく、人以外の生き物にも「ずっと存在しておいてほしい」という気持ちをもったからだ。

 幸せって何だろう?きっと人によって違うと思うし、それを私がうまく定義できるとも思えない。幸せも不幸も日々の暮らしの中にあるのだが、多くの人が幸せを感じる時間を増やすには、社会がそのベースをもっている必要がある。そのベースがしっかりしているほどそうなるはずだ。もちろんそのベースがあっても幸せな人と不幸な人は生まれてしまう。ただ、そのバランスを変えるのは社会のあり方だろう。私はこの社会のあり方に興味がある。
 
 環境問題は「新しく登場した、人類全体が考えるべき社会問題」だと思う。もしこれをうまく解決することができれば、もしかしたら戦争とか飢餓とか圧政とかという社会問題をうまく解決する道が見えるかもしれない。私はそのことに大きな期待をもっている。このことも私が環境問題に向かうひとつの大きな理由になっている。だから地球温暖化の議論でも、それぞれの国の利益だけを振りかざすことには大きな失望を感じるし、それを超えて何とかしようとする意見には感動する。

 環境問題をうまく解決しようとすれば、すべての人が少しずつ自分のエゴを捨てる必要があると思う。地球温暖化も「いまこれだけの出資をすれば、将来得になる」というような経済的議論があるし、もちろん科学技術で解決する側面もある。ただ、私はこれだけでうまくいくとは思えない。一人一人が少しずつ「社会のため、他人のため、他の生き物のため」というような気持ちを持って生きていく必要があると思う。
 すべてのエゴを捨てる必要はない。そんなことができる人は極めて限られていて、それを求めるのは現実的ではない。エゴも人間の重要な一部だから、それを捨て去るのは不自然だ。少しだけでいいのだ、少しだけで。それを集めれば大きな力になる。

 
 

環境主義住宅を解く 第56回

 今日はリフォームするお宅のシロアリ調査に行ってきた。知り合いの工務店が工事をしていて、住まい手とシロアリの話になったら「シロアリのことは何年か前から野池さんという人にお世話になっている」という言葉が出てきたらしい。それなら野池さんに見てもらおう、ということになったようだ。世の中は狭い。
 シロアリはまったく問題がなかったが、リフォームの内容を聞けば「断熱」をしっかりやるということ。そういえば2年ほど前に点検に行ったときに断熱リフォームの質問をされたことを思い出した。そのときに私がアドバイスしたことをほとんどそのまま実行されるようで、何だかとてもうれしかった。

 その家は土壁の家で、おそらく築35~40年くらいだろう。何年か前に中古住宅を購入して住んでいる。土壁の家といっても、構造的な造りは近代的なもので、見た目も普通の家。土壁であることを除けば、我が家にとてもよく似ている。断熱材はまったく入っていないし、窓はアルミサッシのシングルガラス。実際、冬はとても寒いはずだ。

 リフォームの考え方も我が家とよく似ていて、「ぼちぼちやる」というもの。きちんと計画を立て、お金のことを含めてしっかり準備して、情報を集めて進めていくという「賢い住まい手」だ。周辺環境を重視して質が悪くない中古住宅を購入し、それをぼちぼちリフォームして住みやすくしていく。この考え方はこれからの「住まい」の平均的な像になっていくように思う。そういえばこの住まい手も「何年か後には太陽光発電を設置する予定」と言っていて「どのメーカーがいいですか?」という質問を受けた。おそらく実際に設置しようとする時期が来れば電話がかかってくるだろう。

 この住まい手のように、しっかりじっくり準備すれば「いい情報源」が得られる。住まいの適切なパートナーも見つけることができる。住宅関連業者は確かに玉石混合だが、どの地域にも「玉」である業者は間違いなくいる。

 実際のリフォームはお風呂場のタイルを替え、台所のフローリングと壁を替えて床と壁に断熱材を入れ(壁は断熱材を入れるための空間をつくる)、台所の窓をすべて「真空ガラス(スペーシア)」に替えるという内容。ついでに言えば台所の壁は外に面した壁だけではなく、間仕切り壁にも断熱材を入れる。フローリングは間違いなく暖かさを感じる杉にする。
 奥さんには「これでたぶん暖房が3分の1くらいで済むようになって、さらに心地よさも相当に向上するはず」と言った。「3分の1」という数字はちゃかちゃかと頭の中で「前後」の熱の逃げる量を計算して出した。この「技」はある程度の経験と知識がいるが、めちゃくちゃ面倒な計算をしているわけではない。
こうした数値はとても説得力がある。奥さんも「それは本当に楽しみだわ」と顔を輝かせた。こんな説明ができるつくり手がどんどん増えていけばいいなあと思う。

