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八月の唄:終末を恋うる唄

★マリリンモンロー・ノーリターン

詞::能吉利人(桜井順)
曲:桜井順 
原唱:野坂昭如


マリリン・モンロー・ノー・リターン ノー・リターン アンウー ノー・リターン 

この世はもうじき お終いだ 
あの町この町 鐘が鳴る
切ない切ない この夜を 
どうするどうする あなたなら
マリリン・モンロー・ノー・リターン 
“ノー・リターン ノー・リターン”

この世はもうじき お終いだ 
俺たちゃ毎晩 お祭りだ
結んで開いて 蓮の花 
なんだらなんだら 朝ぼらけ
マリリン・モンロー・ノー・リターン 
“ノー・リターン ノー・リターン”

この世はもうじき お終いだ 
桜ちるちる 菊もちる
よくばり「ばばあ」は 長生きで 
やさしい「むすめ」は 早死にだ
マリリン・モンロー・ノー・リターン 
“ノー・リターン ノー・リターン”

“ノー・リターン ノー・リターン” 
“ノー・リターン ノー・リターン”

この世はもうじき お終いだ あるきつかれて 西のはて
まっかなまっかな 陽が沈む さよならさよなら 国家甲羅(コカ・コーラ)
マリリン・モンロー・ノー・リターン “ノー・リターン ノー・リターン”

この世はもうじき お終いだ 霞たなびく すみだ川
あほうあほうと 鳥は啼き うかぶ魚の 目に涙
マリリン・モンロー・ノー・リターン “ノー・リターン ノー・リターン”

この世はもうじき お終いだ 赤ん坊つくるにゃ 遅すぎる
どなたの唄やら 子守唄 極楽極楽 ねむの里
マリリン・モンロー・ノー・リターン “ノー・リターン ノー・リターン”
マリリン・モンロー・ノー・リターン “ノー・リターン ノー・リターン”
マリリン・モンロー・ノー・リターン “ノー・リターン ノー・リターン”
マリリン・モンロー・ノー・リターン “ノー・リターン ノー・リターン”

×     ×     ×

☆終末のタンゴ

詞:能吉利人
曲:桜井順
原唱:野坂昭如


どんな人間にも 必ず終わりは来る
どんな世の中にも 必ず終わりは来る
美しい人も 勇ましい人も 抜け目ない人も いつかはくたばる
その日のために鍛えておこう 君の覚悟のすべてを
自殺、他殺、虐殺!!

どんな愛情にも 必ず終わりは来る
どんな恍惚にも 必ず終わりは来る
大きな人も 短い人も しつこい人も いつかは果てる
その日のために 鍛えておこう 君の体のすべてを
腹筋、海綿、括約筋!!

どんな革命にも 必ず終わりはある
どんな演説にも 必ず終わりはある
信じる人も 夢見る人も 飲み過ぎた人も いつかは醒める
その日のために 鍛えておこう 君の心のすべてを
挫折、屈折、変節、総括!!


@八月分の更新は今回でオシマイです。
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白紙投票したら赤紙が来た!

★日本も兵役制度になる?徴兵令?***「ポポ山に祈りを込めて 2014-5/25」より転載

集団的自衛権で最近話題になっている戦争についてですが、「日本も将来的に徴兵制になるのでは?」という特に子どもを持つお母さんたちからの不安の声が増えています。こういう事を書くと、「そんなバカなことはない」と言われるけど実際によくわからないからそう思ってしまうのは仕方ありません。

集団的自衛権と戦争は違います。とか 自衛隊は軍隊ではありませんと話す人が多いですがそれらの全てがあやふやで、確実な答えは聞こえてきません。もちろん隣国との状況は日々変化しているので、集団的自衛権の行使によってグレーゾーンに対応できるように、抑止力を維持するためにも必要だということはわかります。

私がなにかおかしいと感じたのは 石破幹事長の話を聞いたときです。石破幹事長が、「自衛隊が他国の戦争に派遣されて一緒に戦ったり 日本が徴兵制になることについては、安倍首相がそれはぜったいにさせないという意志が固いので、今の政権ではありません」と言いました。

しかし、石破さんは「今の政権では」を何度も繰り返し強調して言ったことが私はとても気になりました。

「今の政権では」という言葉は、他の政治家の中には戦争をやりたがっている人物がいるけれど、安倍さんはそれだけは阻止したいと言っている。それなら、集団的自衛権が決まって以降、もし闇の人たちが安倍さんを引きずり下ろせば、いつでも日本は戦争が出来ますよと言っているようなものではないかと。

もちろん日本が戦争をすることはないし徴兵までいくと話は飛びすぎるけれど、韓国のように19才~29才の2年間兵役につく義務があるように、日本でもそうしたらいいのではという案が、実は安倍政権以前から国会でも取り上げられているらしいのです。

大学を9月からにして18才から男女問わず半年間自衛官指導の元で、軍隊式の訓練をさせる案が国会で満了一致で可決寸前までいったけれど、政権交代をして一旦白紙に戻りましたが、最近またその話が浮上してきていると聞きました。ようするに兵役制度ですよね。(でも大学が9月からになったのは たしか留学の受け入れなどでそうなったのでは。。)

それが本当なのかどうかわからないけれど、どうせ皆が反対するでしょうと私は思っていたらそうではなかった!私が驚いたのは、「日本も徴兵制度を設けるべきだ!」という賛成の声が意外に多い。若者を含め一般の人から徴兵制に賛同の声が上がっているんですよね。

「徴兵制度は日本を守るために必要だ。当たりまえのことだ」
「そのために 訓練をして強くならないといけない。」
「海外ではどこもやってることじゃないか」
「今までの日本がおかしかったんだ!」
「まずはフリーターやオタクに行かせろ」
「女も戦争に行くべきだ!」
「早く中国と戦争しろ!」

現実に戦争というものを理解していないからこういうことを平気で言えるのかもしれない。これでは隣国となんら変わらない。国を守ることは大切ですが、今はアセアンを始め多くの国が戦争を避けたいと思っている時代に日本の若者は逆方向に進んでいる?

中国もこれからの経済を考えれば戦争は避けたいと思っているはずです(一部の軍はわかりませんが)今後は日中首脳会談も検討されています。中国は日本の集団的自衛権の行使はすでに把握していることであってそれを踏まえた上で今後のことを考えているのだと思います。

徴兵制度については意見が分かれます。まずありえない。という人と アメリカを守るために日本もいつかは徴兵制度になる。という人もいて。

でも、私は現段階では徴兵制度の必要はないと思っています。将来の有事を考えれば自衛隊が軍隊化していくことになりそうです。そして今も自衛隊の入隊希望者は右肩上がりに増えているそうです。安倍首相を辞めさせようとする動きがありますが、それこそが危険だと思ったほうがいいかもしれません。よく考えてみてください。アメリカでは戦争をしても、一般市民は私たちと同じように普通に生活をしています。

以下はコピーさせていただきました。戦争というと男の人が行くものだと思っている人が多いと思いますが、海外では違うようです。

━─━─━─━─━─

女性も徴兵する国が急増。特に中国の脅威に晒されている日本周辺のアジア諸国、2000年以降に徴兵制度が復活した国はすべて女性も対象に。

☆ノルウェー:2015年度より女性を徴兵

☆ミャンマー:2012年 男性18~35歳 女性18~27歳を徴兵

☆マレーシア:2003年、マレーシアでは高校を卒業した若者(男女とも)にソフトな徴兵制が制定。期間は半年間

☆タイ:2014年、憲法改正で女性も徴兵する可能性が出てきた

☆中国:18~22歳の男女。徴兵の対象となるのは、男性は高卒程度の文化レベルの若者で女性に関しては、高卒や大学新卒及び大学在学者などが対象となる。中国は高校、大学で男女共同で強制的に数か月間の軍事訓練を受けるため一般の女子高生や女子大生でも機関銃の扱いに慣れている。有事には中国は男女同権、共産主義のもと女性も根こそぎ徴兵できる体制になっているためいざとなれば億単位規模の兵力を動員できる。

☆ポーランド:2008年まで男女ともに兵役義務を負った。

☆スウェーデン:有事の際は男女ともに赤紙招集をかける条件を引き替えに、平時においては志願制に移行した。

☆スイス:憲法上は男性のみに兵役の義務があるけど女性も隠れた裏の兵役がある。ここの徴兵制度はかなり特殊。徴兵とは名ばかりで実質国民皆兵。有事の際は女性にも徴兵令が発動する。男性は軍人として、女性は民兵として戦闘参加が義務付けられている。男性が兵役についている間女性も最寄りの訓練所での訓練規定がある。夫や息子のいない母娘だけの家族でさえ常に訓練を受けて自宅に自動小銃を備えてある。18~42歳の女性に徴兵令が発動、もしそれでも足りなくなった場合は最大で49歳の女性まで年齢が引き上げられる

☆韓国:大統領、女性の徴兵導入か。韓国政府の幹部は2日、朴槿恵大統領が「兵役の期間を18カ月に短縮する」と公約。その上で「第2次世界大戦当時の英国のように女性も兵役に就かせることや、兵役を公共勤労事業に転換することも可能」として、女性に対する徴兵制度の導入にまで言及した。

☆イギリス:女性に優しいレディーファーストと言いながら太平洋戦争で女性を徴兵してた国。今も有事の際、徴兵制が復活した場合は自動的に女性もされる体制になっている。

☆フランス:国防の日、兵役の日というのがあって18歳になったら40歳位まで毎年男女とも軍事訓練を受ける日がある。

☆イスラエル:男性3年、女性2年 女性の兵役逃れ1000人摘発

他に有事の際は女性も徴兵される国はオーストラリアなど多数。

毛利卓哉 さんの意見陳述書

★毛利卓哉 さんの意見陳述書 :2014年4月18日 於 佐賀地裁

 佐賀地方裁判所におかれましては、本日、この法廷に置いて意見陳述を行う機会を与えていただき、誠にありがとうございます。

 私は現在、大分県に在住する毛利卓哉と申します。職業は著述業です。一九八二年から32年間に亘り、毛利甚八という筆名で、ルポルタージュ、インタビュー、漫画原作などの仕事をしてまいりました。フリーの原稿書きとして、いくつかの出版社から様々な依頼を受けて生活をしてきたのですが、主に環境問題、中央と地方の格差の問題、少年非行と更生の問題などを取材し、雑誌の記事や書籍の形で作品を発表して参りました。

