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3月の唄:かえり船

★3月の唄:かえり船

作詞:清水みのる
作曲:倉若晴生
歌唱:田端義夫


1 波の背の背に 揺られて揺れて
  月の潮路の かえり船
  霞む故国よ 小島の沖じゃ
  夢もわびしく よみがえる

2 捨てた未練が 未練となって
  今も昔の せつなさよ
  瞼(まぶた)あわせりゃ 瞼ににじむ
  霧の波止場の 銅鑼(ドラ)の音

3 熱いなみだも 故国に着けば
  うれし涙と 変わるだろう
  鴎ゆくなら 男のこころ
  せめてあの娘(こ)に つたえてよ


・・・(前略)・・・

この歌は敗戦によって南方諸島や台湾、朝鮮、満州、樺太などから引き揚げてきた人びと、いわゆる引揚者の心情を歌ったものです。なお、軍人の場合は引揚者ではなく、復員兵といいます。

 筆舌に尽くしがたい苦難を重ねた末、やっとたどり着いた日本。船からその影を見たとき、万感胸に迫って泣く人も多かったはずです。帰還前になくした家族や自身が受けた被害、国に残してきた老親や恋人は無事か、家は残っているかなど、さまざまな思いが胸の中で渦巻いたことでしょう。

 引揚者が上陸したおもな港は、博多港、佐世保港、舞鶴港、浦賀港、仙崎港、大竹港、鹿児島港、函館港などですが、この歌の舞台になったのは博多港だといわれています。一番の小島は博多湾外の玄界島だと思われますが、船は湾内の能古島(のこのしま)近くに停泊し、引揚者たちは検疫などを受けたのち、上陸したといいます。

・・・(後略)・・・

***「二木紘三のうた物語」より抜粋転載

@3月のエントリーはこれが最終版です。
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安保法制改悪整備の波紋(下)

★波紋 安保法制〈下〉集団的自衛権 追いつかぬ国民理解
***「2015年3月22日(日)13時3分配信 カナロコ by 神奈川新聞」より転載

安全保障法制整備で自民、公明両党が20日に合意した方向性には、新たな目標が数多く盛り込まれた。だが、国会議員でさえ「複雑で分からない」と漏らす概念や視点が少なくない。今後の法案づくりでは、集団的自衛権の行使容認に向け安倍政権が昨年7月に閣議決定した内容も「過不足なく盛り込む」としているが、どのような状況が対象として浮上するのかは、不透明なままだ。憲法が揺らぎ、安保政策の大転換となる節目にもかかわらず、社会の理解は追いついていない。

 「共同文書は曖昧で、一般の人が読んで分かるだろうか。国の形を変える大切な転機だということは皆が感じているが、理解が追いついていない」

 憲法の成り立ちを考える「憲法カフェ」を各地で開いている横浜弁護士会所属の武井由起子弁護士は懸念を深めている。

 カフェは月3回の頻度で開催。20人ほどが集い、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定への関心も高い。

 参加している母親は、家で夫に「中国に攻められるから、ちゃんとやらなきゃいけない」と言われたという。だが他国からの直接攻撃は日本有事。個別的自衛権の範囲だ。

 カフェの延長で高校生を相手に憲法の話をすると「自分たちに関係する話」との反応が多い。「集団的自衛権の話は将来の国民を拘束するのに、今回の憲法解釈には将来にわたって政権を縛る歯止めがない。安倍晋三首相が慎重に対応したとしても、次の首相や将来の首相がそうするとは限らない」

 複雑な法制整備の議論に苦闘しているのは、与党議員も例外ではない。与党協議を受けて自民、公明両党が党内で議論を深めたが、ある公明党議員は会議終了後、「ついていくのが精いっぱいだ」と漏らした。

 背景には、集団的自衛権の行使を認めることで、日本の安全保障状況を定める「事態」を再び整理し直す必要が生じたこともある。

 現行の武力攻撃事態法では、「武力攻撃事態」「武力攻撃予測事態」を規定。これに、集団的自衛権を反映させた「新事態」が加わることになる。政府は「存立危機事態」との名称を提案したが、安保法制の全体像をまとめた共同文書では明記されず、正式な名称も先送りとなった。

 与党協議では、集団的自衛権の行使に対する「歯止め」をめぐる議論も焦点となった。海外での武力行使を封じてきた自衛隊の任務拡大にブレーキをかける必要があるからだ。

 公明党は自衛権発動の新3要件である(1)日本と密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険(2)国民を守るために他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使-のうち、(2)の要件を法案に明記するよう求めているが、結論は持ち越された。

 どのような状況が具体的に対象となるのかも見えていない。安倍政権は中東・ホルムズ海峡が機雷封鎖された際の機雷除去を例示したが、ある有識者は「同盟関係にある米軍が日本に期待している集団的自衛権行使はむしろ、ミサイル防衛協力だろう」と分析する。

◆野党 後半国会で論戦へ

 安全保障法制をめぐる審議は、通常国会の後半で大きな論点となりそうだ。会期延長も視野に入る中、与党合意に対して野党は、それぞれの立場で検証に臨む姿勢をみせている。

 民主党の岡田克也代表は20日、与党合意を「『切れ目のない』安全保障法制という名のもとに、『歯止めのない』自衛隊の海外での活動に拡大につながる」と批判する談話を出した。

