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1930年代に似てきたアベノミクスの運命

★1930年代に似てきたアベノミクスの運命
***「JBpress 8月20日(木)6時10分」配信記事より転載

 安倍首相の政策は1930年代に似てきた・・・といっても、安保法案が「戦争法案」だという類の話ではない。莫大な国債を発行して日銀にファイナンスさせ、それを財源として政府支出を増やす「アベノミクス」は、1930年代に高橋是清蔵相の行った財政政策によく似ている。

 これは同時期のナチスの経済政策とともに、30年代の大恐慌に対して国家社会主義が有効だった事例とされている。高橋を「日本のケインズ」と賞賛する向きもあるが、その後の日本とドイツがどういう運命をたどったかはご存じの通りだ。それが失敗した原因も、アベノミクスと似ている。

■ 高橋財政が放漫財政の呼び水になった

 高橋が1932年に蔵相に就任して最初にやったのは、大恐慌の最中の1930年に金輸出を解禁して金の大量流出を招いた浜口内閣の政策を止めることだった。高橋はデフレに陥った日本経済を建て直すために金輸出を再び禁止し、農村救済のための景気対策を行なった。

 これによって歳出は前年比32%増になったが、その財源は国債でまかなわれ、それを高橋は日銀に引き受けさせた。こうした政策でデフレは止まり、1932~36年に卸売物価指数は6%上昇し、鉱工業生産は10%伸びた。

 しかし高橋は、政府が財政赤字で有効需要を創出すべきだとは考えていなかった。彼は均衡財政主義であり、高橋財政は基本的には健全財政だった。総予算は増えたが、軍事費を除く予算は33年以降は減少した。財政が膨張した最大の原因は、軍事費だったのだ。

 日銀が国債を引き受けたのも意図的にインフレを起こすためではなく、世界恐慌の最中で銀行に国債を買う体力がなかったからで、日銀は引き受けた国債を徐々に市中に売却しており、結果的には市中で消化した。

 市中消化が滞り始めると、高橋は国債を減らそうとしたが、これが軍部の反発を招き、1936年に二・二六事件で暗殺された。この結果、国債発行は歯止めを失って軍事費は際限なく膨張した。価格統制が行われたため、戦時中は物価はそれほど上がらなかったが、敗戦とともにハイパーインフレになり、国債は紙切れになった。

 高橋財政の教訓は、放漫財政は元に戻せないということだ。高橋自身は最終的には国債を償還して均衡財政に戻そうと考えていたが、日銀引き受けという「打ち出の小槌」をもった政治家や軍部は、それを離さないのだ。

■ 社会保障の削減なしで財政は削減できない

 日本の財政の現状はすでに高橋蔵相のころより悪く、政府債務はGDP(国内総生産)の230%にのぼる。これは第2次大戦末期を超える「戦時経済」状態だが、安倍首相には危機感が見られない。6月30日に閣議決定された「骨太の方針」で示された中期財政健全化計画で、彼は歳出を削減しないで「成長戦略」で財政を健全化する方針を表明した。

 今年2月の内閣府のシミュレーションでは、図1のように名目成長率3%以上の「経済再生ケース」と1.5%程度の「ベースラインケース」が想定されていたが、前者でも2020年度にプライマリーバランス(PB)は黒字にならず、後者ではPBの赤字は拡大する。

 残る手段は歳出(特に社会保障)の削減しかないので、それを安倍政権がどう打ち出すかが注目されていたが、今度出た骨太方針では歳出削減は打ち出されず、将来予想は図1のままで、「名目GDP成長率3%程度を上回る経済成長の実現を目指す」という経済再生ケースだけが想定され、ベースラインケースは消えてしまったのだ。

 名目3%という成長率は、バブル華やかなりし80年代が最後で、90年代以降の平均成長率は約1%、ここ10年平均の名目成長率は0.6%である。あるシンポジウムで「この3%という数字は非現実的ではないか」と経済財政諮問会議の民間議員に質問したら、「実質1%成長で、日銀のインフレ目標2%が実現すれば名目成長率は3%になる」と答えた。

 まるで「神風が吹くから戦争には勝てる」とでもいうような話だが、そのインフレ目標は実現するのだろうか。日銀の指標とするコアCPI(生鮮食品を除く総合)の上昇率は、図2のようにほぼゼロで、これが黒田総裁のいうように今年度中に2%まで上がることは考えられない。

 これに対して日銀もいろいろ苦しい言い訳を考え、一時は「帰属家賃(持ち家の価格を家賃に換算したもの)には下方バイアスがあるので、それを除くと2%は達成されている」という話があった。たしかに図2のように、帰属家賃を除くと2014年半ばにはCPIは2%を超えたが、その後は下がって、今はこれもほぼゼロだ。

 最近は黒田総裁も「そもそもインフレ目標というのは期限を切るものではないない」と言い始めた。その通りである。私を含むほとんどの経済学者が2年前から指摘してきたように、もともとインフレ目標というのは、金融政策が裁量的に行われないように縛るルールなので、「2年で実現する」というように積極的に目指すものではない。


■ 希望的観測に基づく放漫財政は「いつか来た道」だ

 黒田氏があえて「2年でマネタリーベース2倍」という積極的な目標を設けたのは、心理的な偽薬効果を狙ったのだろう。その狙いは資産市場では当たり、大幅な円安と株高が実現したが、肝心の消費者物価は上がらなかった。

 しかし黒田総裁の作戦は、半ば成功したといえよう。彼の本来の狙いは、おそらく円安にあったと思われる。彼は財務省の財務官のとき「円高ファイター」として知られたが、政府が過度な円高を止めることは許されても、「円安で景気刺激を目指す」と言うことは外交的にはタブーである。そこで「インフレを目指す」という言葉で、間接的に円安誘導したのだろう。

 これによって偽薬効果はあり、大幅な円安が実現したが、輸出はほとんど増えず、貿易赤字も減らなかった。東証1部上場企業の収益は増えたが、今年4~6月期のGDPは年率マイナス1.6%と予想以上の落ち込みになった。

 これは、ある意味では当然だ。労働人口が毎年1%以上も減る日本で、長期的にはゼロ成長(あるいはマイナス成長)になることは避けられない。黒田総裁の金融政策は、民主党政権の「アンチビジネス」政策で沈滞していた経済に活気をもたせることには成功した。あとは彼も言うように「長期的な潜在成長率を上げる改革が必要」で、それは日銀の仕事ではない。

 残ったのは日銀の保有する225兆円にのぼる国債と、財政規律のゆるみだ。これが日銀の実質的にやっている財政ファイナンスの最大の副作用である。安倍首相も、日銀が「輪転機をぐるぐる」回して国債を引き受ければ、いくらでも財源は出てくると錯覚しているように見える。

 彼が30年代のような侵略戦争をやることはありえないが、そのときのような放漫財政をやる可能性はある(というか、すでにやっている)。その結果、いずれは金利が上昇して物価が上昇し、激しいインフレで国債が実質的に踏み倒される――というのが歴史の教訓である。
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池田 信夫
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5兆円をドブに捨ててもなお、いつまで日本人は“モルモット”にされるのか?