 また私の生家は玄海原子力発電所から約35kmの距離にある長崎県佐世保市にあり、現在、肉親が暮らしております。玄海原子力発電所の稼働の是非について、原発事故のリスクに関わる当事者の一人として、この裁判の原告に加わるべきと考えました。

 二〇一一年三月十一日の東日本大震災がきっかけとなって起こった福島第一原発のメルトダウン事故まで、私は消極的な原発反対論者に過ぎませんでした。電気のためにわざわざ危険な原子力を利用する必要はあるのだろうか? そんな疑問は持っておりましたが、直接的な反対運動に参加したことはありません。

 理由の一つは、原子力が危険であるという判断をするための情報が不足していたことでした。原子力発電所で破滅的な事故が起こる可能性について、自分自身の中で確信が持てない。そして、起こってもいない原子力災害の危険を言い募って、わざわざ社会に波風を立てる勇気はありませんでした。

 理由の二つ目は、原子力発電にかかわる理系の技術者や科学者に対する漠然とした信頼感です。あのような巨大な科学技術を扱うエリートの人々は、自分とは桁違いの能力を持っているのだろうという思いを持っておりました。

以上のような理由づけをして、私は、原子力発電所の問題をそれとなく避けて暮らす、ごく平凡な、日和見主義者として生きていたのです。

 ところが福島第一原発のメルトダウン事故をめぐる一連の政治家、東京電力幹部、科学者の言動を、報道を通じて知れば知るほどに、地位の高い人、賢いはずの人たちが原子力災害の対応について、具体的手順についても哲学的判断についてもまったく準備していなかったことが明らかになりました。

 私は自分の故郷のそばにある玄海原子力発電所について、自分なりの理解をするべきだと考えました。そこで二〇一一年一〇月中旬から二〇一二年十二月までの約一年間、玄海町や唐津市、佐賀市にでかけ、図書館などで玄海町史、玄海町議会議事録、佐賀県の統計年報を調査しました。また、原発誘致時の町議会議員や反対運動をした人たち、岸本玄海町町長などにインタビューを試みました。そして二〇一三年四月に『九州独立計画 副題 玄海原発と九州のしあわせ』を講談社から出版しました。

 この取材の結果、私は次のようなことを知りました。



(1)原発受け入れの背景

玄海原発が誘致される昭和四〇年代まで、東松浦半島にある玄海町は地形的に水が乏しく赤土の多い土地で農業生産の芳しくない地域でした。仮屋湾と外津(ほかわづ)湾を中心とした漁業もきわめて零細な産業に過ぎませんでした。標高が高く海岸線が屈曲した半島の地形のため道が狭く、船以外の交通手段が乏しかった。そのため玄海町を含む上場台地は「佐賀のチベット」と呼ばれていました。町民の多くが農閑期に出稼ぎに出ることで生活を支えていました。町民自らが、自分たちの町を「後進地域」だと考え、劣等感を抱いていたのです。

一九六六年(昭和41)当時、玄海町の町政を預かっていた幹部は原発を受け入れることで、町の貧しさを克服したいと考えました。当時、六期二十年間も玄海町町議会議長を務め、町議会を牛耳っていた中山穠(しげき)氏は生前に佐賀新聞の記者に対して「(原発の)用地買収にからんで、飲んだ酒代の総額は大体一千万円。清算は町の議長交際費で五百万。九電が五百万出した」と語っています。私の取材に対して、原発誘致決議をした時に町会議員だった中山逓(たがい)氏は「昔は議員が集まれば、そのあと唐津に行って飲むのが普通でした。穠さんにはいつも九電の社員が一人ついていて、飲み会につきあうんです。九電が飲み代を払うようなことも、そりゃああったでしょう」と答えています。

そのような根回しが功を奏したのか、一九六六年(昭和41)六月二十三日の町議会で「原子力発電所誘致」が決議されています。16名の町会議員のうち、反対は1票もありませんでした。



(2)町(行政)と九電(民間企業)の立場の混濁。

 その後、用地買収が始まるのですが、玄海町で原発反対運動の中心として働いた仲秋喜道氏は私の対して次のように述べています。

「玄海一号機の建設費は総額で五四五億円といわれていますが、このうち九電が地主や漁業関係者に払ったのが約五億四〇〇〇万円です。用地買収費用は九電から町長の個人口座に振り込まれ、町長が現金を配って歩き、漁業補償金は漁協組合長を通じて配ったようです。町長や議員は用地買収の査定額と実際の買収額の差額をポケットに入れていたのですが、返却して横領罪を逃れました。漁業補償金は、漁協の組合員かどうか、年間漁獲高、船の排水量(トン数)などを勘案して、漁協の幹部が分配したようです。なかには町の外に出ている家族を呼び戻して漁師をしているように偽装した家もあったと聞いています。一戸当たり四〇〇〇万円が最大の補償額だったそうです。これは原子炉一号機か二号機の話です。結局、保守政治と貧困と金が原発を作ったんですよ」

 昔の話と言えばそれまでですが、ここで語られている用地買収や漁業補償の手続きはきわめて杜撰です。行政と民間企業である九州電力の立場の違い、緊張感がなにもありません。まるで玄海町町長、漁協組合長、町議会議員は、九州電力の下請け、使い走りのような動きをしています。九電の差し出す大きな金に、玄海町の幹部が浮足立っていた。こうした背景のなかで、玄海町職員による総額2000万円もの公金横領事件が、玄海原発一号機の起工式が行われた一九七一(昭和46)年に起こっています。

 原発誘致と原発建設の過程で、民主主義的な手続きが踏まえられていたのか疑問があります。



(3)原子力発電所で玄海町が得たもの

一九六六(昭和四一)年に原子力発電所を受け入れた玄海町では「発電用施設周辺地域整備法」や「電源立地促進対策交付金事業」などの名目で、一九七五(昭和五〇)年から、六年間にわたる公共事業ラッシュが始まります。これは地方交付税などと違い、当時の通産省を経由して支払われるものでした。原発の周囲にある道路の改良舗装工事が一年間に数本から最大二〇本という頻度で行われ、小中学校のプールの新設、福祉センターや特別養護老人ホーム建設などが行われました。

また原子力発電所の固定資産税収入は玄海町の税収を飛躍的に押し上げていきます。一九六六(昭和四一)年度にわずか一〇〇〇万円にすぎなかった固定資産税が、一一年後の一九七七(昭和五二)年度には約六億二〇〇〇万円と六二倍になっています。実に町の予算の半分です。増加分のほとんどが玄海原発の固定資産税であることは明らかです。

以後も税収は増えていきます。一九九八(平成一〇)年には、玄海町の歳入は約八二億円に膨れ上がり、うち税収が約五三億円にも達しています。この税収額はこの年の佐賀県の四九の自治体のなかで、五番目です。玄海町はこうした財源をもとに保育園、小学校、町営住宅などを新設してきます。一九八二(昭和五七)年には玄海町の新庁舎が着工、総事業費は二一億七五〇〇万円、翌年九月に落成式が行われています。庁舎は鉄筋コンクリート四階建て、議会棟は三階建ての瀟洒な建物です。

 二〇一二年九月二十二日に行った岸本英雄玄海町長へのインタビューで、「玄海町は地方債残高が一千万円しかない、日本一借金のない自治体だ」と述べた私に岸本氏はこう語っています。

「玄海町は借金もないですが、人口わずか六五〇〇人の町に一四〇億円の基金を持ってます。これほどの基金を抱えた町もそれほどはないでしょう」

 このように立地自治体である玄海町に、過去四十八年間に亘り、国と九州電力から莫大な金が流れ込み、玄海町は原子力発電所にかかわる財源にすがって生きてきました。



(4)原子力発電のメリットとリスク

これまで見てきたように、原発を受け入れてきたことで立地自治体が財政的メリットを享受してきたことは確かです。しかし、これまでの原子力政策は「絶対安全だ」という安全神話に基づいて行われてきたものでした。福島第一原発の事故を見ればわかるように、原発の過酷事故は立地自治体をはるかに飛び越え広範囲の国土に放射性物質による災厄を引き起こします。

 とすれば、原子力発電所の稼働によって立地自治体に大きなメリットがあるから稼働もやむなし、という理屈を周辺地域の国民が容認することは不可能になったと言えるでしょう。

 東日本大震災が起こる前の二〇〇九年度、九州電力は佐賀県で240億5500万kwhの電力を生産しています。このうち98.9%が原子力発電によるものです。佐賀県で生産された電力を、同年度の九州電力の販売電力量の合計に当てはめると28.8%に当たります。二〇一〇年三月決算時の九州電力の売上げは1兆3875億円。この売上げの28.8%はおよそ4000億円です。4000億円の売上げが見込める原子力発電所を九州電力が稼働させたいのは、ビジネスの観点からすればもっともなことに思われます。

 しかし、ひとたび過酷事故が起きた時、九州電力が4000億円の売上げと原子力発電所の施設を失うだけで済むのでしょうか?

 福島では原発事故で16万人が避難生活を送ったとされ、今も13万人の福島県民が故郷に帰ることができないと言われています。福島第一原発周辺の稲作、酪農、漁業などの第一次産業が壊滅的なダメージを受けたのは日本国民の誰もが知るところです。

 玄海原子力発電所の周囲にある長崎、佐賀、福岡の第一次産業を例に具体的に考えてみます。2009年の農業産出額で見ると長崎1376億円、佐賀1274億円、福岡2098億円。同年の漁業生産額は長崎1026億円、佐賀280億円、福岡340億円。

 九州北部三県の農業・漁業の合計生産額は約6394億円です。

 4000億円の売上げのために稼働する玄海原子力発電所は、これらの産業に大きな損害を与える可能性があるのです。

 原子力発電のように、たった一回の事故で広範囲の環境を破壊し、住民の生活と生業に致命的な打撃を与える産業は他にありません。一企業の失敗が、国土と国民生活を崩壊させる危険を内包しているのです。その責任は重大です。



(5)国の責任

 福島第一原発の過酷事故で露呈した国と電力会社の危機管理能力の欠如は、福島原発の事故から三年が過ぎた今、抜本的に改善されているのでしょうか?