 民主党は安保法制をめぐる党内議論を続けており、自衛隊の国連平和維持活動(PKO)参加に関連し、他国部隊や民間人を守る「駆け付け警護」や任務遂行型の武器使用を条件付きで認める方針を確認。他国部隊と共同での宿営地防衛や武装解除などの任務を可能とする法改正も目指すとした。

 ただ、それ以外の論点については「想像の世界で議論するのは建設的とは思えない」(党幹部)と、政府の法案づくりを見定める構えだ。安保政策の姿勢に党内で幅が残る事情もある。

 「さらっと見ただけでも問題が多い」。維新の党の江田憲司代表(衆院8区)も19日の会見で与党合意を批判し、「法文に落とし込んだ段階で精査したい」と検証に努める姿勢を示した。維新は自衛隊の海外活動に歯止めを設ける独自法案の提出を目指す方針だ。

 共産党は「憲法9条の下で絶対に許されない。法制化作業の中止を求める」(山下芳生書記局長)。社民党の又市征治幹事長も「わが国の平和主義の根本に関わる重大な問題が、国民不在のまま与党間の不透明な検討作業によって進められることは誠に遺憾だ」と非難した。

◇安全保障法制で検討されている「事態」

▼日本への攻撃

<武力攻撃事態>

武力攻撃が発生、または明白な危険が切迫していると認められるに至った事態

<武力攻撃予測事態>

事態が緊迫し、武力攻撃が予想されるに至った事態

▼他国への攻撃

<新事態(仮称)=新設>

わが国と密接な他国への武力攻撃が発生し、わが国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある事態

<重要影響事態(仮称)=新設>

日本の平和と安全に重要な影響を与える事態(周辺事態法で対応)

◆他国軍の支援も拡大

 昨年7月の閣議決定を踏まえた集団的自衛権の行使容認は、自衛隊法と武力攻撃事態法の改正で反映させることになる。現行法で規定する日本への攻撃に関連する事態と区別する作業が、今後の焦点だ。

 日本への武力攻撃に至る前の段階(グレーゾーン)事態の対処では、平時の警戒監視や共同訓練を「日本の防衛に資する活動」とし、参加する他国の艦船などを自衛隊が守る法改正の検討が盛り込まれた。現行法が認める防護対象は自衛隊の武器だけだが、改正で「米軍および米軍以外の他国軍の武器等」も加える。

 現行の日米防衛協力指針(ガイドライン)を反映させて有事の米軍後方支援を盛り込んだ周辺事態法も改正。事実上の地理的な制約を削除し、新たに「重要影響事態」と位置づけて地球規模で日米協力を強化させる。支援対象は「日本の平和のために活動する米軍や他国軍」に拡大する。

 「極東の平和と安定の維持」を目指す安保条約との関連が明確化された形で、法改正に基づく活動地域や対象国の範囲が今後の論点となる

安保法制改悪整備の波紋(上)

★波紋 安保法制〈上〉 隊員の安全どう確保 自衛隊任務拡大
***「2015年3月21日(土)13時20分配信 カナロコ by 神奈川新聞」より転載

新たな安全保障法制整備の骨格を定めた共同文書が20日、自民、公明両党の与党協議会で正式に合意された。集団的自衛権の行使容認や他国軍への後方支援など、自衛隊任務を大幅に拡大する方向性が盛り込まれたことに、複雑な思いを抱く自衛官や家族、関係者も少なくない。

 「娘が自分の目で選んだ人の仕事をうんぬんしたくない。でも娘の将来に関わると思うと、彼には危険な仕事に携わってほしくないと思ってしまう」

 県内在住の50代の女性は昨年暮れ、自衛官と交際中の娘から、結婚に踏み出せないでいることを打ち明けられた。

 「自衛隊を辞められるなら、辞めてほしい」-。母としての本音だ。

 湾岸戦争後のペルシャ湾掃海艇派遣、米中枢同時テロ後のテロ対策特措法に基づくインド洋での給油支援などを経て、現在は海賊対処法に基づいたソマリア沖での監視任務が続く。

 海外任務中の護衛艦では、幹部が乗員たちの心身の管理に心を砕いていた。「わずかな体調の変化も、自覚したらすぐ知らせるように伝えていた」。長期にわたる海外任務の経験が蓄積されていることの表れといえる。

 海自護衛艦の乗員でもある夫を持つ40代の女性は、インド洋での給油支援活動に従事した夫と1カ月以上も連絡が取れなかった。

 法制整備により、今後予想される任務の拡大-。女性は「そのときにならないと分からない」。再び派遣されることになれば、涙をのんで「行ってらっしゃい」と言うことにしている。とはいえ、「漠然と『大丈夫』と思い込んでいないと、気持ちが持たない」のが正直な気持ちだ。

 家庭では職場の話をしない夫。だが、安保法制整備への動きを伝えるニュースには、こうつぶやいていた。「これからは隊員のなり手が減るだろう」

 今回の与党協議の合意では自衛隊の海外活動をめぐり(1)国際法上の正当性(2)国民の理解が得られるよう民主的統制を適切に確保する(3)自衛隊員の安全確保に必要な措置を定める-の3点を確立するとした。

 とりわけ自衛隊員の安全確保は、与党協議や両党内の会議でも、たびたび議論に上っている。過激派組織「イスラム国」による邦人人質殺害事件を受け、在外邦人の救出も議論の対象となっていたためだ。