★5兆円をドブに捨ててもなお、いつまで日本人は“モルモット”にされるのか?
――広瀬隆×坪井賢一対談<後篇>
***「ダイヤモンド・オンライン 2015/8/22」配信記事より転載


●ドブに捨てた5兆円の内訳

坪井 『東京が壊滅する日』のカバー右ソデに、「5兆円をドブに捨ててもなお、いつまで日本10+ 件人は“モルモット”にされるのか?」とあります。
 これはどういう意味ですか。

広瀬 青森県六ケ所村の核燃料サイクル政策に2兆円以上の建設費が投じられ、さらに、まったく使い物にならなかった高速増殖炉もんじゅの開発費にも3兆円近い大金が投じられてきました。
 しかし、現在まで両方ともまったく稼働できずに、結局5兆円以上をドブに捨てた結果になった。これはおそるべき血税のムダ遣いです。
 いつまで国民は“モルモット”にされ続けるのか。
 マスコミがなぜこの問題を真剣に論じないのかまったく理解できません。

坪井 電気料金は、「総括原価方式」といって、コストを積み上げた上に利益を乗せて決められてきましたからね。いくらでもコストをかけられたわけです。

広瀬 それが諸悪の根源なんです。でも、来年2016年4月から実施される電力の完全自由化によって“電力会社が7割の利益を得てきた家庭の消費者”にも選択が可能になります。くわしくは『東京が壊滅する日』に書きました。

坪井 電力小売りの完全自由化によって、七十数年ぶりに電力が真の競争市場で取引されるようになります。

広瀬 そのとおりです。これからの時代、もっともっと競争して、少しでも家計がひっ迫している消費者に安い電気料金を提示すべきなんです。

●『東京が壊滅する日』誕生秘話

坪井 今回の本では、原子爆弾(原爆)からクリーンエネルギーとして美化された原子力発電(原発)へと「双子の悪魔」のラインが描かれています。
 私が20代のころに読んだ広瀬さんの『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』(文春文庫、元本は1982年)では、原爆と原子力発電の関係を初めて教えられました。

広瀬 いままで私の本を読んでくださった方に加え、20代、30代、40代の働きざかりの人たち、とくにいままで私の本を読んだことがない人が読まないと時代が変わらないので、その人たちにどうしても読んでほしいという想いで書きました。
 原発問題に反対している人でも「ただ反対」と言っているだけでは、状況はまったく変わりません。51の系図・図版と写真のリストを軸とした史実とデータに基づく本書を思考のスタートラインにして、たくさん議論していただきたい。そして、議論に終わらせずに、ぜひ現実を変える行動に出ていただきたい。

坪井 どういうふうに本書をつくっていったのですか。

広瀬 2014年11月末に『文明開化は長崎から(上)(下)』(集英社)という本を書いたのですが、その日本史が面白かったので、何度も読んでから書棚に戻そうとしたときに目に入ったのが、『赤い楯――ロスチャイルドの謎』(集英社、1991年)でした。
 私は書いた本は読み返さない習慣だったので、いままでそんなことをしたことがないのですが、そのとき、『赤い楯』の菊判上下巻を一気に読んでみた。そして内容に驚いて、次から次へその他の自著も最後まで読み返してみたのですね。そうしたら、どれも面白かった。
 同時に「自分自身がすごく大切なことを忘れていた」と思ったのです。
 著者である私自身がそうなら、反原発運動に関わる人やマスコミの人だけでなく、一般の読者の方々はこういう史実やデータはまったく知らないだろう。それを今回のフクシマ原発事故を縦軸に描くことによって、思考の原点に戻る必要がある、と思って一気に書き下ろしたのが本書なのです。

●「史実と科学的データ」こそが未来を教えてくれる

坪井 歴史の記述と分析が重要ですね。

広瀬 よく「核兵器」という言い方をします。でもこれは「攻撃側が使う用語」なのです。
 被害を受けた側は「核兵器」ではなく「原子爆弾」と呼び、「核兵器禁止運動」と言わずに、「原水爆禁止運動」と言います。「公害」(攻撃者側)と抽象化するのではなく、「水俣病、イタイイタイ病」(被害者側)と言うのと同じです。
 今回の本は、一面でフクシマ原発事故を扱った本ですが、一面で歴史の本でもあります。史実こそがこれからの未来を予測するうえで有益な示唆をくれると確信しているからです。
 安倍晋三の目に余る暴走のために、国会議事堂近くに「戦争反対」のシュプレヒコールをあげる大学生や高校生が増えてきました。すばらしいことです。
 戦後70年の今こそ、本書にある原爆と原発の「双子の悪魔」の歴史、つまり戦争と原子力の関係を、巨悪の本丸IAEA(国際原子力機関)やICRP(国際放射線防護委員会)の正体から、抽象論ではなく、個別具体的な固有名詞と壮大な史実と科学的データで、若い世代に知ってほしいと強く思っています。

坪井 広瀬さんとは1980年代後半からのおつき合いです。当時、「BOX」という月刊誌がダイヤモンド社にありました。編集部でアメリカのオンライン・データベースを導入したのですが、広瀬さんをお誘いしてインターネットがない時代に海外のデータベースを大量に検索し、チェルノブイリ事故の実像に迫ろうとしました。
 30年前から広瀬さんの主張は1ミリも変わっていません。
 チェルノブイリはあれだけの大事故だったのに、4年後の1990年には「原子力はクリーンエネルギー」と言われるようになりましたよね。

