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村上春樹インタビュー:「孤絶」超え、理想主義へ

★村上春樹さん:単独インタビュー 「孤絶」超え、理想主義へ
***「毎日新聞 2014年11月03日 東京朝刊」より転載
 
作家の村上春樹さんが、5年ぶりに本紙の単独インタビューに応じた。1979年のデビューから35年。創作活動や海外での読まれ方、現代における文学の役割まで、幅広い話題について語った。【構成・大井浩一】

 ●米国1位うれしい

 −−村上作品は欧米、アジアなど約50の言語に翻訳・出版されている。現役作家の作品がこれほど読まれるのは世界でも異例だ。

 10月に約1週間、イタリアに滞在しましたが、毎日、誰かに声をかけられました。日本で街を歩いても月2回ぐらいしかかけられないのに(笑い)。80年代後半、しばらくイタリアに住みましたが、その時とは事情が一変しているのにびっくりしました。

 いちばん驚いたのは今夏、(小説「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」の英語版が)米紙ニューヨーク・タイムズでベストセラーランキングの1位(ハードカバー・フィクション部門)になったこと。米国で最初に翻訳が出たのは80年代末で、初めはあまり売れなかった。それから25年かけて、だんだん実績を積み重ねてベストセラーの1位までいった。そういう伸び方はすごくうれしい。

 ●日本離れゼロから

 −−90年代初めには、自ら米国で文芸エージェントや出版社を探し、独力で開拓する苦労もあった。

 ずっと日本で仕事をしていてはだめだと思って、外国へ出て行きました。日本にいたら一応、本も売れるし、それなりにやっていけるんだけど、そういうホームグラウンドを離れて、もう一度ゼロからやり直すわけだから、大変だったですよ。サイン会をしても十何人しか人が来ない、とかね。今は2000人近く来るようになりましたが。

 やっぱり日本では居心地が悪かった。日本の文芸システム、文壇システムみたいなものに、なかなか受け入れられず疎外感を持っていましたし、風当たりも強かったですから。要するに、僕のやりたいと思っていることや、採りたいと思っている方法と、文芸メディアの考えが基本的に合わなかったということが大きいと思うんです。どちらが正しいとかじゃなくて。そういうフラストレーションみたいなものが、僕の中でたまっていたということはあります。システムの中での付き合いみたいなのもあまり得意じゃなかったし、志を同じくするような人も特に見当たらなかったし。

 ◇欧米、アジアで違う評価

 ●方法とストーリー

 −−村上作品の魅力は、現実と非現実が交錯する物語の面白さにある。国・地域によって読まれ方は違うのだろうか。

 欧米の人々はどちらかというと論理的に読みます。この小説はポストモダニズムだとかリアリズムだとか、論理的に解釈する傾向が伝統的に強い。僕の場合は「日本的ポストモダニズム」として読まれているようです。ストーリーやテーマ性よりは文学的なメソッド(方法)で評価されることが多い。リアリティーと非リアリティーがどのように重なり複合的になっていくか、という点を、ポストモダニズムの新しい方法として評価しているようです。

 これに対して、日本以外のアジアではストーリーの要素が大きい。ストーリーラインのダイナミズムに読者は自然な魅力を感じるのかもしれません。また、ある種の小説的ソフィスティケーション(洗練)、登場人物のライフスタイルやものの考え方に対する興味もあるみたいですね。「何とかイズム」みたいなことはあまり関係ない。

 例えば、僕の作品で主人公が井戸の底に座っていて石の壁を通り抜けてしまうといった場面を、欧米人は「ポストモダニズムだ、マジックリアリズムだ」みたいに解釈するけど、アジアの人は「そういうことはあるかもな」と自然に受け入れてしまう(笑い)。アジアでは荒っぽくいえば、何がリアルで何が非リアルかは表裏一体なんです、日本でもそうだけど。そういう物語の風土の違いは確かにあると思います。

 ●簡単な言葉で深く

 −−風土の違いを超え、世界で広く読まれるのはなぜか。

 小説というのは物語が面白くなければ人はまず読みません。それが基本です。「次はどうなるんだろう」と思わずページを繰っていくドライブ感が必要で、読者を立ち止まらせたらおしまいです。だから「簡単な言葉を使って、複雑で深い物語を書きたい」というのが僕の理想です。でも少なくとも最初のうち、そういう考え方はあまりすんなりとは受け入れられなかった。

 −−今年4月に短編集「女のいない男たち」を刊行した。収めた6編それぞれの主人公の「男たち」は30代から50代まで年代が幅広く、描き方もいっそう自在になっている。

 少し前までは、こういうものは書けなかったなと思います。僕は20代から30代ぐらいの人を書くことが多かった。「海辺のカフカ」では若い人を書こうと思って、15歳の少年を登場させ、「ナカタさん」という老人も入れましたが、あれはまあ特殊なキャラクターでした。今回は、もう少し自分に近い年齢の人物も描いてみようというのが、一つの目標でした。チャレンジというか。