 在外邦人救出については、政府は「邦人や隊員の安全確保の見通しが立つことが前提」と強調する。しかし、自民党の会議では「安全性を強調しすぎると実際の活動ができなくなる」との不満が漏れているのも実情だ。

 自衛隊の役割拡大に積極的な政府・自民党と、多くの歯止めをかけたい公明党が綱引きを続ける構図は、与党協議で一貫して変わらなかった。

 ただ、「こちらが押し切ったような形に見られている」「『前のめりになっている』と批判を受けた」と、世論に神経をとがらせる意見は自民党内からも相次いでおり、今後の法制化で丁寧な説明を求める声は今後も上がりそうだ。

◇派遣の要件 今後の論点に

 今回の与党協議では、自衛隊の海外での活動が大きな論点の一つとなった。人道復興支援などを行う国際平和協力活動では、派遣の要件をめぐって結論を先送りした項目もあり、将来的な任務拡大の余地は不透明なままだ。

 これまでインド洋給油支援やイラク自衛隊派遣は特別措置法で対応されてきたが、今回の法制整備は国連平和維持活動(PKO)以外の人道復興支援などに参加できる法改正を目指しており、実現すれば派遣が随時可能となる。さらに、国際紛争に対処する他国軍に後方支援を提供する恒久法を新たに定める方針も掲げている。

 自衛隊派遣に対し、公明党は「国際法上の正当性」を要求。結局、合意文書では恒久法に基づく派遣の要件を「国連決議」で一致した。ただ野党からは「湾岸戦争時に採択された国連決議を援用して正当性を主張したイラク戦争にも、独仏は参加していない」(江田憲司・維新の党代表)との指摘が上がっており、どのような性格の決議を要件に位置づけるかが今後の焦点になる。

 新たな骨格では、他国の「武力の行使」との一体化を防ぐ枠組みを設けることも必要とした。後方支援を実施する地域の状況が変わり戦闘地域となった場合には、活動を休止することなどが想定されそうだ。

 一方、PKO協力法については、PKO以外の人道復興支援や治安維持活動ができる法改正の検討を明示した。ただ、同法に基づく派遣は武力行使を前提としていない。

 現行のPKO参加には、紛争当事者間の停戦合意など「5原則」が課されるため、それ以外の活動に公明党は「5原則に匹敵するような厳格な原則があって初めて派遣が容認される」(北側一雄副代表)と主張してきた。政府、自民党は、国連以外の国際機関や地域機関の要請があるケースなどでの派遣も視野に入れるが、公明党は慎重で結論は持ち越されている。 

◇百点ではないが評価

 海上自衛隊の元自衛艦隊司令官香田洋二氏の話 与党合意は百点ではないが前向きに評価する。日米安保体制を強固にして、抑止力を高めることが自衛隊の役割だ。国連平和維持活動(PKO)や後方支援に加え、集団的自衛権の行使容認という新たな領域に踏み出すことで日米関係はより緊密になり、抑止力が向上する。ただグレーゾーン事態への対応では疑問点がある。自衛隊法の「武器等防護」の規定で米軍などを防護するとしているが、そもそもこの規定はそうした事態を想定したものではない。武力攻撃やその恐れがあるときに発令する「防衛出動」の敷居をどう下げるかという議論をするべきだ。

◇自衛超えた米軍協力法制

 市民団体ピースボート共同代表で軍縮問題に詳しい川崎哲氏の話 この問題に関する安倍晋三首相の国民への説明は、戦地から逃げてくる母子を守る話から始まっていた。それなのに与党合意の内容は、日本の自衛をはるかに超え「米軍協力法制」の印象が強い。周辺事態法の地理的制約を取り払ったり、他国軍の後方支援が目的の恒久法を制定したりするのは、自衛隊が米軍の要請に応え、世界中に行ける態勢をつくる狙いがある。これまで海外での活動が限定されていた自衛隊の在り方は大きく変わる。「切れ目のない法制」というが、米軍と自衛隊の間の切れ目をなくすことになってしまう。

三原じゅん子議員:「八紘一宇」発言は最悪のタイミング

★三原議員「八紘一宇」発言は笑えない問題:冷泉彰彦***「ニューズウィーク日本版『プリンストン発 日本/アメリカ新時代』 2015-3/19」より転載

3月16日の参議院予算委で、与党議員として内閣に対する質問を行った自民党の三原じゅん子議員は「八紘一宇」という大戦中のスローガンを肯定的な意味で使用したばかりか、「日本が建国以来、大切にしてきた価値観」という発言までしています。

 すでにこのニュースには色々な論評がされていますが、念のため確認をしておきますと「八紘一宇」とは元来は日本書紀の中で、神武東征伝説に関連付けて「日本全国を1つに」というニュアンスで登場した言葉です。それが、戦時中にはいわゆる「大東亜共栄圏」という構想と結びつけられて「全世界をひとつの家のようにする」という意味に拡大されています。これでは日本軍の侵略のスローガンだとされても仕方がありません。

 三原議員の発言ですが、話題としては大企業が「タックスヘイブン」、つまり租税回避地を使って「節税」をする問題を批判する文脈で飛び出したようです。「八紘一宇の理念の下に、税の仕組みを運用していくこと」を安倍総理が「世界に提案すべきだ」と語ったというのです。