広瀬 フランスの当時の大統領、ミッテランがそういうふうに宣伝したのですね。そもそも原発事故が最初に起きた1979年のスリーマイル島原発事故の前から、原子力発電ビジネスは衰退期に入っていました。原発ルネッサンスは虚言だったのです。

坪井 本書にも、2014年に巨額の欠損を抱えたフランスの国営原子力会社、アレヴァの実質経営破綻の事例が出ていますが、先進国で原発ビジネスが低迷するなか、日本は国内で再稼働に走り、新興国への輸出にのめり込んでいます。
 細川元首相や小泉元首相だってハタと覚醒したわけでしょう、政府が判断すれば原発はやめられると。原発がゼロになっても誰も困りません。電力も十分にある。研究者の欠乏を避け、研究水準を維持するためには、廃炉と放射性廃棄物処理の研究開発に投資すればいいと思うんですよね。

広瀬 先日、東芝の不正会計問題でウェスティングハウス・エレクトリックの買収が巨大な損失を生み出した問題で、原子力の末期的状況がクローズアップされましたが、三菱重工が「アメリカのサザンカリフォルニアエジソン社のサンオノフレ原子力発電所」に2009~2010年に納入した蒸気発生器が事故を起こし、原子炉2基が廃炉に追い込まれ、9300億円の損害賠償訴訟を起こされました。原発ビジネスに明日はありません。

坪井 3回に及ぶ対談をありがとうございました。

おそるべきことが音もなく体内で進行している!次の被害者はあなただ!

★おそるべきことが音もなく体内で進行している!次の被害者はあなただ!
――広瀬隆×坪井賢一対談<中篇>
***「ダイヤモンド・オンライン 2015/8/19 」配信記事より転載

● おそるべき「フレコンバッグ」の正体

 坪井 『東京が壊滅する日』のオビ裏に、「おそるべきことが音もなく体内で進行している!  次の被害者は、あなただ! 」と書かれています。

 広瀬 この意味するところは、この本を読んでいただければ、誰でも分りますが、結論を言うと、東京を含む東日本地域住民の中で、これから癌や心筋梗塞などが必ず激増します。いやもう、その段階に入っています。
 この事実を大声で言うべきか、本当に迷いました。身も蓋もない話だからです。
 しかし、本連載第6回でも触れましたが、誰も本当のことを言わずに「体内被曝」が進みながら、安倍晋三が原発再稼働へ猛進しているので、これ以上の被害の拡大を防ぐために筆を執りました。各新聞の世論調査でも明らかですが、安倍晋三は再稼働だけなく、安保法案など国民がまったく望んでいないことをゴリ押ししています。

 坪井 『東京が壊滅する日』に膨大なフレコンバッグの写真が掲載されています。これは福島県内で積み上げられている放射性廃棄物を詰めた袋の山ですね。

 広瀬 私が驚いたのは、2015年4月17日に、福島県富岡町の海岸線にぎっしり並べられたフレコンバッグを外国人がドローンで空撮したネット上の動画でした。

 坪井 上空から見ると、海岸線に黒い塊がびっしりですね。

 広瀬 深刻なのはこのフレコンバッグの耐用年数がわずか3年なので、すでにあちこちで破れ始めていることです。本の中では福島県の実例を出しましたが、実はそれだけでなく、関東各地でも放射性廃棄物を入れた汚染物の山が積み上げられています。

 坪井 放射性廃棄物の管理と処分は、「帰宅困難区域」を「除染特別地域」として国が直轄していますが、環境省が指定した岩手県から関東平野にかけての「汚染状況重点調査地域」(8県101市町村)では、各自治体が除染と処分を担当しています。除染して袋に詰め、どこかに一時保管しているわけですが、中間処分場はどの自治体もまだ決められていません。

 広瀬 それは、実際には中間貯蔵ではなく、最終処分場になることが明らかだからです。どこでも拒否するのは当たり前です。
 福島県内のフレコンバッグが積まれた場所は、福島県内だけで2015年3月までに8万ヵ所を超え、その1ヵ所ずつに何百何千というフレコンバッグが積み上げられています。
 さらに、削り取った土に入れていた草や木の種が、袋の中で勢いよく芽吹いて、プラスティックの袋を簡単に破って外に顔を出し始めています。
 それはそれは、身の毛もよだつ光景です。

● いま、とれる対策はあるか? 

 坪井 いま私たちがとれる対応策は何だとお考えでしょうか。

 広瀬 それをずっと考えているのですが、きわめて難しい問題です。個人的にはいま、「水が一番怖い」と思っています。
 福島県の阿武隈山地や群馬県・栃木県に大量に降り積もった放射性物質が、分水嶺を越えて日本海側の多くの河川を通じて流れ出ています。
 秋山豊寛さん(宇宙飛行士、元TBS記者・ワシントン支局長、現在京都造形芸術大学芸術学部教授)も福島県で自然農法に従事していましたが、原発事故後は京都に避難して大学で教鞭をとられています。
 まずは放射能が降り積もったところから逃げるしかないのが現状で、それには国が最大の、全面的な資金援助をするべきです。金が与えられないから、多くの人は逃げられないのです。

 坪井 私はこう考えます。少なくとも「汚染状況重点調査地域」(8県101市町村)に指定されている地域に住む私たちもDNAが損傷した確率が上がっているわけですから、ガンなどを早期発見する確率を上げることが対応策だと思います。
 年に一度の健康診断は必ず受ける、再検査の指示があればさぼらない、心配なら年に2回検査する、という方法で早期発見率を上昇させることです。

● 日本最大の活断層の上に立つ 川内原発再稼働の恐怖

 坪井 さて、川内原発が8月11日に再稼働されました。

 広瀬 詳しくは本連載第1回、第2回、第5回で書いてきたので、それを見てください。私も再稼働当日、川内原発に乗り込みましたが、それはそれはひどいものでした。
 1984年7月の稼働以来今年で31年。原子炉の耐用年数はとっくにすぎています。

 本連載でも指摘したとおり、原子炉の古さだけでなく、この原発の下には日本を縦断する最大の活断層=中央構造線が走っています。
 活発な地震と火山噴火期に入った日本列島で再稼働は狂気の沙汰といえます。
 みなさんよく考えてみてください。この2年間、原発に1ワットも頼らずに、この猛暑を乗り切っています。
 これだけ危険な地域に耐用年数をすぎた原発があること自体危ないのに、それを再稼働第一号とする安倍晋三の頭の中はどうなっているのでしょうか。

タイムリミットは1年しかない!東京が壊滅する日!!