 NHK福岡の報道によると、二〇一三年八月十五日に行われれた原子力規制委員会と九州電力の第九回安全審査会において、九州電力は驚くべき事故対応のシナリオを提出しました。電源喪失によって原子炉を冷やす冷却水の循環が止まり、冷却水のパイプが破断してメルトダウンが避けられなくなった時、九州電力は原子炉の冷却を諦めるというのです。九州電力の担当者の言葉を引用すれば、「大破断LOCAで、ECCS注入失敗で、格納容器にスプレー注入失敗と。この三つを重ねた事象が厳しいと判断いたしまして」、この時、原子炉容器の底に落ちた燃料を冷やすことはあきらめ、原子炉容器の底を突き破って落ちる燃料を、格納容器に貯めた水で受け止め、冷やすしかないというのです。

 報道の中で原子力規制員会が「炉心融解の時点で、原子炉には何も作業をしないのか」と度々尋ねても、九州電力は「することはない」と答えています。

 つまり、「メルトダウンが起こったらどうしようもないよ」ということのようです。

 これまで九州電力は、玄海エネルギーパークの原子力発電を啓蒙する展示において、原子力発電所は五重の壁によって守られ、事故は起こらないのだと主張してきました。ところが福島第一原子力発電所の事故によって、メルトダウンが起こりうることを否定できなくなりました。すると一転して、開き直りとしか思えない事故対応策を提示してきたのです。

 もし玄海原発にある四つの原子炉のうち、ひとつが過酷事故を起こせば、放出される高い放射線量によって他の三つの原子炉のコントロールもできなくなる可能性があります。その時、福島以上の原子力災害が起こっても不思議ではないのです。



 玄海原子力発電所の建設、プルサーマル稼働、再稼働に関して、過去に国と九州電力が住民に行ってきた説明は、福島第一原発の過酷事故でいったん無効になったと考えるべきではないでしょうか? なぜなら「事故は絶対に起きない」という事実と違う強弁に支えられた説明だったからです。

原子力発電所の再稼働を審査する国は、あらためて広範な周辺地域住民に過酷事故が起こった場合の損害について詳細な説明を行ったうえで、住民が選挙などで原発再稼働の是非に意志表明できる機会を与えるべきです。

 また、これは元通産相官僚の古賀茂明氏の提案ですが、電力会社は福島第一原発事故の被害額をもとに賠償額を算定し、最悪の被害を即座に賠償できる原発事故の保険に加入しなければ原子力発電所を再稼働してはならないはずです。

 一企業の過失が、周辺住民の生活を奪うというビジネスが許されるはずがありません。

 国は玄海原子力発電所の再稼働を許してはならないと考えます。



(6)裁判官のみなさまへのお願い

 日本国憲法に謳われた「裁判官の独立」がある以上、過去の判例に裁判官が縛られてはならないことは明白であることを前提として申し上げます。

過去に多くの原子力発電所の建設や稼働をめぐる裁判がありました。その中で原子力発電所に反対する国民の言い分を認めた判決はわずか二例です。そうした流れの中で福島第一原発の事故が起きました。原発稼働を追認した数多くの判例は、裁判官が誰からも求められていない政治家的な発想のもと、自己保身という雑念に負けて垂れ流したものだ、と言えないでしょうか。その判決文にちりばめられた欺瞞が福島第一原発の事故によって照らされる時、裁判官のみなさんは過去の判例を、ずくずくと痛む古傷のようにふりかえらなければならないはずです。

 私は志賀原発二号機の運転差し止め判決を行った井戸謙一元裁判官にインタビューを行いましたが、井戸さんは「もし志賀二号機の判決がなかったら、今、司法は何と言われていたことでしょうね。志賀二号機の差止め判決があったから、司法は少しは市民の信頼をつなぎとめることができたかもしれませんね」と私に言われました。

 私は過去に裁判官の物語を書いた経験があり、二〇人前後の裁判官・元裁判官の方たちと個人的におつきあいをしてまいりました。そうした経験をふまえ、裁判官とは何かをあらためて考えております。

 やはり裁判官は普通の人間ではいけないのです。鍛え抜かれた人格を持ち、普遍的な価値を見失わない神のような視点を持つ意思が求められています。なぜなら、裁判官は判決によって日本国民の未来をつくる特別な仕事をしているからです。

 この裁判が裁判官のみなさまの理性によって裁かれることを希望しております。



以上。

「日韓対立の原因は、ほぼ安倍首相にある」

★「日韓対立の原因は、ほぼ安倍首相にある」~*ペンペル教授、首相を歴史修正主義者と痛罵
***「東洋経済オンライン『アメリカから見た日本』 2014-8/13 BY ピーター・エニス :東洋経済特約記者(在ニューヨーク) 」より転載

*T・J・ペンペル:カリフォルニア大学バークレー校政治学教授。同校東アジア研究所所長(2002~2006年)。前歴はシアトルのワシントン大学国際研究ジャクソン校教授兼政治学非常勤教授。それ以前はコーネル大学東アジアプログラム部長(1972~1991年)。主な研究および教育指導内容は比較政治学、政治経済学、現代日本、アジア地域主義など。著書は『東アジアの安全保障協力』、『東アジアの再計画』、『地域の建設』など。

・・・・・・・・・

安倍晋三首相の下で2つの変化が起こっている。第1に、安全保障そのものの変化と、自衛隊の用途をめぐる解釈の拡大だ。その大部分の変化は小泉純一郎首相時代にさかのぼり、おそらく何らかの意味では中曽根康弘首相時代にまでさかのぼるものだ。自衛隊のイラク派遣、アフガニスタンでの給油による米軍への後方支援、防衛庁の防衛省への昇格などの決定は自衛隊の役割拡大を含め段階的な変化だった。

第2に、そのすべての変化は安倍首相の歴史解釈変更を含むイデオロギーで包まれていることだ。これは問題を生む。安倍首相は集団的自衛権行使と同時に、村山談話(第二次世界大戦の責任)や河野談話(慰安婦問題)の扱いにも取り組もうとしている。これは一般の日本人の考えと大きな隔たりがある。また韓国で大きな反感を生み、中国では共産党指導部が唱える日本の軍事大国復活との宣伝を正当化させる。

安倍首相が経済に照準を合わせ、経済的利益を追求し、集団的自衛権の行使容認を日本の経済力、軍事力のアジア地域での役割拡大として取り扱っていれば、問題はここまで大きくならなかった。ところが、安倍首相は憲法9条に挑もうとしており、米国が“戦勝者の正義”として日本人に押しつけた憲法を退けようとしている。そのことは日本の一般大衆や東アジア地域の人たちにとって、集団的自衛権の行使容認を受け入れ難くしている。これらが、広範なナショナリストのパッケージのように思えるからだ。

@国防総省は安倍政権を支持

――オバマ政権は安倍内閣の閣議決定を支持した。米国の安倍首相支持は賢明なのか。

中国をどう扱うか、東アジア地域をどう扱うか、という問題に対し、米国内には相反する感情があり、それを反映しているように思う。国防総省は東アジア地域の安全保障問題を、軍事パワーのシフト、中国軍事支出の拡大、北朝鮮からの脅威というレンズを通して見ている。国防総省にとって日本が集団的自衛権を行使し米軍のサポートを得ようとすることは極めて論理的だ。彼らは、今後、自衛隊との協力関係がより緊密化するだろうと想定している。同地域での米軍の能力を高めることにもなると考えている。ただし、国防総省の望むように日本が動くかどうかははっきりしていない。

一方、米国のビジネスや経済界は、中国の経済成長は重要であり、両国のさらなる経済的関係の深化を重視すべき、と考えている。現在は、どちらかと言えば国防総省の意向が優先されているがために、米国は日本を支持している。その点、安倍首相にはプラスに効いた。

しかし、集団的自衛権行使を包んでいるイデオロギーは日韓関係にとって大きなハンディだ。これは米国にとっても大きな問題だ。韓国の朴槿恵大統領は安倍首相とは会いたくない意向を明らかにし、安倍首相の河野談話見直しや慰安婦問題検証に対し、怒りをあらわにしている。それは日本と距離を置きたい中国の習近平国家主席にも影響している。安倍首相はいくつかの点で米国が歓迎しない行動をとっている。

米国にとっての理想はこうだ。安倍首相が経済に集中し、段階的に安全保障面での米国との協力を進め、東アジア地域での米国企業や経済活動を考慮し、東アジアサミットなど地域における協調にもっと大きな役割を果たすことだ。安倍首相は、米国が望む理想的な戦略ゲームには与していない。

――日本が集団的自衛権の行使を容認する必然性はどの程度あるのか。

必然性があるとは思えないが、冷戦終了後、自衛隊の役割は確かに増大する傾向にある。集団的自衛権行使を容認することとした、今回の解釈変更は方向転換への分水嶺となる。

実際の行動によって集団的自衛権行使を既成事実化していけば、一般の人たちも、その必要性を感じて、受け入れやすかったかもしれない。しかし、安倍首相はわざわざ拡声器を使って声高に憲法改正を提案、その後、トーンダウンして憲法の解釈変更に転換、さらに内閣法制局に従来の解釈を変更するよう指示した。自分の意見を通すための人物を送り込んだりもした。

安倍首相は大きな旗を掲げて、「みなさん、われわれは大転換しようとしています」と不必要なことを言っている。本来、そういう変化は段階的に進めるべきものだ。たとえば、小泉政権下で自衛隊と米陸軍I軍団(東アジア地域の有事に重要な役割を果たす部隊)との共同作戦計画を拡大するため、同軍団の本部をワシントンからキャンプ座間に移している。これによって米軍と自衛隊の相互作戦計画は飛躍的に強化されたのだが、この変化には誰も怒りをあらわにしなかった。

ところが、安倍首相がやろうとしていることは違う。憲法の解釈変更などの発想は安倍首相のイデオロギーにくるまれている。安倍首相は日本が第一にすべきは、第二次世界大戦で誤ったことをしたという意識を克服し、愛国主義を再構築すべき、ということだ。いわゆる「戦後レジーム」を終わらせ、東アジア地域やグローバルな安全保障について正当な役割を果たすべき国家へ復活すべきだというのだ。

@日本国民は経済への関心が高い

――日本の世論調査では、集団的自衛権行使容認への反対意見が過半数を占めているようだ。

それは、どこが世論調査を行っているかによって違う。産経は安倍首相を支持している人たち向けの質問が作られている。朝日や毎日の質問は産経とは違う。いずれにしても、一般の人たちは安倍首相の安全保障政策に対する関心よりも、アベノミクスなど経済に対する関心のほうが高い。

アベノミクスは“第3の矢”の構造改革で行き詰っているように思う。安倍首相は経済に熱心ではないので、ここを乗り越えるのは難しい。防衛や安全保障問題、歴史修正主義にこそ、彼の関心はある。