 この発言ですが、私はまったく笑えないものを感じました。発言した三原議員には、そんなに深い考えはないのかもしれませんが、幾層にもわたる政治的・歴史的経緯を踏まえる中で、この発言はしっかりと批判がされるべきと思います。

 まずタイミングが最悪です。オバマ政権は、日韓関係が悪化したことで、日米韓台の軍事同盟が有名無実化し、アメリカの東アジアにおける紛争抑止戦略が根本から崩壊することを真剣におそれています。

例えば、キャロライン・ケネディ大使への脅迫事件は、NBCなど一般のTVニュースでもトップ扱いになっていますし、ミシェル夫人の訪日も、この問題への取っ掛かりを探す意味合いがあると思います。

 そのような中で、しかも戦後70周年の「追悼の年」に、与党議員から第2次世界大戦中に「大東亜共栄圏」拡大のスローガンに使用された言葉が抵抗感なく使われる、しかもそれが直ちに厳しい批判に晒されないというのは重大なことだと思います。

 例えば、日米韓台の同盟の中で、価値観を共有していないのは日本ではないのかという批判に結びつけられる可能性があります。更には中国やロシアから見ても日本が「枢軸国のアイデンティティー」を捨てられずに孤立へ向かう兆候だとして、功利的に解釈されかねない、そのような危険性もあります。

 この発言は「用語とその背景のイデオロギー」が問題であるだけではありません。

 現在の日本経済は、アベノミクス「第3の矢」である構造改革、国際競争力の回復が急務です。例えば、この2年強の間に1ドル79円であった円相場は、120円まで下げることに成功しています。ですが、その一方で貿易収支は32カ月連続で赤字であり、通商取引に関して言えば「円安の方が辛い」状況に陥ってしまっています。

 このままでは、円安のプラス効果が発揮できない中で、デフレ脱却の決定的な兆候が見えていない状況です。その大きな要因の中には、企業がどんどん海外に移転している、つまり日本を脱出しているという問題があるわけです。

その結果として、円安にしてもGDPが大きく改善していないのです。

 つまり、国内の競争力を回復するということは、つまり外へ出ていった企業が戻ってくるような政策を採らなくてはならないわけです。そのために安倍政権は今回、諸外国より高率である法人税の引き下げに踏み切りました。

 ですが、これで世界に逃げていった企業の工場、事業所が日本に戻ってくるかというと、そう簡単ではないわけです。例えば英語を使った法務や会計への対応、国際的な会計基準への対応、オフィスワークの生産性向上、あるいはビジネスに関わる諸規制といった問題にメスを入れて、本気で改革に取り組まなくては流出した経済や雇用は戻ってはきません。

 そう申し上げると、株は高くなっているではないかという反論が来るかもしれません。ですが、現在の株高と、その背景にある企業の好業績の理由を考えると、全く楽観はできないのです。というのは「円安になって日本に仕事が戻ってきたので、安い日本のコストで作った製品が海外で売れて円安効果が出ている」からというのは、株高の主要な原因では「ない」のです。

 そうではなくて、海外で作って海外で売って得た利益を、そのまま円安になった交換レートで「円建てで連結決算」すると大変に大きな数字になる、現在の企業の好業績であるとか株高というのは、そうした構造の結果なのです。

 アベノミクスの「第3の矢」は、この問題にメスを入れて、本当に雇用が国内に戻ってくる仕組み、国内の実体経済が成長する仕組みを作らなくてはならない、そのための改革です。

他でもない安倍首相以下、自民党の与党議員は2015年3月の現在は、そのために努力をすべきなのです。

 三原議員の発言の何が問題なのかというと、「租税回避」への批判を行うということは、現時点では、つまり日本経済がデフレ克服ができるかできないかの瀬戸際においては、明らかに優先順位が低い問題だということです。

 もっと言えば、せっかく法人減税をしてビジネスの海外流出を防止しようとしたのに、大企業優遇をイヤがる世論に迎合して、急務である改革よりも「多国籍企業バッシング」というまるで左派ポピュリズムに迎合したようなことを言っているわけです。その中身を覆い隠すために用語だけは古色蒼然としたものを使って「右派的」なスパイスを利かせた――今回の「お騒がせ」発言はそのように見ることもできます。

 いずれにしても、まったく笑えない話です。

【声明 】玄海原発3号機MOX使用差止裁判:不当判決は許せない!

★【声明 】玄海原発3号機MOX使用差止裁判:不当判決は許せない!
      「原発のない社会」の実現を決してあきらめない!

本日、佐賀地方裁判所は「玄海原発3号機MOX燃料使用差止請求事件」において、原告住民の訴えを棄却する判決を下した。

判決はMOX燃料とウラン燃料とで挙動に差異があることを認めなかった。使用済MOXについて法規を順守しその保管場所及び処分方法を明確にすべきこと、超長期に渡るサイト内保管の問題を認めなかった。

4年半にわたった裁判の中で、ラウンドテーブル方式での9時間に及んだ弁論準備会合や5時間にわたる証人尋問の場が持たれ、科学的に突っ込んだやりとりがあったにもかかわらず、MOX燃料とウラン燃料の挙動の差異が存在することもギャップ再開の可能性も認められなかったことは到底納得できず、この不当判決を断じて許すことはできない。

高浜原発3・4号機に関して原子力規制委員会は「MOX独自の基準は必要ない」とする「考え方」を示したが、佐賀地裁の裁判官はこれに屈したのである。危険な玄海3号機プルサーマルを止めるために、直ちに控訴して、引き続き闘い抜く決意である。