★タイムリミットは1年しかない!戦後70年の「不都合な真実」とは?
――広瀬隆×坪井賢一(ダイヤモンド社論説委員)対談<前篇>
***「ダイヤモンド・オンライン 2015/8/15 」配信記事より転載


 『原子炉時限爆弾』で、福島第一原発事故を半年前に予言した、ノンフィクション作家の広瀬隆氏。
このたび、壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実を描いた『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』が第4刷となった。
一般書店だけでなく、Amazon.co.jpの総合ランキングでも上位にランクインし、全国的に大きな話題となっている。
新著で「タイムリミットはあと1年しかない」と、身の毛もよだつ予言をした著者が、原発問題に詳しいダイヤモンド社論説委員の坪井賢一と対談。
戦後70年の終戦記念日に緊急警告する! 

● 「戦後70年の不都合な真実」と安倍晋三の系図

 広瀬 今日は2015年8月15日ですので、みなさんは「終戦記念日」だとしか思っていませんよね。もしかしたら、「終戦記念日」ということすら忘れている人がいるかもしれません。
 1945年8月14日――日本がこの日にポツダム宣言の受諾を連合国に伝えて無条件降伏し、8月15日が終戦記念日となりました。
 でも、これは日本人の記念日です。アメリカ・ヨーロッパの軍需財閥にとって、8月15日は格別深い意味を持つ日ではなかったのです。

 坪井 それはどういうことですか。

 広瀬 アメリカを中心とする軍需ビジネスは第2次世界大戦によって工場が肥大化した分だけ、戦後もそれを維持しなければならなかったので、一日も休みなく作業を続ける必要がありました。
 戦前から続いていた「核兵器開発」はここで終わったわけではなく、広島・長崎への原爆投下は、単なるプロローグにすぎなかったのです。
 歴史を1945年8月15日の終戦で区切ると、われわれが目撃している彼らの事業の正体を見失うことになります。第2次世界大戦後こそが、彼らの稼ぎ時だったのです。

 このあたりはほとんどの読者の方がご存じないでしょう。
 ですからあえて今回、具体的な固有名詞や実名企業をあげ、原爆開発から原子力発電へと“華麗な転身”をとげ、放射能の安全論を広めてきたIAEA(国際原子力機関)やICRP(国際放射線防護委員会)が戦前から戦後、どういうことをやってきたかを書きました。
 その本が『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』です。

 坪井 オビには「戦後70年の不都合な真実」とありますね。

 広瀬 正直個人的にはあまり好きなフレーズではないのですが、事前に原稿を読んでもらった編集者からも「これはまさに不都合な真実ですね」という声があがっていました。
 確かに、本書の内容は、政治家や役人、実業家にとって「不都合な真実」でしょう。この本を読むと、なぜ安倍晋三が、この2年で1ワットの電力も生んでいない原発をあえて再稼働させるのか。そのカラクリがわかります。
 ぜひ、本書にある「長州藩の歴代犯罪の系譜」の安倍晋三の系図を見ていただきたいですね。

● 「トリチウム」はなぜ怖いか

 坪井 今日、まずお聞きしたいのは、フクシマ原発から出た放射性物質トリチウム(三重水素)についてです。
 本連載第4回「フクシマ原発からの放射能漏洩はトテツモナイ量に! 全く報道されない『トリチウム』の危険性」が8月2日(日)だけで45万ページビュー(サイトの閲覧数)を記録したそうです。すごい数字です。

 広瀬 読者の感度が相当鋭く、またテレビと新聞がいかに重大なことを伝えていないかということでしょう。トリチウムの問題は、日本のマスメディアでほとんど触れられていない危険性なので書きました。

 実は、「トリチウム問題」は現在、日本中の原発から使用済み核燃料を集めてきた青森県の六ヶ所村で最大の問題となっています。
 六ヶ所再処理工場では、2006~2008年におこなわれた試験的な再処理(アクティブ試験)で、海洋放出廃液のトリチウムの最高濃度が、実に「1億7000万ベクレル/リットル」だったのです。これは、フクシマ原発事故現場のトリチウム放出規制値である「1500ベクレル/リットル以下」の11万倍ですよ。
 だから下流域の岩手県三陸海岸近くの住民は、「総量規制をしろ。規制できない再処理を断念しろ」と要求しているのです。このトリチウムが、千葉県まで流れてきます。

 原子力規制委員会委員の田中俊一委員長と田中知(さとる)委員は「トリチウムを海に流してしまえ」という趣旨のことを言っていますが、トンデモナイことです。

坪井 トリチウムは、水素が中性子を捕えて「トリチウム水」として存在するんですよね。崩壊してヘリウムになるときに放射線(ベータ線)を出します。フクシマ原発を起源とするトリチウムはどのくらいの量になるのでしょうか。

 広瀬 フクシマ原発から出たトリチウムの放出総量はまったく明らかにされていません。しかし、汚染水タンクに大量に入っているのは確かです。
 特に深刻なのは、福島第一原発4号機の燃料プールです。東京電力は積極的に情報開示すべきですが、こちらについても、まだまったく分らないことだらけで、東電の発表は信用できません。

● 「ホールボディーカウンター」では ベータ線は検出できない

 坪井 フクシマ原発事故直後に、ダイヤモンド・オンラインで関連する記事を十数本書きましたが、2011年6月16日付の記事で、IAEA(国際原子力機関)が2006年に発表したレポートを紹介しました。
 その中にチェルノブイリ原発事故で放出された核種と放出量のリストが掲載されています。この一覧表を見ても、トリチウムは記されていません。つまりIAEAもノーマークでした。水の状態なのでよくわからなかったのでしょうか。

 広瀬 そうでしたか。水として存在するので、実際には化学的に正確な放射能測定は不能です。一般には「トリチウム?  初耳だ」という人がほとんどでしょう。トリチウムはヘリウムになるまでに、ベータ線を出します。しかもトリチウム水として、普通の水と同じように体内の細胞や血液に入るので、体内のあらゆる組織にこのベータ線が作用することになります。

