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環境主義住宅を解く 第6回

 先日「自立循環型住宅セミナー」を受講してきた(財団法人 建築環境・省エネルギー機構主催)。大阪と東京だけで開催されたのだが、西村さんも遠路はるばる大阪までやってきた。こういうアンテナを持っていて、行動力があるところにはいつも感心する。
 内容は今後のわが国の家づくりの大きな指針になるものだった。住宅の性能全般がそろそろおよそ満足できるものになってきた現在、残された大きな課題は「省エネ」しかない。この「自立循環型住宅」というのは省エネ住宅(省エネ型の暮らし)に本気で取り組もうとしている。まさしく「環境主義の家づくり」の大きな柱になるところであり、この連載にも大きく反映されるだろう。

 さて、今回から暖房の話をしよう。具体的な話をする前に基本的な事柄を説明したい。さらに詳しくは私の『じっくり派のための家づくり講座①断熱・省エネ編』を読んでほしい。
 暖房におけるエネルギー消費は「箱としての家」「設備機器」に深い関わりがあり、しかも省エネの対象として重要だ。つまり「省エネ住宅」というテーマにおける中心的存在になる。
 寒さを感じて不快になるのは体から熱が奪われるからだ。そしてその熱の奪われ方には「①体のまわりの空気へ」「②体に面しているものへ」「③体に接しているものへ」という3つのルートがある。この3つのルートによって奪われる熱を効率的に少なくすることが「省エネ住宅」の基本的なテーマになる。この内容をここでは『快適基本要件』と呼ぶことにして、その内容をさらに分解していこう。
①体のまわりの空気へ奪われる熱を少なくする
 このためには当然室温を上げることが必要になる。そして室温を上げるためには室内に何らかの熱源が必要であり、一方ではその熱源からの熱を外に出さないようにする必要がある。室内の熱源としてまず考えるべきは「人体」「調理」「電気機器」などだ。次に考えるべきは「太陽熱(日射)」だ。冬場でも天気のよい日は日射が室内に入り込んでくる。これも熱源として見ることができる。そして最後は「暖房機器」。
 一方、熱源からの熱が外に出ていってしまうルートには「壁や屋根や床の材料をじんわりと伝わる」というものと「室内の暖かい空気が外に出てしまう」という2つのものがある。前者の熱量を少なくするのが「断熱」であり、後者のそれは「気密(隙間を少なくする)」になる。
②体に面しているものへ奪われる熱を少なくする
 体に面しているもの(例えば室内の壁)の表面温度が体の表面温度よりも低ければ「体→面しているもの」へ輻射で熱が奪われる。これは見落としがちだが、とても重要なものだ。もし室温が20℃で室内に面しているものの表面温度が14℃だったとすると、体感温度はこの平均の17℃に感じるらしい。
これを避けるには「室温を上げる」「逆に輻射によって“面しているもの”の表面温度を上げる」「断熱をする」ということが基本になる。室温を上げたり、輻射暖房器や日射などの輻射によって壁などの表面温度を上げるとともに、暖められた材料(壁など)が外に熱が奪われることを断熱によって避ければよいわけだ。
③体に接しているものへ奪われる熱を少なくする
 日常生活で体に接するのは「床」がほとんどだろう。したがって、床面の温度を下げないようにすればよい。そうするには「室温を上げる」「輻射によって床面を暖める」「床から下の断熱をする」ということが必要になるが、ここでもっとも重要なのは「断熱」になる。さらに積極的に床面を暖めようとするのが床暖房というわけだ。

 整理しよう。
 ①~③の内容で(意図的なものとして)エネルギー消費を伴うのは「暖房機器」だけだ。つまり、寒く感じる原因を排除しようとするとき、この「暖房機器」によって生じるエネルギー消費をできるだけ少なくすることが「省エネ住宅」につながることになる。別の見方をすれば、「生活熱源」「太陽熱」という“そこにある熱源”をできるだけうまく利用することが大切であり、そこで「断熱」や「気密」が大きな意味を持ってくる。もし“そこにある熱源”による熱が外に出て行くことなく十分な快適性が得られれば、誰も暖房機器のスイッチをつけなくなるだろう。
 ただし、それほど十分な快適性が得られなくても暖房機器のスイッチをつけない人もいる。また、断熱や気密の性能を上げるのはコストアップにつながる。さらに、断熱や気密の性能を上げることが逆に快適性を損なう可能性もある。このあたりのバランスが実際には重要になってくる。次回ではそのあたりのことを述べよう。
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環境主義住宅を解く 第5回