私たちは、国策である核燃料サイクルがうまくいかず、苦肉の策として始められたプルサーマルの危険性について引き続き追及し、再処理・核燃料サイクル政策に完全に終止符を打たせるべく行動していく。

東京電力福島原発事故の甚大な犠牲の教訓は、「原発事故は二度と起こしてはならない」ということ以外にない。原発は動き続ける限り放射性廃棄物を増やし、それを未来の世代へと押し付ける。被曝労働者なくして維持できない施設でもある。子どもたちに夢を持てるような社会と、安心して暮らせる地球を渡さねばならない。

私たちは、3.11前から玄海原発3号機プルサーマルの危険性の上に、もしも地震など大災害が重なれば、佐賀全県民のみならず福岡県民500万人及び隣県民の命に取り返しのつかない被害が及ぶ事を想定し裁判を起こし闘ってきた。今を生きる大人の責務として、裁判闘争を軸に運動の連帯を深め「原発のない社会」を実現することを、私たちは決してあきらめず、すすんでいく。


2015年3月20日
玄海原発3号機MOX燃料使用差止訴訟原告団
団長 石丸初美

玄海MOX訴訟、明日(3月20日)判決 

★玄海MOX訴訟、20日判決 危険性の判断焦点
***「佐賀新聞 2015年03月18日 11時13分 配信」より転載 

玄海原発3号機(東松浦郡玄海町)のプルサーマル発電に反対する九州の市民130人が、九州電力にプルトニウム・ウ
ラン混合酸化物(MOX)燃料の使用差し止めを求めた訴訟の判決が20日、佐賀地裁(波多江真史裁判長)で言い渡される。運転期間中に燃料の異常が生じる恐れがあるかどうかが最大の争点で、国策として推進されてきた核燃サイクルの是非を司法がどう判断するか注目される。

九電は佐賀県や玄海町の事前了解を受けて2009年12月に国内初のプルサーマルの営業運転を開始。原告側は10年8月、全国初のMOX燃料の使用差し止めの訴えを起こした。訴訟の係争中、東日本大震災と福島第1原発事故が発
生し、国の原子力政策は見直しを余儀なくされ、プルサーマル計画も不透明になっている。

訴訟で原告側は、3号機でウラン燃料より膨張しにくいMOX燃料を使用すると、運転期間中に燃料と冷却水を通す被覆管の間に隙間が生じる「ギャップ再開」が起きる可能性を主張。温度上昇と隙間の拡大を繰り返し、「最終的には燃料溶融や原子炉容器の破壊など重大事故の危険性がある」とする。

これに対し九電側は、3号機で使用するMOX燃料は十分な実績のあるウラン燃料と同様の設計とし、運転中の燃料棒の内圧は基準の範囲内であるためギャップ再開は起こらないと反論。「万一起きたとしても、燃料の溶融には至らず、重大事故が発生する具体的危険性はない」と主張する。

使用済みMOX燃料の貯蔵・保管についても、原告側は玄海原発で長期の保管は避けられないとし、「放射能漏えいによる環境汚染など深刻な事態をもたらす危険がある」と指摘。九電側は「適切に管理された状態で安全に保管しており、環境汚染はない」とする。

玄海原発のプルサーマル導入をめぐっては、市民団体が約5万人の署名を集め計画の是非を問う住民投票の条例制定を請求したが、県議会は07年に否決。また、05年に県が主催した公開討論会で九電が計画推進の「仕込み質問」や動員を行っていたことが原発事故後に発覚、県も一部関与を認めた。

■プルサーマル:使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムをウランと混ぜてプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を作り、通常の原発で燃やす発電方式。玄海原発で2009年12月、国内初の営業運転が始まり、伊方など3原発も実施した。当初、国内の原発16~18基で行う計画だったが、福島第1原発事故後、先行き不透明になっている。

・・・・・・・・・・・・・

 ★3月20日(金)15時 佐賀地裁★
  14:00~14:30 地裁前アピール行動
         (14:00~14:20)一般傍聴者抽選
  15:00~    判決
  16:00~    記者会見・報告集会(佐賀アバンセ)

ぜひ傍聴に駆けつけてください。日本初のプルサーマルの地、佐賀・玄海にて、勝利の瞬間をともに迎えましょう。



●判決報告集会in福岡にもご参加ください。
 3月25日(水)18時半~福岡市中央市民センター第一会議室
 (福岡市中央区赤坂2-5-8)

判決後、ただちに九電、佐賀県、玄海町への要請行動、政府交渉なども想定していますので、ぜひご参加ください。

世界銀行が突きつけた原発への“絶縁状”

★「投資対象にしない」 世界銀行が突きつけた原発への“絶縁状”
***「2015年3月14日付  日刊ゲンダイ」より転載

国連防災世界会議に出席するため来日した世界銀行のキム総裁が13日、外国特派員協会で会見を開き、反原発の姿勢を鮮明にした。

「難しい問題だが、原発はリスクが未知数なため、世銀は投資の対象にはしない。炭素税導入で、火力発電によるCO2排出量を抑えると同時に、地熱、水力などのクリーンエネルギーへの投資を拡大するべきと考えている」