一般大衆は経済がよくなることを望んでいるが、安倍首相がうまく舵取りできるかどうかに確信が持てない。そのこともあって、安倍首相が進めようとしているもう一つの施策について疑問を感じ始めている。

――集団的自衛権の行使容認により、自衛隊の役割や使命にどう影響するか。

自衛隊のオペレーションが短期的、中期的に大きく変わることはないと思う。自衛隊には、米軍との協力拡大について、装備購入、他のアジア諸国との地域的演習への参加など長期的な計画・戦略がある。このような自衛隊の使命には、大きな転換はないと思う。自衛隊の役割や使命の拡大に伴って予算を急激に増やせる情勢でもない。

米軍と自衛隊の相互協力としては、空軍と航空自衛隊との共同演習、海軍と海上自衛隊との共同作戦が増えていくと想定できる。しかし、その関係も、これまでと大きく変わるわけではない。尖閣諸島周辺に海上自衛隊の艦船が6隻出動し中国漁船や海底資源探査船を銃撃する態勢を整える、といったことは考えられない。

――朝鮮半島有事の際の情報システム統合はどうか。たとえば、北朝鮮の潜水艦や戦闘機の共同監視などは進むだろうか。

地域の安全保障環境がますます厳しくなっているときに、日本は「東洋のスイス」のようにおとなしくしている必要はない。北朝鮮の戦闘機やミサイルなど緊急事態や脅威に対する自衛隊の備えは、集団的自衛権の法制化がなくともできるものだった。まるで赤信号を守るクルマのように、危機に直面しても、地方自治体の規制に従わなければならないというバカげた議論がまかり通っていたが、これは過去のものにするべき。軍隊は危機に際してタイミングよく、すぐさま対応できなければならない。

多くの人たちが心配している日韓関係および日米韓関係の悪化については私も深く懸念している。

中国に対する安倍首相の言葉は、単純に白黒をつけすぎている。ニュアンス(深謀遠慮)がなさすぎるとでも言おうか。これは、米国の中国に対するエンゲージメント(関与)とヘッジ(リスク分散)という戦略にも役立っていない。彼は中国を敵とみなし、中国の軍備拡張を国内における政権支持率向上のための都合のいい道具にしている。環境問題、貿易・投資、人道的救援活動、その他共通の利害について日中協力関係を強化する努力をしていない。

安倍首相は中国を単純に脅威とみなし、それを一般大衆にアピールしている。まさにニュアンスを欠いたアプローチだ。

――日本と韓国との間で何が起こると思うか。

安倍首相は朴槿恵大統領と会談する重要性について、たびたび語っている。しかし、彼女が「ただ会うだけではダメ」と言っていることの意味を分かろうとしない。彼女は安倍首相をナショナリスト、歴史修正主義者と見ている。安倍首相はそこを理解していない。第二次世界大戦や韓国の植民地化など両者の歴史観の違いは大きい。安倍首相は自分の条件での和解を求めている。公平に言えば、朴大統領の側も自分の条件での和解を求めているのだが・・・。ただ、彼女の条件のほうが不合理さが少ないと思う。

安倍首相は慰安婦問題について、軍隊の関与があったことを認めてない。そのことが韓国との関係改善を非常に困難にしている。日本の戦前の歴史は非常に複雑であり、プラス面もあればマイナス面もある。ところが、安倍首相はいかなるマイナス面も認めたくないようだ。

@村山談話、河野談話を復唱すれば関係は改善

――日韓関係改善の動きはあるのか。

あまりない。先日会ったダニー・ラッセル国務次官補の話では、ケリー国務長官は日韓関係改善を切に望んでいる。ただ、現段階で日本と韓国との間を取り持つことは、ハマスとイスラエルの間を取り持つことよりほんの少しだけ容易ということだ。朴大統領は安倍首相の歴史観に応じるくらいなら、関係改善の必要はないと見ている。

安倍首相が靖国参拝を1年控えたくらいでは事態はよくならない。首相在任中は参拝しないと公式表明すれば少しはよくなる。さらに、村山談話や河野談話の内容をもう一度、復唱すればもっと効果的だろう。安倍首相がそういう行動をすれば、安倍首相と朴大統領との相互訪問も可能になるのではないか。

――安倍首相は北朝鮮とはどのように対峙しようとしているのか。

日本は韓国の対北朝鮮アプローチには束縛されていない。安倍首相は拉致問題を国内支持率向上のために利用している。同時に、安倍首相は北朝鮮の核兵器に関する6カ国協議の進展を阻害している。安倍首相は拉致問題をオ―バーに扱い過ぎている。横田めぐみさんが生きているとか、何百人もの日本人が誘拐されたとか、そういう厳然たる証拠があるとは思えない。

安倍首相のロシアに対する働きかけにも似た要素がある。安倍首相が北方領土交渉を前進させ、また拉致問題を解決させれば、国内での支持率は向上する。それは米国にとって混乱要因だ。米国はロシアの孤立化を狙っている。日本は対ロ制裁に参加しているが、日ロの交渉窓口は閉ざさなかった。北朝鮮に対する米国の優先政策は核廃絶。このためには、厳しい経済制裁が重要な役割を果たす。

日本は米国が懸念しているにもかかわらず、対ロシア、対北朝鮮についてわが道をいく構えを見せ続けている。オバマ政権は東アジア地域の安定を図るべく、かなり対ロシア、対北朝鮮について、ニュアンスのある対応をいくつか講じている。部分的な軍事力、部分的な危険分散、部分的なエンゲージメントなど多様な手段を講じている。安倍首相はそういうニュアンスに欠けている。

安倍首相は北朝鮮とロシアとの関係改善によって習近平国家主席や朴槿恵大統領の鼻をあかせると思っているようだ。彼の考えでは、それが正しいことなのだろう。

――安倍首相は習国家主席とも会いたがっている。

その通りだ。安倍首相はさまざまな外交問題を積極的に解決する人物として東アジア地域内だけでなくグローバル・コミュニティーの中で認めてもらいたいのだと思う。

しかし、習国家主席は安倍首相に会いたいとは思っていないのではないか。習国家主席の目からみれば、日本は大きな障害だ。日本が何かしでかすと中国国内ではインターネットの上で大騒ぎが起こる。たとえば、安倍首相の靖国参拝、南京大虐殺の真実に挑んだ教科書などだ。

習国家主席は韓国とのニュアンスのある関係を進展させるのに最善を尽くしている。習・安倍会談が近いうちにあるとは思えない。日中の経済関係は密接だが、習国家主席が日本を敵国扱いするのを諦めるほどのものではない。

まだ、日本には『負けしろ』がある。

★GQの人生相談6月号

Q1 抽象的な質問なんですけど、漠然たる不安を感じています。これを打ち払うにはどうすればよいでしょうか。

「漠然たる不安」というのは、未来が見通せないということなんでしょうね、きっと。でも、未来はいつだって不透明ですよ。僕の知る限り、僕の生まれた1950年からあと63年間、先行きがクリアーに見通せたことなんか、一度もないですよ。

50年代の終わりは、いつ核戦争が起きて世界が滅びるかわからなかったし、60年代は世界中で革命闘争が展開していて、体制は全部崩れそうだったし、80年代はやけくそな蕩尽に浮かれていたし・・・、そしてそのつど「思いがけないこと」が起きて、時代ががらりと方向転換したのでした。

確かに原発事故処理も震災からの復興も遅れているし、首都圏直下型地震や南海トラフ地震がいつ来るかわからないし、解釈改憲で戦争に巻き込まれるリスクも高まっているし、国の赤字は積もる一方だし……。いろいろ不安のたねはあります。でも、この程度の国なら他にいくらもありますよ。だから、そんなに心配しなくても大丈夫です。

心配しているような「思いがけないこと」が来ないと言っているんじゃありません。それはやっぱり来るんです。そして、システムががたがたになる。これは避けようがない。でも、日本は他の国とくらべると「負けしろ」の厚さがだいぶ違いますから。地震が来ようが、国債が暴落しようが、年金制度が崩壊しようが、そのときはそのとき、国が破れても山河が残っている限りは大丈夫です。なんとかなります。

「負けしろ」が日本にはあります。

それは豊かな自然です。国土の68%が森林なんです。これほどの森林率の国は先進国にはノルウェー以外にありません。多様な植生があり、さまざまな動物が繁殖し、きれいな水があふれるように流れ、強い風がよどんだ大気を吹き払う。日本のこの自然環境には値札がつけられません。

経済の話をするとき、エコノミストはみんな「フロー」の話しかしません。でも、日本には「眼に見えないストック」があります。目の前にあるのでありがたみがわからないのですけれど、改めてそれを金を出して買おうとしたら1000兆円出しても買えないような資産です。それはまず自然資源です。飲料水がいくらでも湧き出ている。水のほとんどをマレーシアから輸入しているシンガポールから見たら羨ましくなるほどの資産です。

でも、日本人は自分たちがそんな豊かな資産を享受していることを知りません。

第二が銃による犯罪がほとんどないこと。アメリカは銃で年間3万人が死んでいます。一昨年、日本では銃による死者は年間4人でした。殺人発生件数もほぼ世界最低です。このレベルの治安を仮にアメリカやメキシコやブラジルで実現しようとしたら国が破産するほどの天文学的なコストを要するでしょう。

それだけの資産がとりあえずここにある。

その他に温泉もあるし、神社仏閣もあるし、伝統芸能もあるし、ご飯は美味しいし、接客サービスは世界一だし・・・、国民的な「ストック」はさまざまにあるわけです。でも、経済成長論者の方たちはこのストックをゼロ査定しておいて、フローがないカネがないと騒いでいる。日本がほんとうは豊かな国であること、みんなでフェアにわかち合えば、ずいぶん愉快に暮らせることをひた隠しにしている。そして、経済成長しなかったらもすぐに国が滅びるというような煽りをしている。

だから、原発は再稼働するしかない、消費増税もするしかない、賃金も下げるしかない・・・と勝手なことを言っています。でも、彼らは日本には豊かな山河と文化的蓄積があることを故意に言い落とします。それをたいせつに使っていれば、別にシンガポールのような自転車操業をする必要なんかないということは決して言わない。水も食べ物もエネルギーもすべて金を出して買わないと生きてゆけない国と比べて「経済成長への熱意が足りない」と言うのははなから無理なんです。