 人体の中に蓄積された放射性物質の量は、現在では「ホールボディーカウンター」と呼ばれる全身測定器で測れます。これは体内の“量の変化”を知るには有効なのですが、セシウム137がバリウム137に安定化するまでに放出する透過性の高いガンマ線しか測定できないので、実量の測定ではありません。ストロンチウム90やトリチウムが出すベータ線はまったく測定できないんです。この点をマスコミはまったく報道していません。

 坪井 この本では、健康被害はこれから出てくる、と書いておられますね。

 広瀬 「原発事故は収束した、終わった」と思われていますが、トンデモナイ間違いです。原発事故から4年余りが経過した今、東京を含む東日本地域でも、これからガンや心筋梗塞になる人が急増することは間違いありません。
 過去の史実に照らし合わせると、チェルノブイリ原発事故(1986年)やアメリカのネバダ大気中核実験(1951~57年で計97回)でも、事故後5年から癌・白血病になる人が急増したからです。その意味で、「タイムリミットはあと1年しかない! 」のです。

 大気中の核実験と原発事故は違うと思われがちですが、まったく同じ200種以上の放射性物質が2011年3月から6月にかけて首都圏でも大量に降り積もっています。あの事故のとき、私が観察しても、多くの人はほとんど無防備でした。いまがちょうど病気の潜伏期の最後の段階です。これから大変なことが起こります。

 坪井 チェルノブイリ事故のときは、事故発生の翌日、1986年4月27日から軍のヘリコプターでホウ酸40トン、石灰岩800トン、鉛2400トン、ほかに粘土や砂など合計5000トンを原子炉へ投下しました。これは1週間続きます。
 その結果、10日目に放出量が低下しました。その後、「象の足」と呼ばれる溶岩が固まったような状態になります。フクシマ原発事故では地上と上空から放水しました。フクシマ原発事故でも、チェルノブイリと同じ対応をとるべきだったのではないでしょうか。

 広瀬 事故直後、私もとりあえず大至急、放射能放出をおさえるためにセメントなどを投下するべきではないかと、とっさに考えました。
 しかし今は、メルトダウンした燃料内部からの汚染水の発生を食い止めるべきだと思います。たとえば鉛を使った汚染水漏洩防止の方法について、立命館大学特任教授の山田廣成氏が、このサイトで提唱しています。今でも、試してみるべきでしょう。
 ただし、チェルノブイリ原発は黒鉛減速・軽水沸騰冷却・チャンネル型で、フクシマと構造が異なるので、何とも言えません。良心的で、しかも化学・物理・原子力・金属・機械の全分野にわたる優秀な頭脳の専門家を全世界から集めて、フクシマ原発事故現場の対処法を考えるほかありません。東京電力や無知な原子力規制委員会に任せて、これを解決することは不可能です。

● 30km圏内を立入禁止、国際的研究機関の設置を

 坪井 その通りですね。「帰宅困難区域」を含め、福島第一原発から30km圏内の土地を国が買い上げて国有地とする、そこに国際的な廃炉研究、核廃棄物処理の国立研究機関や大学院をつくるべきだと思うのです。
 東北・関東地方の除染後の放射性廃棄物もここに全部集め、処分するとともに研究対象にすべきです。

 大規模な公共投資になりますが、研究成果のノウハウは世界中で購入されるはずですから、長期的にはリターンも期待できる。チェルノブイリでは30km圏内が立入禁止で、除染後の放射性廃棄物もここに集めています。
 廃炉の作業者や研究者には高額の給料を支払い、あらゆる関連分野の専門家と実務家を結集すべきです。脱原発後に原子力研究者を絶やさないためにも必要だと思います。30キロ圏外には、研究機関や大学院向けのサービス産業が集積するはずです。

 広瀬 放出された放射能の総量から考えて、フクシマ原発事故の後遺症は1000年続くと言っていいでしょう。もう元には戻れません。
 それなのに、東京電力の事故対応は素人同然ということばかりやっていて、まったく頼りになりません。
 私も30年以上、この問題を冷静に見続け、海外の文献も多く見てきましたが、化学的・医学的に致命的な間違いを犯した今回の事故は覆せません。「放射能は絶対外に出さない」ということが、原発を動かす者の守るべき原理──世界的な大原則です。だが、それをすべて崩すことしかやっていない。日本の電力会社には、原発を動かす資格はない。

 坪井 福島第一原発3号機ではプルトニウムを混合するMOX燃料を使って運転していました。

 広瀬 あそこから出たプルトニウムはロッキー山脈まで達しました。茨城県つくば市の気象庁気象研究所でプルトニウムよりはるかに沸点の高い4877度のテクネチウムが検出されていたので、沸点が3232度のプルトニウムがガス化していたのは間違いないのです。東京都心の大公園でも、沸点3745度のウランが検出されています。

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* なぜ、『東京が壊滅する日』を 緊急出版したのか――広瀬隆からのメッセージ

 このたび、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』を緊急出版した。

 現在、福島県内の子どもの甲状腺ガン発生率は平常時の70倍超。2011年3~6月の放射性セシウムの月間降下物総量は「新宿が盛岡の6倍」、甲状腺癌を起こす放射性ヨウ素の月間降下物総量は「新宿が盛岡の100倍超」(文科省2011年11月25日公表値)という驚くべき数値になっている。

 東京を含む東日本地域住民の内部被曝は極めて深刻だ。
 映画俳優ジョン・ウェインの死を招いたアメリカのネバダ核実験(1951~57年で計97回)や、チェルノブイリ事故でも「事故後5年」から癌患者が急増。フクシマ原発事故から4年余りが経過した今、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』で描いたおそるべき史実とデータに向き合っておかねばならない。

 1951~57年に計97回行われたアメリカのネバダ大気中核実験では、核実験場から220キロ離れたセント・ジョージで大規模な癌発生事件が続出した。 220キロといえば、福島第一原発~東京駅、福島第一原発~釜石と同じ距離だ。

 核実験と原発事故は違うのでは?  と思われがちだが、中身は同じ200種以上の放射性物質。福島第一原発の場合、3号機から猛毒物プルトニウムを含む放射性ガスが放出されている。これがセシウムよりはるかに危険度が高い。
 3.11で地上に降った放射能総量は、ネバダ核実験場で大気中に放出されたそれより「2割」多いからだ。

 不気味な火山活動&地震発生の今、「残された時間」が本当にない。
 子どもたちを見殺しにしたまま、大人たちはこの事態を静観していいはずがない。

 最大の汚染となった阿武隈川の河口は宮城県にあり、大量の汚染物が流れこんできた河川の終点の1つが、東京オリンピックで「トライアスロン」を予定する東京湾。世界人口の2割を占める中国も、東京を含む10都県の全食品を輸入停止し、数々の身体異常と白血病を含む癌の大量発生が日本人の体内で進んでいる今、オリンピックは本当に開けるのか? 

