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環境主義住宅を解く 第55回

 伝統的な造りの民家のリフォームにちょっとだけ関わった。解体後に行って、シロアリと温熱環境についてアドバイスを求められ、「こうしたらどうかな?」とコメントした。その後もリフォームが始まってからと、つい先日はいよいよ完成間近にも現場を訪れた。
 その現場は静岡県で、漆喰なども塗り終わった段階で先日の地震に遭った。工務店の人はかなり心配だったらしいが(震度6くらいはあったらしい)、2箇所ほど漆喰に少しヒビが入ったくらいで済んだということで、ほっとしていた。
 伝統的な造りの家の耐震性を上げるのはなかなか難しい。いまの家の造りとは構造的な考え方が違っていて、いまの耐震性の考え方でやってもうまくいかない。この現場では「限界耐力計算」という方法で耐震性を解いて耐震改修を行ったらしい。これは簡単なものではないが、今回の地震でほとんど問題がなかったことで、それをやった甲斐があったというものだ。
 古い家が持つ最大の問題点のひとつが「寒い」ということ。筋かいの家なら外壁に空間があるので、そこに断熱材を入れることができるが、土壁の家ではそれもできない。本気で断熱改修するなら「外張り断熱」という方法で行う。これは柱の外側に断熱材を貼り付けていくという断熱の方法だ。
 今回の現場ではそこまではやらなくて、サッシとガラスを換えたのが中心。それと、土壁の家には多い隙間を埋めた。縁側が南側と西側にずっと回っている家で、その縁側をうまく使うと冬も暖かくなる。今回の内容はその考え方も採り入れているので、かなり冬は暖かくなるだろう。そのことを確かめるために、冬にもぜひ一度訪問したいと考えている。先日訪れた日はとても暑い日だったが、すごく涼しかった。夏涼しいのは土壁の家の特徴で、この良さを活かしながら冬も暖かくなれば言うことはない。

 その工務店の社長に「いい仕事をしましたね」と言うと、「見た目はほとんど変わっていませんけど…」と、ちょっと物足らないような感じだった。でもこうした「体質を改善するリフォーム」はとても価値があると思う。
 そこそこの金額にはなったみたいだけど、同じ家を新築しようとすれば今回の予算ではまったく無理。いい古民家を体質改善をして残していくという仕事は社会的にも大きな価値がある。

 古民家の再生例を本や雑誌などで見ても、街並み保存のためのリフォーム例を見ても、ただそれを「きれいにする」「太い骨組みを見せる」などのデザイン的な視点だけで済ませているものが多いという印象を受ける。私はそれだけで良い古民家が残っていくとは思えない。構造的なことはもちろん、冬暖かい家にしないとダメだと思う。誰も住まない建物ならよいが、人が住む以上、ある程度の快適性を与えなければならないはずだ。せっかく「暖かくする」「明るくする」というような技術が進化してきているのだから、そうした技術を活かしながら、古民家の良さを残していくという発想をもって古民家再生に向かうべきだと思う。それが本来の「再生」だと思う。

 もしこれを読んでくれている人で、親が住んでいる古民家などがあれば、それをリフォームして住み続けていこうと考えてほしい。きちんとした技術を持っているつくり手に頼めば、美しく、夏涼しいという優れた長所を活かしながら、構造的な不安、冬寒い、暗いという短所を消してくれるようなリフォームができるはずだ。

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