麻雀で点棒が5万点ある人と、箱シタの人では打ち方が違うじゃないですか。箱シタは「後がない」から、ハイリスク・ハイリターンな打ち方をするしかない。点棒がざくざくある人はリスクは冒さないで、高い手も安手も自由自在に打ち回せる。「金持ち喧嘩せず」です。でも、だいたい金持ちが勝つんです。経済成長論者は「それがイヤだ」と言っているんです。もっとひりひりするようなバクチを打ちたい、と。そのためには「点棒」を一度全部失った方がいいと(無意識に)思っている。

だからこそ彼らは原発を稼働したがるんです。うまくすればもう一度事故が起きて、国が破れたとき「帰るべき山河」さえ失われるから。だからこそ移民を入れたがるんです。うまくすれば国内の治安が悪化して、暴力的な排外主義運動や民族対立が起きるから。だからこそカジノを作りたがる。うまくすれば勤勉な労働者たちが一攫千金を夢見て、眼を血走らせてバクチにのめりこみ家産を失ってホームレスになるから。

ほんとうにそうなることを経済成長論者は願っているんです。そうなれば日本の「負けしろ」はなくなり、彼らが夢見る「シンガポールみたいな国」になる他なくなりますから。ですから、どうせ 「不安」を抱くとしたら、日本が向っているこのような未来について不安を抱く方がいいと思いますよ。

Q2 20代男子です。やっぱり年金には入っておいた方がよいでしょうか? 年金制度は崩壊する、ということを耳にしたのでおたずねします。

年金というのは「政府に対する信用」に基づいているという意味では通貨と同じです。「日本円が使えなくなるらしい」と聞いた日本人たちが「じゃあもう日本円をドルに換えよう」と一斉に動いたら、日本円はたちまち紙くずになります。日本銀行券が通貨として機能しているのは、日本銀行が発行するこのぺらぺらな紙切れに価値があると「みんなが思っている」からです。1万円札の製造コストは40円ですから、残り9960円は幻想なんです。その幻想が機能するのは要するに「日本国はこれからも健全に機能する」と日本人たちが何の根拠もなく信じているからです。

年金だって同じです。年金制度が成り立つのは無窮の国民国家という幻想です。日本国は100年後も200年後も存在していて、まともに統治されているということを前提にして年金制度は設計されているし、日本円で貯金もできる。もしかすると、あと10年か20年くらいで日本は破産国家になるかもしれないと思っていたら、日本円なんか誰も買いません。
日本の年金制度や健康保険制度は世界で最も優れている制度の一つだと思います。制度自体は。ただし、国民の信用供与によって成立しているので、みんなが国を信用しなくなったらその瞬間に崩壊する。

オレは年金なんか払わない。自分の尻は自分で拭く。だから、政府はオレのカネに手を出すなと言う人がいたとします。でも、この人が守ろうとしている「カネ」が日本円なら、彼は自分のカネを守るために、そのカネの価値を担保している日本国の信用を破壊しているんです。年金は「税金のようなもの」です。税金をみんなが払うのをやめちゃったら国家財政は破綻し、日本円は紙くずになる。

100年後も日本はあると思いますか? と問われると、僕も「あります」とは断定できません(彗星が衝突するかも知れないし、地殻変動があるかも知れないし)。でも、どんなことがあろうと、国家というのは国民からの信用供与によってはじめて成立するものです。国民が国に対して信用供与すれば、信用に値する国家ができあがり、誰も信用しないと、なるほど信頼に値しない国家ができあがる。その点では株と一緒です。みんなが買えば高くなる。みんなが売れば安くなる。国民と国家の関係はそんなふうにダイナミックで生成的な関係なんです。国民とは別に自存しているわけじゃありません。

「この国を住み易い国にしたい。そのためには身銭を切ってもいい」と思っている人の数が多ければ多いほどその国は住み易くなり、「この国は住みにくいし、先行きもわからないので、無駄に年金も税金も払いたくない」と思う人の数が増えれば増えるほど、その国はますます住みにくくなる。それだけのことです。

***「内田樹の研究室 2014年05月27日」より転載

2030年になる前に、日本の財政は破綻するでしょう。

★渡邉正裕氏:2030年になる前に、日本の財政は破綻するでしょう。
***【2030年の「働く」を考える #7・8:*渡邉正裕氏 2013-12/2・8】より転載

・・・・・・・・・あしたのエントリーと比較検討してください。

社会視点①:このままでは、2021年までに日本の国債は信用を失い、暴落します。
社会視点②:財政が破綻すると、公務員や銀行員は人気職種でなくなります。
社会視点③:日本の財政破綻は、日本の製造業に光を取り戻します。

個人視点①:「重力の世界」に属する人の前途は、より一層厳しくなります。
個人視点②:「日本人メリット」がある職種は、重宝されます。
個人視点③:「夢のあるブラック労働」を嫌がっていると、損をします。

***

@行くところまで行かないと、この国は変わりません

Q ベストセラー『10年後に食える仕事 食えない仕事』を書かれた渡邉さんに、今日はぜひ、2030年の「食える仕事 食えない仕事」について忌憚のないご意見を伺えればと思っております。

 まず大前提からお話ししますが、2030年の仕事については「国家財政の破綻」を抜きにして語っても意味がないと思います。『10年後に食える仕事 食えない仕事』は、グローバル化によって日本人の働く環境にどのような影響が出るかを語った本です。グローバル化による影響が伝わりにくくなってしまうため、ここにはあえて財政破綻の影響は加味しませんでした。しかし実際は、このままでは国債暴落による財政破綻が起きることは確実です。その場合、日本人の働く環境が財政破綻の影響を大きく受けることは間違いありません。
 国債暴落とその顛末について、私は2011年に、週刊誌にシミュレーション小説「老人が泣き 若者は笑う」を発表しました。その小説では2013年に国債が暴落することになっていますが、今は、東京五輪が開かれる2020年までは財政出動により暴落は起こらず、Xデイは2021年にやってくると考えています。
 現在、国の借金は1000兆円を超えており、絶え間なく増え続ける利子の他に、財政赤字によってここ2、3年は毎年40兆円ほどが積み上がっています。今後もしばらくは同程度の赤字が続く見込みですから、消費税を仮に10%にしても到底プラスにはなりません。少子高齢化がさらに進みますので、GDPが増えて税収が上がることも考えにくい。このままではいずれ間違いなく日本国債は信用を失い、私が小説に書いたように暴落して国家財政を破綻させます。
 これを防ぐには、政治による抜本的な制度改革が必要ですが、私は、日本の政治家は改革を遂行できないと踏んでいます。なぜなら、自民党も民主党も長年にわたり、大きな改革を何一つ成し遂げられなかったからです。唯一の大改革だったはずの郵政民営化ですら見直されました。ほとんど実績をあげていない政治家たちを、私は信じることができません。「働く」ということでいえば、雇用改革によって正社員の既得権を崩さなくてはいけませんが、少なくとも財政破綻まで正社員制度も維持されたままになるでしょう。
 改革が進まない以上、破綻は必至です。本当に日本を変える政治家が現れるのは、破綻の後になるでしょう。この国は、行くところまで行かないと決して変わらないと思います。
 じわじわと訪れるグローバル化と突然やってくる財政破綻。2030年の「働く」をお話しする際には、どちらも無視することはできません。

@最も困るのは公務員と銀行員、そして高齢者です

Q 大変ショッキングなお話から始まりましたが、渡邊さんのおっしゃるように本当に財政が破綻したら、一体、日本の「仕事」はどうなるのでしょう。

 環境が激変するのは、当然ながら国から給与が支払われている公務員です。大規模な解雇などは考えにくいですが、給与は大幅に削られることになるでしょう。長い間、公務員は一番人気の仕事でしたが、破綻後は一気にその地位から転落するのではないかと思います。
 それから、メガバンクをはじめとして国債を大量に買っている国内金融機関が相次いで倒産し、外資系企業に買収される確率が高いです。このとき、スキルの高い営業やプロジェクトファイナンスの専門家などスペシャリストは再就職できると思いますが、従来はエリートとされてきたゼネラリストはリストラの対象になりかねません。
 最も悲惨なのは高齢者です。年金の支給額が急減し、国内金融機関にある預金は保護される1000万円以上は戻ってこないでしょう。困窮する高齢者が増えることになると思います。ただ、現代日本は住宅以外の生活コストは安いので、持ち家のある人たちは何とか生活できるのではないでしょうか。問題は住宅のない人です。仕事に就けたとしても低賃金でしょうから、それで生活できるかどうか。多くの高齢者が、路上生活者となったり、田舎の廃校などで集団になってギリギリの生活を送るといった事態に陥りかねません。そうならないために、今から預金は外貨預金に変えるなど、できる限りの防御策を施すべきです。

@意外なことに、財政破綻は「製造業復活」の引き金にもなります

Q お話を伺っていると、気持ちが暗くなるばかりです。財政破綻後、何か明るい話題はないのでしょうか。

 円安による輸入品価格の暴騰と、財政赤字を穴埋めするために日銀が円を大量に印刷することで、間違いなくインフレが起きると思われます。不況下のインフレ、スタグフレーションです。どのような仕事に就いている人も、実質的な給与の低下など、多かれ少なかれネガティブな影響を受けることになります。リストラ・減給なども頻繁に起きるでしょう。しかし、それ以上の事態に発展する可能性は低いと思いますし、インフラ系企業に勤める人々など、これまでどおりの生活を保てる人も一定数いるはずです。
 一方で、意外なことに景気のよくなる業界もあります。輸出産業です。財政破綻は極端な円安を引き起こしますから、国内生産比率が高く輸出量の多い製造業などは、劇的に業績が改善する可能性が高い。その筆頭は自動車メーカーです。財政破綻は、「製造業の復活」の引き金にもなるでしょう。これらの企業の好業績によって、日本の景気は多少持ち直すはずです。それにしても、日本の製造業の復活が日本の財政破綻と表裏一体とは、実に皮肉なことです。

@2030年も、日本のタクシーのほとんどは、日本人が運転しているでしょう

Q それでは、ここからは渡邉さんの著書『10年後に食える仕事 食えない仕事』のなかにある「グローバル時代の職業マップ」の「4つの世界」を参考にしながら、2030年の「働く」について、より具体的なお話をお聞かせ願えればと思います。