ところで、外のエアコンの室外機をカバーするための木の枠にシロアリがついていたので、そこだけは薬剤処理をしてきたが、そのときに奥さんから「隣の人からシロアリ駆除をするときは声をかけてと言われている。その人は自然派の人で、雑草なんかも堆肥にしていたりする」という話が出た。私は「ちょっと厄介なことになるかも」と思いながら奥さんと一緒にその家を訪問した。
しかし、その隣の奥さんはとても常識的な対応で「薬剤は少ししか使いませんし、その薬剤もホウ酸です」と説明したら「それなら大丈夫ですよね。息子がちょっと化学物質に敏感なもので。ご丁寧にありがとうございます」という返答だった。
この人だけで判断するのもおかしいかもしれないが、以前はこういうタイプの人は神経質で、何かを説明して納得してもらうのがとても難しいのが常だった。きっと時代は確実に変化しているんだろうな、と思わされる出来事だった。

環境主義住宅を解く 第55回

 伝統的な造りの民家のリフォームにちょっとだけ関わった。解体後に行って、シロアリと温熱環境についてアドバイスを求められ、「こうしたらどうかな?」とコメントした。その後もリフォームが始まってからと、つい先日はいよいよ完成間近にも現場を訪れた。
 その現場は静岡県で、漆喰なども塗り終わった段階で先日の地震に遭った。工務店の人はかなり心配だったらしいが(震度6くらいはあったらしい)、2箇所ほど漆喰に少しヒビが入ったくらいで済んだということで、ほっとしていた。
 伝統的な造りの家の耐震性を上げるのはなかなか難しい。いまの家の造りとは構造的な考え方が違っていて、いまの耐震性の考え方でやってもうまくいかない。この現場では「限界耐力計算」という方法で耐震性を解いて耐震改修を行ったらしい。これは簡単なものではないが、今回の地震でほとんど問題がなかったことで、それをやった甲斐があったというものだ。
 古い家が持つ最大の問題点のひとつが「寒い」ということ。筋かいの家なら外壁に空間があるので、そこに断熱材を入れることができるが、土壁の家ではそれもできない。本気で断熱改修するなら「外張り断熱」という方法で行う。これは柱の外側に断熱材を貼り付けていくという断熱の方法だ。
 今回の現場ではそこまではやらなくて、サッシとガラスを換えたのが中心。それと、土壁の家には多い隙間を埋めた。縁側が南側と西側にずっと回っている家で、その縁側をうまく使うと冬も暖かくなる。今回の内容はその考え方も採り入れているので、かなり冬は暖かくなるだろう。そのことを確かめるために、冬にもぜひ一度訪問したいと考えている。先日訪れた日はとても暑い日だったが、すごく涼しかった。夏涼しいのは土壁の家の特徴で、この良さを活かしながら冬も暖かくなれば言うことはない。

 その工務店の社長に「いい仕事をしましたね」と言うと、「見た目はほとんど変わっていませんけど…」と、ちょっと物足らないような感じだった。でもこうした「体質を改善するリフォーム」はとても価値があると思う。
 そこそこの金額にはなったみたいだけど、同じ家を新築しようとすれば今回の予算ではまったく無理。いい古民家を体質改善をして残していくという仕事は社会的にも大きな価値がある。

 古民家の再生例を本や雑誌などで見ても、街並み保存のためのリフォーム例を見ても、ただそれを「きれいにする」「太い骨組みを見せる」などのデザイン的な視点だけで済ませているものが多いという印象を受ける。私はそれだけで良い古民家が残っていくとは思えない。構造的なことはもちろん、冬暖かい家にしないとダメだと思う。誰も住まない建物ならよいが、人が住む以上、ある程度の快適性を与えなければならないはずだ。せっかく「暖かくする」「明るくする」というような技術が進化してきているのだから、そうした技術を活かしながら、古民家の良さを残していくという発想をもって古民家再生に向かうべきだと思う。それが本来の「再生」だと思う。

 もしこれを読んでくれている人で、親が住んでいる古民家などがあれば、それをリフォームして住み続けていこうと考えてほしい。きちんとした技術を持っているつくり手に頼めば、美しく、夏涼しいという優れた長所を活かしながら、構造的な不安、冬寒い、暗いという短所を消してくれるようなリフォームができるはずだ。

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