 ここでは「孤絶」が一つのテーマになっています。女の人に去られた男の話が中心ですが、具体的な女性というよりは「自分にとって必須なもの」が欠如し消滅し、孤絶感を抱え込むことの表象だと思っています。若い時の孤独はあとで埋め直したり取り戻したりできるけど、ある年齢以上になると、孤独は「孤絶」に近いものになる。そういう風景みたいなものを書いてみたかった。僕ももう60代半ばになって、こういうものが少しずつ書けるようになってきたかなという気がします。

 ◇日本の問題は責任回避

 ●終戦も原発事故も

 −−来年は戦後70年。作中で近代日本の戦争を描くこともあった作家は何を思うか。

 直接的な意見を述べるとステートメント(声明)になってしまいます。小説家はステートメントを出すのではなくて、フィクションという形に思いを昇華させ、立ち上げていくものだと思います。ただ、僕は日本の抱える問題に、共通して「自己責任の回避」があると感じます。45年の終戦に関しても2011年の福島第1原発事故に関しても、誰も本当には責任を取っていない。そういう気がするんです。

 例えば、終戦後は結局、誰も悪くないということになってしまった。悪かったのは軍閥で、天皇もいいように利用され、国民もみんなだまされて、ひどい目に遭ったと。犠牲者に、被害者になってしまっています。それでは中国の人も、韓国・朝鮮の人も怒りますよね。日本人には自分たちが加害者でもあったという発想が基本的に希薄だし、その傾向はますます強くなっているように思います。

 原発の問題にしても、誰が加害者であるかということが真剣には追及されていない。もちろん加害者と被害者が入り乱れているということはあるんだけど、このままでいけば「地震と津波が最大の加害者で、あとはみんな被害者だった」みたいなことで収まってしまいかねない。戦争の時と同じように。それが一番心配なことです。

 ●軸を喪失した世界

 −−冷戦崩壊の後、世界は混沌(こんとん)(カオス)的な状況にあるという認識を語ってきた。同じ状況は今も続いているのか。

 そうですね。冷戦が崩壊して、東か西か、左か右かという軸が取っ払われ、混沌が平常の状況になってきました。僕が小説で書こうとしているのも、いわば軸の取っ払われた世界です。ベルリンの壁が崩壊した頃から僕の小説はヨーロッパで受け入れられ始め、アメリカでは9・11事件の起こった後で受け入れられ始めた。軸の喪失がおそらくキーワードになっています。

 僕らの世代は60年代後半に、世界は良くなっていくはずだというある種の理想主義を持っていました。ところが、今の若い人は世界が良くなるなどとは思わない、むしろ悪くなるだろうと思っています。もちろん、それほど簡単には言い切れないだろうけど、僕自身はある程度、人は楽観的になろうという姿勢を持たなくてはいけないと思っています。

 −−そのためには、まず「孤絶」に耐えなくてはいけない。これが村上作品から伝わってくるメッセージだ。

 いったんどこまでも一人にならないと、他人と心を通わせることが本当にはできないと思う。理想主義は人と人とをつなぐものですが、それに達するには、本当にぎりぎりのところまで一人にならないと難しい。一番の問題は、だんだん状況が悪くなっていくというディストピア(ユートピアの反対)の感覚が、既にコンセンサスになっていることです。僕としては、そういう若い世代に向けても小説を書きたい。僕らが60年代に持っていた理想主義を、新しい形に変換して引き渡していくのも大事な作業です。それはステートメントの言葉ではなかなか伝わりません。軸のない世界に、「仮説の軸」を提供していくのがフィクションの役目だと信じています。

右傾化安倍政権の金権スキャンダル

安倍政権を窮地に追い込むことになった右傾化と金権化 
***「『五十嵐仁の転成仁語』 2014-10/30」より転載

 かねてから、自民党には2つの持病がありました。右傾化と金権化です。
 安倍政権も、この持病からは免れなかったようです。周辺諸国との外交的行き詰まりをもたらした右傾化に続いて、「政治とカネ」の問題が安倍政権を窮地に追い込みつつあります。

 政治資金の使い道についての疑惑の責任を取って、小渕優子経産相と松島みどり法相の2人が辞任しました。このダブル辞任によって、にわかに「政治とカネ」の問題が政局の焦点として浮上しています。
 小渕さんの収支報告書を作成したとされる群馬県中之条町の折田謙一郎前町長は東京地検特捜部から任意で事情聴取されました。今後、刑事事件に発展する可能性があり、小渕さんは議員辞職の検討に入ったと伝えられています。
 「うちわ」を配った松島前法相の辞職は本人の決断であるというより、安倍首相の意向を受けた菅官房長官からの圧力によるものであったようです。ダブル辞任で一挙に決着をつけ、問題が長引くのを避けたいという思惑があったからでしょう。

 しかし、この官邸側の思惑通りにはいかなかったようです。その後も、次々と疑惑閣僚の名前が報じられています。
 閣僚では、次のような人々の名前が挙がっています。辞任した2人を含めれば8人にもなるわけですから、驚いてしまいます。