 キム総裁は9日にもワシントン市内で原発の危険性に関し、懸念を表明。福島原発事故について、「フクシマの技術は最先端ではなかった。新しい技術で本当に安全な原発ができるのか。核廃棄物の貯蔵や取り扱いを安全にできるのか。その証拠を示せなければ国民の納得を得るのは難しい」と語り、原発の安全性を強調し、再稼働に突き進もうとしている安倍政権を批判した。

■原発向け融資は控えたまま

途上国が原発を建設する場合、先進国の企業がセールスをかけ、発注する国は受注した企業などからの資金を受けて建設する。その後、発電所の電気料金の収入で債務を返済していくケースが一般的だ。受注者の多くは米国、ロシア、中国、韓国などの企業だが、もちろん日本も名を連ねている。昨年4月にはトルコ、UAEへの原発輸出を可能にする原子力協定が参院本会議で承認され、安倍首相がセールスに意欲満々なのは周知の通りだ。

 ところが、世銀は1959年にイタリアの原発施設に4000万ドル貸し付けて以来、原発向けの融資は控えている。この日のキム総裁の発言は縁切り宣言みたいなものだ。今や反原発が世界の潮流であることを国民も知るべきだ。

***「★第1425日目原発とめよう!九電本店前ひろば★ギャーさん投稿分」より転載
 
「原子爆弾が」

原子爆弾が鼻先にぶら下がっている
トンネルを抜けると
そこには原子爆弾がある
きれいな山の美しい夜明けに
原子爆弾が立ち上ってくる
街の喧騒に
原子爆弾が冷ややかな笑いを投げかけている
原子力発電所の配管パイプの一つひとつに
原子爆弾がつながっている
未来を消し去る明るい灯りは
原子爆弾を呼び寄せる
放射能は人の手でコントロールできなくても
原子爆弾は人間がなくせる
金を取る人間は人間を突き放す
原子爆弾を取らない人間は人間を取る
原子爆弾はいらない

僕は「おかえり」と言ってほしかった・・・

★僕は「おかえり」と言ってほしかった・・・「母子家庭」で暮らす子どもの厳しい境遇

いまの日本では、6人に1人の子どもが「貧困家庭」で暮らしているーー。厚生労働省が昨年発表した2012年の「子どもの貧困率」は16.3%で、過去最悪の数字を記録した。この数字は同省が3年ごとに実施している国民生活基礎調査によるものだが、1985年に10.9%だった子どもの貧困率はだんだん大きくなり、ついに16%を超えたのだ。

特に「ひとり親世帯」の子どもの多くが経済的な苦境に置かれていることが、調査結果から見てとれる。川崎市の中学1年生殺害事件で命を奪われた上村遼太君の母親が公表したコメントも、5人の子を育てるシングルマザーの置かれた厳しい境遇をうかがわせた。

<遼太が学校に行くよりも前に私が出勤しなければならず、また、遅い時間に帰宅するので、遼太が日中、何をしているのか十分に把握することができていませんでした>

そんななか、「母子家庭における子どもの貧困ーその原因と実効的施策を考える」と題したシンポジウムが3月7日、東京都内で開かれた(日本弁護士連合会主催)。

●なぜ「母子家庭」の貧困対策が必要なのか?

シンポジウムの基調講演で、国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩・社会保障応用分析研究部長は、母子家庭の貧困対策の充実を訴えた。

「母子家庭の貧困を解決するために、もし何か1つやるのなら、『児童扶養手当』の拡充をするべきです。現金給付は、教育支援や親の就労支援よりも即効性があります。しかし現実は、中流層も上流層も生活が楽とはいえず、『自分は搾取されている』という意識がある。

この意識を変えていかなければ、拡充は難しい。ただし、手当を拡充してほしいと言う側も『なぜ拡充が必要なのか?』をきちんと伝えていくことが必要です」

児童扶養手当の拡充の必要性は、冒頭でも触れた厚労省の調査結果からも読み取れる。

それぞれの世帯の1人あたりの所得が、社会全体の中央値の半分(122万円)に満たない「貧困世帯」の割合が2012年は16.1%に達しているが、ひとり親世帯の貧困率は54.6%と突出している。特に母子家庭は父子家庭に比べて、経済的により厳しい状況に置かれているという。

●子どもは「我慢」の裏で寂しさを味わっている

パネルディスカッションには、母子家庭の貧困の支援や取材にあたる5人が登壇。NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子理事長や、ジャーナリストのみわよしこさんらが、シングル家庭が直面するさまざまな困難について討論した。

「貧困状態にあっても、子どもが親を恨むことは非常にまれ」と指摘したのは、登壇者の1人で「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク世話人の山野良一さんだ。

貧困状態にある子どもの多くは、親が苦労している状況を誰よりもよく見ている。そのため、ほしい物があっても我慢するといった術を身につけて、親に迷惑をかけまいと、貧困に適応しようとする。しかし子どもは、その「我慢」の裏で、さまざまな寂しさを味わっているという。

山野さんは、母子家庭で育った、ある少年の例をあげて説明した。その少年は、中学生のころから同級生や先輩と連れだって夜間徘徊を繰り返していた。警察から指導されても徘徊はやまず、最終的には児童福祉施設に入所することになった。

「彼が入所した施設は、内部に学校があるのですが、あるとき、学校から帰ってきて『ただいま』と言った少年に、施設の先生が『おかえり』と言ったんです。すると彼が、『先生、ぼくは、この一言を言ってほしかったんだよ』と言ったそうなんですね。つまり、彼の中では、本当に『寂しい』という気持ちが大きかったんです」