 前回は冷房(夏場)の話だった。住宅雑誌で「環境と共生する住宅」というような特集で紹介されている家では「夏場にエアコンを使わない工夫」みたいな内容になっているものが多い。でもこれは「周辺環境と調和(共生?)する住宅」という表現が正しいだろう。あえて広い意味での“環境”を視野に入れるなら、「原発に頼らない住宅」とか「電力ピークを抑える住宅」が正しい。こんな見出しはあり得ないけど…。
建築家側の問題なのか、編集者側の問題なのかはわからないが、こういう住宅を「環境と共生する住宅」と呼んで特集するのは間違っている。建築のプロでも冷房にかかるエネルギー消費がかなり大きいと思っているからこんなことになるのだろうが、もしいま「環境と共生する住宅」と呼んで特集を組むなら、やはり暖房や給湯にかかるエネルギー消費量を抑える工夫を中心に紹介すべきだ。前回でご紹介した用途別のエネルギー消費量の割合をあらためてしっかり頭に入れてほしい。
 で、今回からその暖房の話に移っていこうと思うのだが、その前にあらためて「住まいの省エネ」について詳しく見ていくことにする。本来は前回の冷房(夏場)の前に述べておくべき内容なのだが、冷房は省エネの主役ではないため、暖房という主役登場のところで述べておきたかったわけだ。

 日本国中で、いや世界的にも省エネが叫ばれたのはオイルショックのときだ。もちろん戦中もそうだったのだろうが、特殊な状況なのであまり参考にはならない。オイルショックのときは原油価格が高騰することで「お金」のために、そして石油の備蓄のために、国を挙げて省エネが叫ばれた。
 しかしこれが落ち着いてくることで、そしてその後のバブルまでの好景気に支えられて、お金のために省エネに励むという意識が薄れた。生活におけるインフラに対して消費者が支払うお金の割合が相対的に少なくなったということであり、これは極めて重要なことだ。そして基本的にはその傾向はいまでも続いている。環境税(炭素税)が論議されているが、もしこれが実現されたとしてもそれほど電気代などには反映されず、この意識に大きな影響を与えることはないだろう。
 そして「お金のために省エネをしよう」の時代から、今度は「地球温暖化のために省エネをしよう」になった。この変化は省エネに直接のインセンティブ(動機付け)が働きにくいという意味でとても重要だ。実際、景気とエネルギー消費量には強い相関関係があることがわかっている。どうやら景気は上向きらしく、いまからはこの景気のよさと省エネのためのあれやこれやの方策とのどちらが勝つかの戦いになっている。
 政府は「高断熱・高気密(実際には次世代省エネルギー基準を満たす住宅)+高効率給湯器+省エネ効果に対する報告義務」を条件に補助金を出すことにした。こうした政策はよく行われるもので、「トップランナー方式」と呼ばれる。ここで得られたデータやメディアなどが注目することによって消費者やつくり手の意識を高揚させようということだ。ただ、こうした政府主導のやり方に頼る限り、本来の意味での“環境主義の時代”はやってこない。いま意識ある市民が(つまりみなさんが)自らトップランナーになろうという気概が必要なのだ。
 私が住んでいる隣の町である箕面市というところには「15%クラブ」という環境市民団体がある。このクラブのメンバーは、生活時においてあらゆる環境負荷を与えることに対する15%の削減を自らマニフェストとして宣言し(もちろん省エネやCO2排出量も)、この実現のために個々が試行錯誤し、効率的な方策について情報交換し、その経過を報告し合っている。さらには、その方策や結果を外部(たとえば箕面市)にも伝えている。
 こうした取り組みは決して“特殊なもの”ではない。15%という数値目標も現実を踏まえた妥当なものだ。環境問題の全体を直視し、素直に考えればこうした動きにつながるのが当たり前だと思う。