塩崎厚労相 厚労省関連の業界団体などから献金、地元老人ホームへの秘書による口利き
西川農水相 実刑判決の安愚楽牧場から献金、親族企業からの物品購入
望月環境相 賀詞交歓会での支出が別の会合への支出と判明
江渡防衛相 資金管理団体から江渡本人へ寄付、政党支部からも本人に寄付
宮沢経産相 SMバーへの交際費支出、外国人企業からの献金、東電株所有
有村女性活躍担当相 脱税で罰金判決を受けた企業から脱税発覚前に寄付

 これらの疑惑閣僚は、「秘書が」と言ったり「妻が」と言ったりして、自らの関与を認めようとしていません。これまでもおなじみの言い逃れの手法ですが、そのようなことは許されません。
 また、疑惑の事実を認めても、「訂正したから」「返金したから」ということで、責任を回避しようとしています。ばれなければそのままで運悪くばれたから是正措置をとるということであれば、政治資金規正法など意味をなさなくなります。
 このような問題が生ずる背景には、政党助成金がもらえるだけでなく企業からの献金も禁止されず、政治資金がだぶつくような形になっているという事情があります。使い切った形にするために、おかしな領収書までかき集めてしまったということなのでしょう。

 この「政治とカネ」の問題は民主党にまで飛び火しました。枝野幹事長の関連政治団体による新年会の会費収入の記入漏れが発覚したからです。
 安倍晋三首相は自民党本部で萩生田光一総裁特別補佐らと意見交換し、この問題を念頭に「撃ち方やめ、になればいい」と言ったそうです。「どっちもどっち」ということで、有耶無耶になって欲しいというわけです。
 でも、これらの疑惑閣僚を任命したのは安倍首相本人です。自らの責任を棚に上げて、「撃ち方やめ」というのは誠に身勝手な言い分だというほかありません。

・・・・・・・・・・・・・

“SM大臣”が霞む…安倍首相&麻生大臣「政治資金」放蕩三昧
***「日刊 ゲンダイ 2014-10/26」より転載

 これじゃあ、“SM大臣”を叱れっこない。安倍首相と麻生副首相、政権2トップの政治資金の使い道はそろってデタラメ。目に余る放蕩三昧で、一方はキャバクラ、一方は「元愛人」の店に入り浸っていた。

 安倍首相の資金管理団体「晋和会」の10~12年分の収支報告書をみると、「行事費」という名目で多額の飲食代を計上。その規模は3年間で3000万円近い。

 支払先は銀座の老舗ワインバー「アムールズ」、恵比寿の3つ星フレンチ「ジョエル・ロブション」、四谷の予約困難店「オテル・ドゥ・ミクニ」、都内有数の高級ふぐ店「博多い津み 赤坂」など、1人当たり2万円を超える名店ばかり。

 12年9月10日には銀座の一流すし店「久兵衛」をはじめ、1日で計10店、総額約80万円を支出。安倍首相が同月の自民党総裁選への出馬を正式表明したのは2日後のこと。5年ぶりに総裁に返り咲いた直後、安倍首相自身が支部長を務める「党山口県第4選挙区支部」の怪しい支出が発覚した。
   
「09~11年の3年間にキャバクラやクラブなど女性の接客を売りにする店に計59件、総額127万円を政治資金から支出していたのです。下戸の首相本人は一度も参加せず秘書らが通っていたようですが、安倍サイドはメディアの指摘を受け、慌てて報告書から支出を削除。秘書らに全額返納させました」(地元政界関係者)

 ミスと言い張るSM大臣と違って、安倍サイドのキャバクラ支出は「確信犯」だ。当時は「政党活動に必要な情報収集、意見交換を行う中で、関係者に応じてさまざまなシチュエーションが必要だった」と説明した。キャバ嬢をはべらせて一体、どんな相手に意見を求めていたのか。

■「元愛人」に1805万円

 安倍首相をはるかにしのぐのが、麻生大臣のデタラメ支出だ。資金管理団体「素淮会」の10~12年分の収支報告書によると、「交際費」名目で消えた飲食代は12年分だけで3000万円を突破。3年間の総額はナント、1億円近くに上る。

常連店は銀座の3つ星すし店「すきやばし次郎」など美食三昧も安倍首相に負けず劣らず。1日の支払先が10店オーバー、1店20万円を超える高額出費は日常茶飯事。12年2月10日には神楽坂の高級料亭「幸本」に54万円をポンと弾んだほか、銀座の高級クラブなど計15店に総額230万円もの大金を落としたほど。

 気になるのは、居並ぶ高級店に交じって「オフィス雀部」という六本木の有限会社への支出を3年間で計22回、総額1805万5000円も計上していることだ。

「六本木の会員制サロンを経営する会社で、麻生大臣はその店の“太い客”。経営者の女性は麻生大臣と過去に愛人関係にあったことを認めた、と6年前に週刊誌で書かれたこともある。ちなみに安倍首相も店の常連です」(自民党関係者)

 1万8230円の支出で批判されているSM大臣が、ちっぽけに思えてくる。
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