●「子どもの貧困は、喪失体験の積み重ね」

少年の母親は、子どもたちを養うために必死で働いており、夜も家にいないことが多かった。仕事のストレスから、子どもに辛くあたることも少なくなく、ときには手をあげることもあったという。

山野さんは「子どもの貧困は、喪失体験の積み重ねです。他の子どもが当たり前にできることができない。それは、とても寂しいことです」と強調していた。

子どもを養うためにシングルマザーが働けば働くほど、子どもとの時間やゆとりを持てなくなるというジレンマにも陥ってしまう。学校や地域をはじめ、社会全体で支え合うためにどうするべきか。

国立社会保障・人口問題研究所の阿部部長は「まず、隣の人に問題を話すことから」と、提言した。タブー視せずに語り合うことこそが、問題解決のための大きな一歩となるということだ。
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***「弁護士ドットコムニュース 2015-3/12配信」より転載

きみの詩はぼくの詩・ぼくの詞はきみの詞

★青柳メール・第1418・1419日目「原発とめよう!九電本店前ひろば『ギャーさん投稿分』」から:転載

詩は未来を提起する
詩は殺されている者たちの声
詩は「とるに足らない」とされているいのちの喜び
詩は新しいつながりのかけ橋
詩は小さな小さな小さな主張
詩はあなたのための歌
詩はあなたといっしょに生きる現在(いま)
ぼくらは誰でも
詩を持っている
ぼくらはいつでも
詩(うた)を歌っている
ぼくらはみんな
詩でつながれる
おたがいが相手の詩に
心の耳を傾けるならば
ぼくらはみんな
詩でつながれる
世界は原子力の火でますます熱くなり
ヒマラヤの雪は溶け
お金を生み出すマシーンのうなりで
小さな歌声は消され
夜の闇の優しさが消された街には
まぶし過ぎる笑顔の仮面がかぶせられ
人びとの素顔が
見えなくされる
悲しみを生み出すシステムの流れに流されて
人は詩を忘れる
詩を歌うことは
人を取り戻すこと
詩を歌うことは
人とつながること
詩を歌うことは
つながりを破壊するシステムを破壊すること
詩を歌うことは
あなたがみんなと世界を獲得すること

***

明日の風に揺られてぼくは
この街へと来たの
夢見られる人として
許せないことがあまりにも多く
悲しみに満ちたこの世界だから
ぼくは希望をまとい
きみのもとへと
あきらめを捨てて
やって来たんだよ
さあ
立ち上がろう
殺されていった人たちや
まだ生まれてこない人たちに
夢見られるままに
さあ
立ち上がろう
踏みにじられている
小さないのちたちのよろこびとなって
さあ
立ち上がろう
国境を越えて
つながるこの星のいのちのままに

イーストウッドが描く「戦争中毒の世界」:『アメリカン・スナイパー』

★イーストウッドが描く「戦争中毒の世界」:イラク、アフガン、朝鮮半島、ドミニカ、グレナダ・・・

クリント・イーストウッド監督の最新作『アメリカン・スナイパー』(2014)が劇場公開されている。

@イラク戦争で160人を射殺したスナイパー

 日本で米国を超える評価を受け、キネマ旬報ベスト・テン第1位ともなった音楽映画『ジャージー・ボーイズ』(2014)に続きイーストウッドが描くのは、海軍特殊部隊ネイビー・シールズの「伝説的」スナイパー(狙撃手)クリス・カイルの半生。

 父からライフルを教えられ、ロデオに長けていたテキサスの青年が、テロ報道に接し入隊を決意、シールズの厳しい訓練場面へと映画は進む。

 米軍で最も過酷とされ、脱落者も多いという訓練ぶりは、1年前公開された『ローン・サバイバー』(2013)冒頭でも見られたものだ。

 そこでは、2005年、アフガニスタンでのタリバン幹部殺害計画「レッド・ウィング作戦」が失敗に終わり、ただ1人生還というシールズ創設以来最悪と言われる惨事が描かれているが、今回は、イラク戦争で160人射殺したというスナイパーの物語である。

 そんなイーストウッド映画の汚い言葉連発の訓練風景を見て思い出すのが『ハートブレイク・リッジ/勝利の戦場』(1986)。悪ガキ揃いの海兵隊員を鍛える定年間近の軍曹をイーストウッド自身が演じ監督した作品である。

 映画の題名が意味するのは、主人公がかつて戦った朝鮮戦争の激戦「Battle of Heartbreak Ridge」。

経験豊富な主人公は、さらに、ベトナム戦争やドミニカ侵攻にも参加したことになっている。どれも冷戦下の「共産主義との戦い」だが、朝鮮、ベトナムばかりか、「米国の裏庭」カリブ海地域でも戦いがあったのである。

@Go ahead, Make my day.