 同時に、日本の原発から出るプルトニウムで核兵器がつくられている現実をイラン、イラク、トルコ、イスラエル、パキスタン、印中台韓、北朝鮮の最新事情にはじめて触れた。

 51の【系図・図表と写真のリスト】をはじめとする壮大な史実とデータをぜひご覧いただきたい。

 「世界中の地下人脈」「驚くべき史実と科学的データ」がおしみないタッチで迫ってくる戦後70年の不都合な真実! 

 よろしければご一読いただけると幸いです。

<著者プロフィール>
広瀬 隆(Takashi Hirose)
1943年生まれ。早稲田大学理工学部卒。公刊された数々の資料、図書館データをもとに、世界中の地下人脈を紡ぎ、系図的で衝撃な事実を提供し続ける。メーカーの技術者、医学書の翻訳者を経てノンフィクション作家に。『東京に原発を! 』『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』『クラウゼヴィッツの暗号文』『億万長者はハリウッドを殺す』『危険な話』『赤い楯――ロスチャイルドの謎』『私物国家』『アメリカの経済支配者たち』『アメリカの巨大軍需産業』『世界石油戦争』『世界金融戦争』『アメリカの保守本流』『日本のゆくえ アジアのゆくえ』『資本主義崩壊の首謀者たち』『原子炉時限爆弾』『福島原発メルトダウン』などベストセラー多数。

坪井 賢一(つぼい・けんいち)
1954年生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1978年、ダイヤモンド社入社。「週刊ダイヤモンド」編集長などを歴任。現在、取締役、論説委員。著書は『めちゃくちゃわかるよ! 経済学』などがある。

川内原発の再稼働に抗議し、司法の力で原発の停止を求める声明

★川内原発の再稼働に抗議し、司法の力で原発の停止を求める声明

@福島の悲劇を忘れるな

 原子力規制委員会と政府、鹿児島県に対する多くの市民の抗議の声の中で、8月11日、川内原発1号機が再稼働されました。私たち、脱原発弁護団全国連絡会は、「九州電力・川内原発(鹿児島). 原発なくそう!九州川内訴訟」と「仮処分申立」を支し、この再稼働を司法の力で差し止めようと努力してきました。4月22日、鹿児島地裁(前田郁勝裁判長)は川内原発1、2号機について、運転差し止めを求めた住民の申立を却下する命令を下しました。
 私たちの再稼働を食い止めたいという願いは、この決定によって阻まれ、未だ実を結んでいませんが、政府と規制委員会が進める川内原発の再稼働は、安全が確保されておらず、次なる重大事故を準備するものといわざるを得ません。さる7月31日の東京第五検察審査会の議決により、福島原発事故を引き起こした東京電力の役員に対する強制起訴がなされようとしています。これだけ多くの問題点が指摘される中で再稼働が強行されたのですから、川内原発で、次なる事故が起きた場合には、その責任は、九州電力だけでなく、政府官邸、原子力規制委員会、そして再稼働を認めた裁判所も負うべきであると考えます。さらに、再稼働を承認した鹿児島県知事、薩摩川内市長も責任を負うべきです。
 福島原発によって今も、10万人以上の人たちが故郷を失い、長期にわたる避難生活を強いられています。汚染水の放出は止まらず、湾内外の海水の放射能汚染は続いています。福島県内では、甲状腺がんの子どもたちが100人以上となり、県の甲状腺評価部会も「多発」と認める状況となっています。

@再稼働をめぐる司法の判断を分けたもの

 4月14日、福井地裁(樋口英明裁判長)は高浜原発3、4号機について、運転の差し止めを命じる仮処分決定を発令しました。この決定は、新規制基準は従業員や周辺住民の生命、身体に重大な危害を及ぼす等の深刻な災害が万が一にも起こらないようにするためのものであるが、現実の規制基準は緩やかにすぎ、これに適合しても原発の安全性は確保されない、新規制基準は合理性を欠くと明確に述べました。そして、そして「万一の事故に備えなければならない原子力発電所の基準地震動を地震の平均像を基に策定することに合理性は見い出し難いから、基準地震動はその実績のみならず理論面でも信頼性を失っていることになる」と断じ、基準地震動の策定基準を見直し、基準地震動を大幅に引き上げ、それに応じた根本的な耐震工事を実施することなどを求めています。
 これに対して、鹿児島地裁決定は、事故の可能性を社会通念上容認できる程度にまで下げられれば、再稼働を認めるという立場に立ち、基準地震動の想定方法を改めない規制委員会のやり方を追認しました。前田決定も、じっさいの地震動が平均像からどれだけかい離しているかを考慮することは望ましいとしつつ、地震には地域特性があり、九州地方では地震動が小さくなる傾向があり、平均像の利用自体が新規制基準の不合理性を基礎づけることにはならないとしたのです。
 二つの決定は、福島原発事故のような重大事故の再発を絶対に避けるべきことと考えるか、たまにはそのような事故が発生することも致し方のないことと考えるか、考え方の根本から異なっているのです。