 まずは「重力の世界」からお話しします。日本人であるメリットを活かすことのできない技能集約的な仕事群です。「重力の世界」については、『10年後に食える仕事 食えない仕事』では規制がない世界の究極の姿を示しており、そういった世界では、これらの仕事は主に移民の仕事になっていくわけですが、現実的には、おそらく日本は、外国人の移民を今後もほぼ受け入れることはないだろうと思います。移民政策をとっていたヨーロッパ諸国では、今、その失敗が問題になっており、移民を増やす方向には進んでいません。そのような先例も踏まえると、制度改革の難しい日本で日本人の職を奪うような移民政策が遂行されるとは考えにくい。実際に現在、日本政府は移民政策の議論すら行っていません。
 移民を受けいれない限り、「国内に残る職種」はこれからも変わらず、基本的には日本人の仕事となるはずです。ただし、財政破綻後は職を失った高齢者や中高年が「重力の世界」にどっと流れ込み、給与水準が一層下がることが予想されます。これらの仕事に就く人の前途が厳しいことに変わりはありません。なお、「国境を越える職種」はすでに外国人に置き換わりつつあり、さらに進む傾向にあります。
 2つ目は、日本人であるメリットが少なく、知能集約的な「無国籍ジャングル」ですが、この領域では、本でも書いたとおり「人類70億人との仁義なき戦い」が行われます。これらの職種に就く人の土俵はあくまでもグローバルですから、日本の財政が破綻してもあまり影響は受けません。この世界で腕に自信のある人は、どんどん世界へ出ていき、チャレンジしてほしいと思います。リスクが高い代わりに、返ってくるものも大きいでしょう。いや、むしろ「世界就職」や「世界転職」した方が、日本に残るよりかえってリスクは低いかもしれません。

@「日本人メリット+手に職」の組み合わせがあれば、世界のどこでも食べていけます

Q ここまでが「日本人メリット」のない人たちのゾーンですね。では、残りの2枠についても解説をお願いします。

 次は「ジャパンプレミアム」です。これらの職種は日本文化や日本語に慣れ親しんだ人でないと難しく、たとえ移民を受け入れたとしても、外国人が増えるとは考えにくい。このことを私は「日本人メリット」と呼んでいます。日本人メリットのある仕事のうち、技能集約的なものが「ジャパンプレミアム」。公務員・教員・自衛官は別として、他の職種は、財政破綻後もそれなりに重宝されるでしょう。
 なかでも今後有利なのは、美容師や料理人などの「手に職」をもった人たちです。たとえ財政破綻がなくても、これからは日本人が世界中に飛び立っていく時代。「日本人メリット+手に職」をもつ人々は、日本人の多く住む地域で店を開けばよく、世界のどこでも食べていけるチャンスがあります。今、日本食は世界的なブームで健康的でおいしいと評判になっており、板前やすし職人などには特に大きな可能性があります。
 また、財政破綻によって急激な円安が起こったら、間違いなく外国人観光客が増えます。「日本観光ブーム」がやってくる可能性も十分にあるでしょう。「おもてなし」を得意とする旅館などのサービス業にも追い風が吹きそうです。

@デジタル化できない製造技術は、引き続き日本の独壇場となるでしょう

Q 最後に紹介されるのは「グローカル」ですね。

 『10年後に食える仕事 食えない仕事』にも書きましたが、やはり日本に残って働くのなら、日本人メリットがある知能集約的職種群「グローカル」(図表5)をお勧めします。もちろん財政破綻の影響は受けるでしょうが、その後も引き続き必要とされる職種ばかりです。
 特に2030年に有望なのは、復活する製造業の開発技術者や営業などでしょう。ただし、デジタル化が進む技術は早晩グローバル化の波に飲み込まれてしまいます。そうではなく、日本独自の「すりあわせ」の強みを発揮できる技術、つまり一部にアナログのプロセスが残っていく分野は、今後も日本人の独壇場であり続けるはずです。
 日本人は、製造業に最適化された民族です。この特徴はそう簡単には変わらないでしょう。2030年になっても、依然として製造業中心の経済構造が維持されるのではないかと思います。

@「夢のあるブラック労働」こそ、日本の強みの源泉ではないでしょうか

Q 最後に、特に2030年の主役となる今の若者たちに向けて、何かアドバイスをいただけないでしょうか。

 今、「ブラック企業」という言葉が流布しています。確かにブラック企業およびブラック労働は存在しますが、それらは「夢があるかどうか」でかなり種類が違うと思います。夢や未来のないブラック企業やブラック労働は大問題です。しかし、「夢のあるブラック労働」は、むしろ日本の強みの源泉になっているのではないかと私は思っています。
 例えば、日本の誇るマンガやアニメの制作現場、特に下積み中の若手制作者たちの職場環境は、労働時間や給与の観点から見れば、間違いなくブラックの部類に入ります。しかし、話を聞いてみると、彼らの多くは自分の将来のために喜んで働いている。他にもゲーム開発者、日本料理の料理人、お笑い芸人など、同様に過酷な「修業期間」のある職種は数多くあります。これらを「夢のないブラック労働」と一括りにするのは問題です。その大変な期間を乗り越えるからこそ一人前になれるわけで、ブラックといって敬遠していては十分な技術が身につきません。
 実は、これらの職種はいずれも「日本人メリット」のあるものばかり。夢を見据えたブラック労働による修業システムこそが日本の強みを支える差別化ポイントだというのは、決して言いすぎではないと思います。やりたいことがあるのなら、まずは修業の現場に飛び込むことです。そこでの経験が、後に「日本人メリット」として、きっと自分の身を助けるはずです。
 逆に、私は「ホワイト企業」への就職はお勧めしません。これまでお話ししてきたように、公務員ですら今後は決して安泰ではないのです。どんなに安定していると思える企業に入っても、一寸先は闇。それなら、ホワイト企業で安穏としているよりも、自分の興味に従って夢のあるブラック企業で自らを鍛えた方が、確実に将来のためになります。

インタビュー:古野庸一

*渡邉正裕氏:株式会社MyNewsJapan 代表取締役社長、編集長、ジャーナリスト。慶應義塾大学(SFC)卒。日本経済新聞記者、日本アイ・ビー・エムのコンサルタントを経て、2004年、ジャーナリズムに特化したインターネット新聞社MyNewsJapanを創業。自らもジャーナリストとして雇用・労働問題を中心に“企業ミシュラン”シリーズの執筆を続ける。著書に『若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか』『トヨタの闇』『35歳までに読むキャリアの教科書』などがある。

私たちの人生の一日はこの日に!

★-- 鹿児島・川内原発再稼動を止めることが全国の原発再稼動を阻止する--★
        8/31 川内に行こう! 全九州、日本、韓国・台湾から 結集!
               私たちの人生の一日はこの日に!

●ストップ川内原発再稼働!8.31九州・鹿児島川内行動●
~ストップ川内原発再稼働!9.28全国集会前段行動~

川内原発の再稼働をストップすることが、全国の原発再稼働ストップにつながります!
皆さま、ぜひ、川内原発現地に集合してください!

日時:8月31日(日)13:00~
会場:鹿児島県薩摩川内市 川内駅西口前広場
  
 *スケジュール
  川内集会・・ 13:00~
  デモ行進・・ 14:00~
  戸別訪問・・ 14:30~
  川内原発現地・16:00~

主催: 原発いらない!九州実行委員会
協力:ストップ再稼働3.11鹿児島集会実行委員会
連絡先:080-6420?6211(青柳)、090-9498-9308(鳥原)

***

7月16日、原子力規制委員会は、川内原発が新規制基準に適合したという審査書案を発表しました。田中規制委員長は、新規制基準合格は、安全を証明するものではないと何回も繰り返していますが、、伊藤鹿児島県知事も岩切薩摩川内市長も、新規制基準合格なら安全性の証明だと豪語し、再稼働に同意する様子です。福島原発事故の教訓の一つである原発災害の避難計画は、再稼働の条件にもなっていません。

何よりも、福島原発事故の原因も究明されず、汚染水問題、被災者の苦しみが続いている中での再稼働は許されません!

川内原発現地の市民自主アンケートによると、住民の85%は再稼働反対です。しかし、議会では、80%以上が再稼働賛成です。

私たちは、この集会で、戸別訪問を行い、住民の良心に訴えることにしました。住民1人ひとりが、勇気をだして、市長と議員たちに直接ハガキで、ふるさとを守る思いを伝えることで、再稼働ストップにつなげたいのです。

夏休み最後の日曜日、8月31日にぜひ、川内駅前にお集まりください!
再稼働反対の声を出しにくい住民を励ましてください!
川内原発再稼働をストップするため、連帯しましょう!

***

☆鹿児島川内行 申し込み 募集☆

皆様、ご一緒に行きましょう。

・貸し切りバス(40人乗り中型) 福岡・川内往復 大人3.000円 小学生・高校生まで半額。
福岡乗車場所 福岡天神日銀前 午前8時発 帰福午後10時過ぎ着(予定) 
申し込み先メール: hendrix1965317@gmail.com (浅野隆樹)
住所・氏名・電話 記載よろしくお願いいたします。
申し込み締め切り: 8月20日。できるだけ早めによろしく。
連絡先: 080-6420-6211 (青柳行信)

・・・・・・・・・

・カンパ送り先
郵便振込 加入者名 さよなら原発! 福岡 口座番号 01770-5-71599
<通信欄に8.31集会と明記>

川内原発審査の問題④:規制委の火山リスク認識には誤りがある

★川内原発審査の問題④藤井敏嗣・東京大学名誉教授:「規制委の火山リスク認識には誤りがある」***「東洋経済オンライン 2014-8/10 BY 中村 稔、岡田 広行 :東洋経済編集局記者」より転載

藤井敏嗣(ふじい・としつぐ) ●1946年生まれ。東京大学理学部地学科卒業。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了(理学博士)。東京大学地震研究所教授、同所長などを経て、現在は東京大学名誉教授。2011年より環境防災総合政策研究機構専務理事。03年より気象庁・火山噴火予知連絡会会長。

・・・・・・・・・・・・・

 川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働に向けて、事実上のゴーサインを意味する原子力規制委員会による適合性審査書案の内容に、火山学の専門家から疑問の声が上がっている。気象庁の火山噴火予知連絡会会長を務める藤井敏嗣・東京大学名誉教授(環境防災総合政策研究機構専務理事)もその一人だ。

 藤井氏は「原発の運用期間に、(南九州地区の火山による)巨大噴火が起こる可能性は低い」としている、九州電力や規制委の認識には「科学的根拠がない」と指摘する。「巨大噴火の予知は現在の研究レベルでは不可能」とする藤井氏に、川内原発をめぐる火山噴火リスクの見方について聞いた。