環境主義住宅を解く 第4回

 家庭生活で消費されるエネルギーは用途別に見ると次のような割合になっている。
 ■冷房:2.2%
 ■暖房:27.6%
 ■給湯:28.3%
 ■厨房:6.7%
 ■動力他:35.2%
 これらの合計をあと50年ほどで約3分の2にするような生活を考えていかねばならないわけだが、やろうと思えばすぐにでもこの目標は達成できるように思う。その具体的な方法を整理しながら順番に述べていこう。
1) 冷房
 割合は少ないので省エネ対策の中心にはならないが、電力供給のピーク時に対応するための発電施設(とくに原子力発電)を少なくするためにはこの冷房のことを考えなければならない。分野別に整理してみよう。
<暮らし方>
 電力需要のピークはお昼過ぎ。このピークの主因になっているのが業務用施設(事務所ビルなど)であることがわかってきた。家庭における需要は業務用施設ほど明確ではなく、家族が集まってくる夕方以降にも需要がかなりあるはずだが、日本全体のピークを考えると、お昼過ぎの時間帯にできるだけ電力を使わないような工夫をしたい。そういう意味で主婦(昼間家にいる人)の工夫によるところが大きい。考える順番としては、まずは昼間のこと。そして次に夕方以降のこと。
 さて、そこで基本となるのが「風のあるときには風を通す」ということ。昼間は温度が上がる2階で過ごさず、同時に2階の窓を開けて排熱させる。気温が下がる夜にも窓を開けて排熱させる。できる限り扇風機を利用してエアコンなしで我慢できる時間を増やす。私は昼間家の一室で仕事をしているが、扇風機ではどうしようもなかったら水シャワーを浴びる。これで1時間くらいは持つ。また、お昼過ぎでなくてもできる電力消費を伴う作業を他の時間帯にする、というような工夫もできるはず。また買い物はできるだけ小まめに行い、冷蔵庫が小さくてもよいような暮らし方、そして冷蔵庫にあまり食品を入れないような工夫をする。夏の昼間は空いている図書館でお勉強することに決める、というのも賢い。
 とにかく「どうすれば昼間の電力需要を抑えられるか」ということに努力と工夫を重ねていくことが基本。そこがうまく行くなら、夕方以降の少々のエアコン使用は気にしなくてよい。おかあさんは「いまエアコンを使えるのは私が昼間に工夫しているからよ」と自慢しよう。
<エアコン選び>
 いま省エネタイプのエアコンがたくさん出ている。新しく買うならそういうものを選ぶ。
もしいまあるエアコンが10年以上前のものであれば、思い切って買い換えたほうがよい。ゴミの問題よりもエネルギーやCO2の問題のほうがいまは重要。
<住まい>
 屋根や天井の断熱が重要。屋根の内部や屋根裏の換気も重要。屋根緑化もエネルギーを使わずにうまく維持できるなら採用するのもよい。もちろん風の通りをきちんと考えた窓の配置を考えてもらう。共働きの家庭など、昼間家に人がいない家庭では断熱雨戸をつけるなど、昼間の遮熱の工夫をする(これは夕方以降の省エネに効く話だけど)。
 外構(家のまわり)にも工夫したい。落葉樹をうまく植えれば夏場には日射の遮蔽になり、冬場は日射が入ってくる。また、家の回りの地面の種類も部屋の暑さに影響する。コンクリートよりは土のほうが反射が少なくなってよいし、水をやらなくても済むような草を生やしておくのはよい方法。最近、とくに都会では庭をつくらないところが増えてきた。「できるだけ家を広く」という発想は余裕がなくてさみしい。もちろん、家を大きくすればするほど省エネとは逆行するしね。
 あとはエネルギー源をどうするか、というところがポイントになるけど、これは暖房や給湯のところで述べることにしたい。もちろん、太陽光発電パネルでの発電をエアコン使用に利用するのはよい方法だと思う。
 次回は暖房の話に移ろう。
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