 とは言え、キューバ以外、あまり馴染みがないかもしれない。

 反共姿勢から米国の支持を得ていた長期独裁のラファエル・トルヒーヨ大統領が1961年暗殺され、新憲法を擁し新政権が成立したドミニカ共和国が、クーデターなどで内戦状態となっていた65年4月。

 リンドン・ジョンソン政権は、「もうひとつのキューバ」誕生を恐れ、「トルヒーヨ市」からもとの「サントドミンゴ」へと名前が戻った首都へと海兵隊を投入、「ドミニカ侵攻」は始まったのである。

 そして、1983年が舞台のこの映画の終盤も、政変に巻き込まれた米国市民救出を理由として、映画では声高に叫ばれることもない、共産主義の蔓延を防ぐという一番の目的のもと、軍曹は成長した海兵隊員とともにカリブの小国グレナダへと向かう。

 このグレナダ侵攻の際、ロナルド・レーガン大統領が行った演説の中で、公開中の『ダーティハリー4』(1983)でイーストウッド演じるハリー・キャラハン刑事が悪人に浴びせる「Go ahead, Make my day(やるならやってみな、そしたら十分楽しませてもらうぜ)」という言葉が引用されたことも話題となった。

 この頃の米国は、アフガニスタン紛争への関与など、中東での戦いにも無縁ではなかった。

1975年から始まった第5次中東戦争とも呼ばれるレバノン内戦、多文化社会の歪みと宗派間の根深い対立、多くの民兵組織やPLO、シリア、イスラエルまでもが入りこむ複雑な戦いは、1982年、パレスチナ難民キャンプでの大量虐殺「サブラー・シャティーラ事件」を引き起こした。

@中東のパリを瓦礫の山に変えた戦闘

 しかし、難民保護のため派遣された多国籍軍も、グレナダ侵攻直前の頃、海兵隊基地への自爆テロが発生、241人もの犠牲者を出し、撤退を余儀なくされたのだった。

 15年にもわたり続いた戦いは、かつての「中東のパリ」ベイルートを瓦礫の山へと変えた。

 『ネイビー・シールズ』(1990)は、実際に内戦にも投入されたというシールズ隊員のレバノンを舞台とした物語。

 もっとも、映画自体は自らのミスで奪われた防空ミサイルをテロリストから奪い返すというチャーリー・シーン主演の純然たる娯楽映画。

 一方、同様にミスで爆弾を紛失したかつてのベイルート担当CIA工作員をジョージ・クルーニーが演じる『シリアナ』(2005)は、ドバイやモロッコで撮影された、9・11同時多発テロ後の中東が概観できる地政学映画とでも言えるもの。

 実際CIA工作員だった人物の暴露本をベースに、CIA職員、エネルギーアナリスト、アラブの王子、国際石油資本経営者、企業弁護士、出稼ぎ労働者など多くの人物の物語が並行して進んでいく。

 イランの宗教色を排除し石油利権を奪おうとする米国、既存の欧米資本に割り込む中国、そこにからむ架空の中東の小国「シリアナ」の王位継承権争い、枯渇していく化石燃料、さらには、宗教原理主義といった要素まで交え、陰謀まみれの世界の現実が芸達者な俳優たちによって描き出される。

そして、自爆テロと、室内モニターを通し操作されたドローンによる爆撃が悲劇の結末を作り上げ、登場する人物のほとんどが、世界の「ゲームの捨て駒」に過ぎないことを見せつけるのである。

@カーメル市長の経験がイーストウッドを変えた?

 『アメリカン・スナイパー』は、1月、米国公開となり大ヒット、イラク戦争や狙撃といったことに対する描写スタンスをめぐり論争ともなった。

 「ダーティハリー」のイメージから、強硬派と思われがちなイーストウッドだが、1986年から2年間、カリフォルニア州カーメル市長を歴任してからは、経験のためか、年齢のためか、内省的作品が多くなった。

 そんな一作、西部劇『許されざる者』(1992)でイーストウッドが演じ描いたのが、今は子供と静かに暮らすかつての冷酷な殺し屋。経済的理由から再び殺しに手を染めていく中での心の葛藤である。

 『アメリカン・スナイパー』でも、狙撃シーンが映し出される一方で、家族関係もギクシャク、戦乱のイラクと平和な米国とのギャップに苦しみ、心の傷を抱えているように見える。

 時間は短いが、敵のスナイパーの家族も映し出され、ただの標的ではない生身の人間であることが示される。

 ネット動画で兵士が募集され、3Dプリンターで銃を作ろうとする者がいる今。兵器はより高性能になり、より簡単に手に入り、安全なはずの先進国大都市中心部で生命を脅かすテロが起こる時代でもある。

個人の自由、権利が叫ばれ、訴訟が日常茶飯事となる一方で、簡単に命が奪われている現実もある。相手が武器を使えば、非武装の者はそれで終わり。その場に居合わせてしまったら、あきらめるしかない。

@クリント・イーストウッドの当たり役ダーティハリー

 ましてや、どんなに道義的理由が存在していたとしても、国家が戦争に向かえば、「捨て駒」にされることを避けることは困難を極める。

 世が暗い方向へシフトする一方に思える今、理想を語るばかり、自らの主張を繰り返すばかりでは、何も生まれない。まずは、現実を現実として見ること。

 しかし、「日常生活とはかけ離れた世界」の惨状を伝える報道は、現実感がなく、すぐ頭の中を通り過ぎてしまう。そんなとき、感情移入できる出来の良い映画や小説は有用かもしれない。

 実社会で84年を生き、虚構世界で多くの戦争や犯罪のシチュエーションを演じ演じさせ、多彩な人生経験を積み上げてきた「リバタリアン」イーストウッドは、そんな世界を生き抜くために、「これを見てよく考えろ」と言っているように思えてならない・・・。

***「JBpress 『映画の中の世界』 2015.-3./2 BY 竹野 敏貴」より転載
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