――川内原子力発電所に関する再稼働審査では、火山の噴火リスクが大きな注目点になりました。

原子力規制委員会は自ら策定した「原子力発電所の火山影響評価ガイド」(以下、火山ガイド)に基づいて、カルデラ噴火のような巨大噴火(破局的噴火)による「設計対応不可能な火山事象(=火砕流)」が原発の運用期間中に影響を及ぼす可能性を検証したうえで、「その可能性は十分に小さい」とする九州電力による評価は「妥当である」と審査書案で述べている。しかし、大多数の火山の研究者の意見は、「可能性が大きいとか小さいとかいう判断自体ができない」というものだ。

@噴火予知ができるのはせいぜい数日

――九電や規制委の認識のどこに問題があるとお考えですか。

まず申し上げたいのは、現在の火山噴火予知のレベルでは、数十年に及ぶ原発の運用期間での噴火予知は不可能だということだ。そもそも、そうした長期間での噴火予知の手法自体が確立していない。噴火を予知できるのは、せいぜい数時間から数日というのが現状だ。2011年の霧島新燃岳の噴火のように、地震などの前兆がなかったため、予知すらできないうちに噴火が起きることもしばしばある。この8月3日に発生した口之永良部島の噴火でも、けが人もなかったものの、前兆がほとんどないままに噴火と同時に火砕流が発生した。

――川内原発の再稼働審査では、阿蘇や姶良、阿多など鹿児島地溝帯のカルデラ火山群を一まとめにしたうえで、「巨大噴火の平均発生間隔は約9万年。姶良カルデラで起きた最後の巨大噴火が約3万年前だから、しばらくは起こる可能性が小さい」とする九電の説明を、規制委は妥当だとしています。

いくつかのカルデラ火山をまとめて噴火の間隔を割り出すという考え方自体に合理性がない。一つの火山ですら、噴火の間隔はまちまちであり、周期性があるとは言いがたいからだ。たとえば、阿蘇カルデラで起きた最新の巨大噴火は約9万年前だが、その前の巨大噴火との間隔は2万年しかない。今回、一まとめの対象から外された鬼界カルデラの巨大噴火は、約7300年前に起きている。この100年の間でも、桜島は静かだった時期もあれば、毎日のように噴火を繰り返す時期もある。

――規制委の田中俊一委員長は、島﨑邦彦委員の発言を引用する形で、「少なくとも10年くらい先から相当大きな地殻変動とか、マグマがたまってきたときに、そういうこと(=巨大噴火)が起こる。当然、その地殻変動が起こるので、とらえられるはずだという話をうかがった」などと、5月21日の記者会見で述べています。5月28日の会見でも「カルデラ噴火はだいたい数万年に一度程度の割合で発生すると言われている。カルデラ噴火の場合には噴火の数十年前ぐらいからマグマの大量の蓄積が起こる」とも語っています。

また5月28日の参議院原子力問題特別委員会では、「数年前に分かるのが望ましい。きちんとモニタリングして判断していく努力は是非とも必要。火山噴火予知連絡会の方とも協力しながら、規制委として(予知を)リードしていく」とも述べています。田中委員長が言うように、モニタリングをすることで、巨大噴火を予知できるのでしょうか。

@小規模な噴火でも全電源喪失リスク

田中委員長は、噴火直前の100年程度の間に急激にマグマが供給されたと推定するフランスの科学者の論文を根拠に、予知は可能だと述べている。この科学者の論文はあくまでも特定の火山の一例を解析したら、100年程度の間に供給されていたようだというだけのものだ。すべてのカルデラ火山において、そうした法則があてはまるとするのは間違いだし、モニタリングで巨大噴火を予知する手法は確立していない。そもそも、南九州のカルデラ火山の地下でどのくらいのマグマが溜まっているかの推定すら、現在の科学技術のレベルではできない。

――規制委では、比較的小規模な噴火のリスクとして、約1万2800年前の桜島薩摩噴火を例に挙げて、火山灰が原発の敷地内に15センチメートル積もることを想定して、シビアアクシデント対策の実効性を検証しました。それによれば、九電による「降下火砕物の直接的影響により安全機能が損なわれていない」との説明が、「火山ガイド」を踏まえていることを確認した、としています。

桜島薩摩噴火は、それ以前の巨大噴火と比べると、はるかに規模が小さい。その場合、火砕流が到達する可能性は少なく、火山灰対策だけが問題となると考えることは正しいと思う。ただし、原発の敷地内に15センチメートルの火山灰が積もったとすると、(桜島から近距離にある)鹿児島市では1メートル以上の火山灰が積もっているはずだ。そうなると、川内原発と鹿児島市内を結ぶ交通網は、寸断されるだろう。

火山灰がどのようなタイプかにもよるが、軽石が多い場合には問題がより深刻になる。降下した軽石がびっしりと海岸線を覆うことになると、原子炉の冷却に必要な海水の取水ができなくなる可能性がある。海からの救援もできなくなる。また、火山灰が付着して送電線が切断することで、外部電源の喪失も起こりうる。大雨が降れば土石流も発生する。そうした中で、原発だけが安全を保ち続けられる保証はないだろう。審査書案からは、そこまで考えて対策を考えているようには読み取れない。

――巨大噴火の場合にはどのようなことが考えられますか。

モニタリングで予兆をつかみ、事前に原子炉の停止、核燃料の搬出を行うとしているが、間に合わない可能性が高い。それどころか、カルデラ噴火が起きると、周辺部の数百万人は火砕流のために即死し,日本列島に住む数千万人以上が分厚くたまった火山灰の中で、交通機関も食料もなく路頭に迷うことになる。

約7300年前の鬼界カルデラの噴火では、大隅半島や薩摩半島にまで火砕流が押し寄せ、そこに住んでいた縄文人が死滅している。それから約1000年にわたって、南九州は人が住めない場所になった。

@新たな安全神話の形成も

私が座長を務めた内閣府の「広域的な火山防災対策に係る検討会」は、昨年5月16日に「大規模火山災害対策への提言」を取りまとめた。そこでは「巨大噴火については知見も研究体制も不十分」としたうえで、「巨大噴火のメカニズムや国家存続方策の研究体制の整備」の必要性を指摘した。そのとりまとめの前後の時期に発表された規制委の「火山ガイド」を見て、巨大噴火を予知できるとする書きぶりに唖然とした。

――川内原発の立地の是非についてどう思いますか。

難しい問題だ。九電は再稼働の審査の中で、過去の巨大噴火によって、川内原発の敷地に火砕流が到達した可能性は否定できないと認めている。数十年とされる原発の運用期間に、火砕流をもたらすカルデラ噴火はあるともないとも言えない。その判断基準もない。そこに建てられた原発をどうするかは、科学で解決できるレベルではなく、もはや政治や社会が決める問題だ。

科学的に安全だから動かす、という説明をするのであれば、明らかに間違いだ。そのように述べたとたんに、新たな安全神話が作り出されることになる。わからないことはわからない、リスクがあるということを認識したうえで、立地や再稼働の是非を判断すべきだろう。

川内原発審査の問題③:実効性ある避難計画を再稼働の要件とせよ

★川内原発審査の問題③

*広瀬弘忠・東京女子大名誉教授:「実効性ある避難計画を再稼働の要件とせよ」***「東洋経済オンライン 2014-8/8 BY 中村 稔、岡田 広行 :東洋経済編集局記者」より転載

広瀬弘忠(ひろせ・ひろただ)●1942年生まれ。 東京大学文学部心理学科卒。東京大学大学院博士課程中退。東京大学新聞研究所助手。東京女子大学文理学部助教授を経て同大学教授。同大学を停年で2011 年3月末退職(東京女子大学名誉教授)。専門は災害・リスク心理学。文学博士(東京大学)。現在は安全・安心研究センター代表取締役。

・・・・・・・・・

 川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働問題に関連して、重要性が指摘されるのが、地元自治体が策定する地域防災計画の一環としての避難計画だ。福島第一原発事故を受けて、避難計画策定が必要な地域が、原発から30キロメートル圏に拡大され、川内原発では、鹿児島県および薩摩川内市など9市町が策定している。

 避難計画は事故時の住民の被曝を防ぐ「最後の砦」ともいわれるが、日本では米国と違い、原子力規制委員会による規制の対象とはなっていない。それだけに実効性が本当に担保されるかが問われている。第3回は、原子力を含む災害危機管理に詳しい、広瀬弘忠・東京女子大学名誉教授(災害・リスク心理学)に、現状の避難計画の問題点などについて聞いた。

――川内原発の審査における問題点をどう考えていますか。

 一番の問題は、規制委の審査は深層防護、多重防護によって事故を最低限に抑えられるという想定があるわけだが、それが固定化することで、再び「安全神話」につながっていきかねないということだ。福島第一原発事故が想定外だったとされたように、100%安全だとか、0%の危険性だとか、考えることにはそもそも無理がある。

事故の可能性がゼロではないはずなのに、事故はありえないことを前提にしているからこそ、原子力防災・避難計画の策定が地元自治体に丸投げされている。

立地自治体はもともと、税収増や雇用増などの経済的メリットがある原発を誘致したいのだから、チェック機能は働きにくい。それなのに、自治体へ避難計画が丸投げされ、結果的に実効性の乏しい避難計画になっている。福島の教訓がまったく生かされていない。

@米国では避難計画次第で廃炉も

原子力災害の大きさを考えれば、原発の再稼働を判断する要件として、実効性のある避難計画の策定は当然入れるべきだ。米国の原子力規制当局は避難計画を非常に重要視しており、避難計画次第で原発が廃炉に追い込まれる。ニューヨーク州のショーラム原発のように、州知事が避難計画を不十分として承認せず、一度も稼働せずに廃炉となったケースもある。

――自治体に責任が丸投げだと、実効性のある避難計画策定は難しいと。

 川内原発の地元に限らず、日本の場合、各自治体が住民にどうやって放射性物質拡散状況などの情報を提供し、避難指示を行い、避難を支援するかといった計画は、まったくお寒い状態といえる。原発から30キロメートル圏外に避難するときに行う除染でも、実戦的な訓練ができていない。

PAZ(原発から半径5キロメートル圏内の予防的防護措置準備区域)の住民が先に避難し、その後にUPZ(5~30キロメートル圏内の緊急時防護措置準備区域)の住民が避難するという、二段階の避難をどこも想定している。が、緊急時には、PAZの住民もUPZの住民も、みんな一斉に避難するかもしれない。なぜ二段階で避難するといった非現実的な計画を立てるかというと、それがいちばん時間の節約になるからだ。都合のいいように恣意的に作られている。