@火山学会から強い批判

 川内原発では火山の破局的噴火のリスクが大きな争点となりました。カルデラ噴火で火砕流が原発を襲ったときにはこれに耐える設計をすることはできず、その破局的噴火が襲う可能性があれば、立地は不適であると考えられています。
 鹿児島地裁決定は、原子力規制委員会が火山学の専門家の関与・協力を得て、厳格、詳細な調査審議を行ったと評価していますが、川内原発の火山審査には火山学者はだれも招聘されておらず、事実誤認であることは明らかです。
 また、破局的噴火の活動可能性が十分に小さいといえないと考える火山学者が一定数存在することを認めつつ、火山学会の多数を占めるものではないとしています。この点も決定後に多くの火山学者が事実と異なると異議を述べました。
 さらに、九州電力は仮に火砕流噴火が起きるとしても、事前に予知でき、使用済み燃料を危険のない箇所に運び出すことができる(運び出すには原発を止めてから5年はかかる)と主張し、その根拠としてギリシャの火山学者ドルイットのミノア噴火に関する論文で、破局的噴火の前数十年前からマグマの供給で地表が隆起したとする論文などをあげていましたが、じつは、前田決定は「破局的噴火の前兆現象としてどのようなものがあるかという点や、前兆現象が噴火のどれくらい前から把握が可能であるかといった点については、火山学が破局的噴火を未だ経験していないため、現時点において知見が確立しているとはいえない」と認定し、この点に関する限り住民の主張を認めているのです。にもかかわらず決定では、マグマだまりの状況をモニターできる、ハズレも覚悟で噴火の予知を行うという規制委員会の言明などを根拠に、リスクは避けられると判断してしまったのです。科学的に誤っているだけでなく、深刻な原発事故を起こしてはならないという姿勢が根本的に欠けており、事故の発生を容認していると言わざるを得ません。

@原発を稼働させないことが社会的な合意となっている

 高浜原発については、関西電力から保全異議の申立がなされ、福井地裁で審理が始まっています。決定が生きている限り、高浜原発は再稼働できません。川内原発については、住民たちは決定に抗告を申し立て福岡高裁の宮崎支部を舞台に論争が続いています。鹿児島地裁決定はその結論において、次のような不可解な判示を行っていました。住民ら「が主張するように更に厳しい基準で原子炉施設の安全性を審査すべきであるという考え方も成り立ち得ないものではない」「今後、原子炉施設について更に厳しい安全性を求めるという社会的合意が形成されたと認められる場合においては、そうした安全性のレベルを基に」判断すべきこととなる、と判示しているのです。
 みずからの却下理由を自己否定した判示だといえるでしょう。福井地裁決定に対しては、NNNの世論調査によれば、再稼働を止めた決定を支持する人が65・7%で、支持しない人の22・5%を大きく上回っています。川内原発の再稼働についても、世論調査では、鹿児島県でも全国でも6割近くの人たちが再稼働に反対しています。
 福島原発事故をくり返さず、原発の高い安全性を求める福井地裁決定こそが、あらたな「社会的合意」となっているといえるでしょう。

@司法の力で原発再稼働を止めるため、全力を尽くす

 私たちは改めて、政府に対して、福島原発事故による悲劇を直視し、脱原発を求める多数の市民の声に耳を傾け、再稼働政策を中止し、脱原発政策に転換を図ることを求めます。そして、政府がこのような市民の声に耳を貸さないなら、福岡高裁の宮崎支部の抗告審で勝利し、司法の力で川内原発を運転停止に追い込み、全国の原発の再稼働を止めたいと決意しています。

 2015年8月12日              

 脱原発弁護団全国連絡会 / 共同代表 河合 弘之・海渡 雄一

「徴兵制」は本当に将来導入されることはないのか?

★安保法制 「徴兵制」は本当に将来導入されることはないのか?
***「THE PAGE 2015/08/08 15:15 配信記事」より転載

安全保障関連法案の審議が、参議院でも始まりました。「集団的自衛権」が憲法解釈の変更によって可能とされることから、徴兵制についても同じように可能になるのではないかという議論が、衆議院から引き続いて行われています。7月5日にも、民主党が安全保障関連法案への反対を説明するパンフレットで、「いつかは徴兵制?募る不安」といった見出しをつけ、直後に修正したことも話題となりました。安倍首相は、答弁の中で「徴兵制の導入はまったくあり得ない」と明言していますが、将来的に、憲法解釈の変更によって徴兵制が導入される可能性はないのでしょうか。.

@徴兵制は「意に反する苦役」が政府見解

 政府の公式見解によると、徴兵制とは「国民をして兵役に服する義務を強制的に負わせる国民皆兵制度」であるとされています。つまり、戦時だけでなく、平時においても軍隊を常設して、これに必要となる兵を国民から強制的に集めるということです。

 安倍首相は、7月13日に放送された自民党の動画チャンネル「Cafe Sta」でも、「憲法18条には『意に反する苦役』、これはダメですよということが書いてあります。そして徴兵制度の本質は、意思に反して強制的に兵士の義務を負うことです。ですから、徴兵制は明確に憲法違反なんです。これは憲法解釈で変える余地は全くありません。これははっきりと申し上げておきたいと思います」と発言しています。

 確かに、1980年の政府答弁書において、「徴兵制は平時であると有事であるとを問わず、憲法第13条、第18条などの規定の趣旨からみて許容されるものではない」との見解が述べられています。安倍首相の発言も、これを根拠としたものと考えられるでしょう。
.
@米最高裁は「意に反する苦役ではない」

 しかし、実際には、徴兵制が憲法18条に違反すると政府が考えているかは微妙なところです。1970年に行われた答弁では、当時の内閣法制局長官は、『(憲法)18条に当たるか当たらないかというのは、私どもから言いますと確かに疑問なんです』と明確に述べています。どういうことなのでしょうか。憲法問題に詳しい伊藤建(たける)弁護士は、次のように話します。

「内閣法制局が、安倍総理のように『徴兵制は憲法18条に明確に違反する』と言わない理由は、とあるアメリカ連邦最高裁の判決にあります。アメリカ合衆国憲法修正13条は、日本国憲法18条とほぼ同じ文言なのですが、アメリカ連邦最高裁は、徴兵制は『意に反する苦役』にあたらない、と判断しているのです。修正13条は、南北戦争直後である1865年に奴隷制を廃止する目的で追加されたのだから、『意に反する苦役』とは奴隷制度に類似するものを意味し、徴兵制度はこれに当たらないというロジックです」

 このアメリカの解釈を参考にすると、憲法18条だけでは徴兵制が憲法に違反するという確信を持てないからこそ、1980年の政府答弁書では「個人の尊重」などを規定した憲法13条もあえて挙げていると考えられます。安倍首相は、この点について明確な説明はしていません。