放射性物質のように、人間の五感で知覚できないものの恐怖に対し、住民はみな遠く遠くへ逃げようと考える。40キロメートル圏、50キロメートル圏の人たちも、避難することがありうる。それをコントロールする主体もない。

 その中でも、川内原発の避難計画は、避難時間シミュレーション(鹿児島県が2014年5月29日に発表)が13通りしかないように、ほかと比べて見劣りする。たとえば、混雑などで国道267号が通行できない場合という想定があるが、南九州自動車道も同時に通行できない場合はどうするかといった、複合的な最悪事態を想定していない。

@勝手に避難する人をどうするか

また、「指示に基づかない避難」、要するに勝手に避難するUPZの人の割合を40%としてほとんどのケースを想定しているが、とうてい40%にとどまるとは思えず、非常に恣意的。本来はいちばんひどい状況を想定すべきものだ。誰からも避難指示が出ない、交通規制も行われない、ガソリン切れで車がストップして道路がふさがれた場合など、想定すべき最悪の事態は多い。現状は、シミュレーションといいながら、その内容は実にお粗末だ。1変数だけとって、あとは楽観的に考えている。

――鹿児島県のシミュレーションでは、PAZの避難が90%完了した時点で、UPZの避難指示が出されることを前提に、避難時間は最長で28時間45分、最短で9時間15分としています。

そんな都合のいい方法で避難指示が出せるものか。UPZの人たちはじっと家の中で待機しているという、幻想的な想定がされること自体がおかしい。

避難というのはそんな簡単にいくものではなくて、さまざまな個別の事情に左右される。鹿児島県のシミュレーションでは、避難指示直後から最大2時間以内に避難を開始すると想定されているが、PAZのほとんどの人が2時間以内に避難を開始するとは考えにくい。避難は家族単位でまとまって行うのが普通なので、子どもを保育園から連れて帰るなど、いろいろな家族の都合で時間がかかるだろう。

結局、県のシミュレーションが出された結果、それがほとんど非現実的で役に立たないだろうというのがわかっただけだ。

――鹿児島県の伊藤祐一郎知事が、UPZの要援護者(高齢者や障害者など自力避難が困難な人)の避難計画に関し、「作らない」と発言したことが問題視されています。

UPZという圏内を作っておきながら、要援護者の支援はマンパワーからしてもできない、しかもそれは当然だという言い方をしている。が、いちばん援護が必要な人たちを避難させられない状況で、本当に避難計画といえるのか。

@他県との協調体制ができていない

われわれには「福島」という一つの大きな教材がある。いろいろな失敗から学ばなければならないのに、失敗を避ける方法をあえて無視している。そういうやり方はあまりにも政治的というか、エゴイスティックという気がする。福島の教訓を生かすなら、30キロメートル圏だけでなく、40キロメートル、50キロメートル圏のことまで考えなくてはならない(福島事故では、30~45キロメートル圏の飯舘村に避難指示が出された)。

避難先は周辺の県へも拡大していくことが想定されるが、他県との協調体制はまったくできていない。警察や消防などが連携し、自衛隊の支援も組み合わせて、避難・災害支援態勢をどう構築するか。縦割りの弊害をなくし、統合的な指揮系統を整えることが必要だ。

川内原発審査の問題②:火山影響評価は科学的とはいえない

★川内原発審査の問題②

*高橋正樹・日本大学教授:「火山影響評価は科学的とはいえない」***「東洋経済オンライン 2014-8/7 BY 中村 稔、岡田 広行 :東洋経済編集局記者」より転載

*高橋正樹(たかはし・まさき)●1950年生まれ。東京大学理学部地質鉱物学科卒業。東京大学大学院理学系研究科博士課程(地質学)修了、理学博士。茨城大学理学部教授を経て、日本大学文理学部教授、現在に至る。専門は火山地質学、岩石学。

・・・・・・・・・

 川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)特有のリスクと考えられるのが、カルデラ火山の影響だ。川内原発周辺には桜島のある姶良(あいら)カルデラ、霧島周辺の加久藤(かくとう)・小林カルデラ、指宿周辺の阿多カルデラなど、巨大カルデラ火山が林立している。原子力規制委員会は2013年6月に自らがまとめた、「原子力発電所の火山影響評価ガイド」(以下、火山ガイド)に基づいて審査しており、川内原発については「運用期間中(核燃料が存在する期間)に、設計対応不可能な火山事象によって、本発電所の安全性に影響を及ぼす可能性について十分小さい」とした九州電力の評価を妥当と判断。立地不適とはしなかった。

 しかし、こうした審査については、火山学者などの専門家から疑問の声も上がっている。第2回は、火山地質学が専門で桜島火山・姶良カルデラなどの研究も続ける、高橋正樹・日本大学文理学部地球システム科学科教授に、審査の問題点について聞いた。

――規制委の火山影響審査についてどう評価していますか。

今回の審査の問題点を端的に言えば、できもしないことをできるかのように扱っており、必ずしも科学的とはいえないということだ。一見、科学的な評価をしているように見えるが、実際はそうではない。できないことをできるといえば、結果的に国民にウソをつくことになりかねない。新たな「安全神話」をつくるようなことがあってはならない。

問題は、火山審査の基準として、規制委が作った火山ガイドにある。中でも大きいのは、噴火の時期や規模を予測するために階段ダイヤグラムを使う点であり、もう一つが地殻変動の観測などによって超巨大噴火も予測できるとしているモニタリング(監視)だ。

@階段ダイヤグラムで議論するのは困難

階段ダイヤグラムというのは、縦軸に噴出量を取り、横軸に時間を取って、噴出規模や噴出時期を予測する方法だが、理想的なものを作ることができれば役に立つが、実際問題として作るのが非常に難しい。噴出量の見積もりの誤差が大きく、年代測定も難しい。10人研究者がいれば、10通りの階段ダイヤグラムが作られる。そういうものだ。

ところが規制委は、階段ダイヤグラムによって火山活動の全体を予測できるという前提に立って、火山ガイドを作っている。それで原発規制の厳密な議論ができるのかは非常に疑わしい。

――審査の結論では、姶良など川内原発周辺のカルデラ火山がVEI7以上(VEIは噴火の規模を表す指標)の巨大噴火を起こす可能性について、「平均発生間隔は約9万年」であり、最新の噴火が約3.0~2.8万年前であることから、原発の運用期間中の噴火の可能性は十分低いとしています。

そもそも平均間隔を予測することは難しい。しかも、それはあくまで川内原発が一瞬にして火砕流に飲み込まれてしまうような、超巨大噴火の可能性だ。3万年近く前に超巨大噴火が発生した姶良カルデラでは、その後、マグマの供給が確実に進んでおり、VEI5~6クラスの噴火なら、いつ起こっても不思議ではないともいえる。

 風向きにもよるが、川内原発に影響を与えるという意味では、VEI5でも十分に大きい。桜島の大規模の噴火でも、火山灰の影響はある。それで電線がショートしたりして、外部電源が喪失されれば、事故が起きうる。超低頻度でまれにしか起きない超巨大噴火の発生予測よりも、現実的に起こりうる噴火の影響評価をケースに応じてもっと詳細に行うべきではないか。

@巨大噴火の時期や規模は予測できない

――モニタリングではどこに問題がありますか。規制委の審査では、過去に川内原発まで火砕流が到達したことが否定できない、加久藤・小林、姶良、阿多のカルデラなどのモニタリングとして、地殻変動などの観測を行うという九電の計画を、火山ガイドを踏まえたものとして了承しました。

噴火の予測にはいろいろな方法があり、火山性地震・微動をはじめ、地殻変動(マグマ溜まりによる地殻隆起)、電気抵抗や重力の変化、二酸化硫黄など火山ガスの量の変化がある。これらによって噴火が起こる可能性はわかるが、噴火の規模はわからないし、噴火が発生した後でどう推移するかもわからない。これが現在の噴火予知の限界だ。

このうち、噴火規模について、ある程度の予測が可能なのは、地殻変動による推定だ。これまでの研究によると、姶良カルデラ内にある桜島火山のマグマ溜まりには、10年あたりおよそ0.1立方キロメートルのマグマが供給されていると推定される。過去2.6万年の間に260立方キロメートル近いマグマ溜まりが形成された可能性もある。この半分の量が桜島火山として噴出したとしても、100立方キロメートル以上の超巨大噴火に匹敵する(100立方キロメートルは琵琶湖の容積の約4倍)。そのため、姶良カルデラにおける超巨大噴火の可能性は、完全には否定できない。

しかも、どの時点で噴火するかは不明で、直前予測は困難だ。最終的にどの程度の規模になるかもわからない。急激な隆起が見られても、噴火には至らず終息するケースもある。つまり、地殻変動モニタリングによっても、巨大噴火を正確に予測することは難しい。それが大多数の火山研究者の見方だろう。

――そういう状況で、地殻変動による警戒時にいつ原発から核燃料を運び出すのか、判断できるのでしょうか(火山活動の兆候把握時における原子炉停止や核燃料搬出などの九電の対処方針は不明)。

ほとんど判断できないだろう。原子炉停止、核燃料搬出などの対処方針を定めるというが、どこに運び出すかも明らかでなく、本当にできるのかは非常に疑問だ。噴火の予兆が出て核燃料搬出の判断をしたとしても、原子炉を冷温停止して運び出すには時間がかかるともいわれ、間に合うかどうかもわからない。

――規制委による火山ガイド策定では、ごく一部の火山学者しか関わっていないとされています。

火山学会に評価が依頼されたわけではない。火山の影響評価においては何が重要か、規制委の内部で十分練られていないのではないか。

――川内原発以外の原発で、火山の影響に注意すべきところはどこでしょうか。

北海道の泊原発では、有珠山が大規模な噴火をした場合、風向きによっては影響が及ぶ。江戸時代に活発に活動した樽前山などの火山もあり、近々噴火する可能性も十分にある。

 また(静岡県の浜岡原発に比較的近い)富士山にしても、江戸時代に大量の火山灰を広範囲に降らせた、宝永大噴火(1707年)から300年以上経っており、いつ大噴火が起きてもおかしくない。南海トラフを震源とする巨大地震が噴火の契機になる可能性もあるが、噴火以前に、巨大な地震や津波の可能性を考えれば、浜岡原発は世界で最も危険な原発と言えるだろう。
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