「1980年の政府答弁書は、徴兵制は憲法13条や18条などの規定の『趣旨』に反すると述べるにすぎず、どこにも『憲法18条に明確に違反する』とは書いていません。つまり、明確に憲法違反であるとは言えないけれども、憲法13条や18条などの条文を一緒に読んで、その背後原理を推理すると、ようやく『徴兵制は憲法違反だ』といえるというわけです。そのため、『徴兵制は憲法上許されない』という政府見解は、砂上の楼閣にすぎず、いつかは解釈改憲により変更されてしまうという危険をはらんでいます」(伊藤弁護士)

 安倍内閣の一員である石破茂内閣府特命担当大臣も、「政府見解に従うことは当然」としつつも、「『兵役は苦役』のような発想が国際的には異様だ」という持論を今回の国会でも展開しています。民主党のパンフレットで懸念されていた通り、やはり法解釈の可能性という観点からは、徴兵制も「集団的自衛権」の場合と同じ問題があり得るのです。

@現代の戦争で徴兵制に合理性はあるのか

 しかし、現実として、日本において徴兵制が必要とされることはあるのでしょうか。現代の戦争においては、ハイテク兵器を駆使して戦う必要があるため、徴兵制で集めた経験の浅い兵士では役に立たないから、徴兵制には軍事的合理性がないという意見があります。これはその通りで、現に世界各国では徴兵制は廃止される傾向にあります。長年、徴兵制を維持してきたドイツも、2011年に廃止に踏み切りました。

 ところが、現代の戦争はこうしたハイテクの兵器を用いる戦争に限られるわけではありません。「正規の軍や情報機関、義勇兵、民兵その他を組み合わせることで、平時とも有事ともつかない状況下で軍事作戦を遂行する『ハイブリッド戦争』では、徴兵制が必要になる場合もあり得る」と軍事アナリストの小泉悠氏は指摘します。公式の宣戦布告もなく、突然に国内に戦闘地域が出現し、延々とゲリラ的な消耗戦を強いられる「ハイブリッド戦争」では、少数の職業軍人よりも大量の徴兵を動員せざるを得ないというのです。

「軍事的に弱体な小国は、大量の国民を動員した武装抵抗によって、侵略のコストを仮想敵に認識させることが、安全保障上重要となります。 実際、ウクライナやリトアニアなどでは、最近になって徴兵制が復活しました」(小泉氏)

 しかし、地理的な要因、軍事的な装備などを考えても、こうした東欧諸国と日本の状況は大きく異なります。日本は島国であり、海上自衛隊及び航空自衛隊によって海上防衛や対空防衛の戦略が確立しているため、容易に敵が侵入することができません。つまり、可能性としても、ハイテク兵器を用いた現代型の戦争以外は起こりにくい状況なのです。小泉氏も、次のように指摘します。

「中国が南沙諸島への実行支配を強めているのは事実ですし、いずれは尖閣、沖縄も視野に入れていることは確かですから、遠い将来そういった場所でいわゆる『ハイブリッド戦争』が起きるかもしれません。しかし、そのような局所的な紛争に対して、日本国全体で一般の国民を総動員するような徴兵制が必要かは極めて疑問です。本土まで侵略されてゲリラ戦で対抗しなければならない事態も論理的には想定できますが、日本の国防能力を考えると、その可能性は将来的に見ても極めて低いでしょう」
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 確かに、現実として古典的な徴兵制が日本で導入される可能性は低いようです。ただ、法令の解釈は、今回の「集団的自衛権」と憲法9条の関係を見ても分かる通り、そもそも絶対的なものではありません。安倍首相が、憲法18条の『意に反する苦役』の解釈が1つに決まっているかのような説明をすることには、少し違和感を感じます。また、若者の貧困や自衛隊員の応募減少などの側面から、将来的には徴兵制に近い状態が生まれることを懸念する声もあります。今後は、「古典的な意味での徴兵制の導入」というテーマから一歩踏み込んで、実質的な問題点について議論していく必要があるかもしれません。

(ライター・関田真也)

8月の唄:死んだ男の残したものは

★死んだ男の残したものは

作詞:谷川俊太郎
作曲:武満 徹

1 死んだ男の 残したものは
  ひとりの妻と ひとりの子ども
  他には何も 残さなかった
  墓石ひとつ 残さなかった

2 死んだ女の 残したものは
  しおれた花と ひとりの子ども
  他には何も 残さなかった
  着もの一枚 残さなかった

3 死んだ子どもの 残したものは
  ねじれた脚と 乾いた涙
  他には何も 残さなかった
  思い出ひとつ 残さなかった

4 死んだ兵士の 残したものは
  こわれた銃と ゆがんだ地球
  他には何も 残せなかった
  平和ひとつ 残せなかった

5 死んだかれらの 残したものは
  生きてるわたし 生きてるあなた
  他には誰も 残っていない
  他には誰も 残っていない

6 死んだ歴史の 残したものは
  輝く今日と また来るあした
  他には何も 残っていない
  他には何も 残っていない


*「○月の唄」は月末が恒例ですが、「8月の唄」は中旬がふさわしいように思われます。この曲は、 昭和40年(1965)4月24日に開かれた「ベトナム平和を願う市民の会」で発表されたものです。なお、『お盆休み』ということで、しばらくエントリーを休みます。

「明日の食費がない」~シングルマザーの貧困

★「明日の食費がない」「子育ては苦しみばかり」~シングルマザーの貧困
***「 フライデー 5月28日号記事」より転載

 貧しさゆえに、母親が自分の子供を殺してしまう――そんな悲愴な事件が全国で発生している。母子家庭の2世帯に1世帯が貧困にあえいでいるという。彼女たちの悲鳴を聞いた。

@部屋の中はカビだらけ

 「普段の食事は、ホットケーキの粉を水だけで溶いて焼いたものだったり、乾麺タイプのうどんを茹でたりしたものが中心です。ご飯は二日に一回2合炊いて、2人の子供に食べさせ、残ったら自分も食べるという感じですね。調味料を買うおカネがないので、ケチャップやマヨネーズ、ソースなどはここ4年で一度しか買ったことがありません。時々野菜に、スーパーでもらったドレッシングなんかをかけると、調味料のない薄い味に慣れているからか、子供が『カラい』と顔を歪めますね。とにかく、子供におなかいっぱい食べさせてあげたい……それが一番の望みです」

 小学校1年生の娘と保育園に通う息子をもつ、シングルマザーの相原鈴子さん(仮名、30代)。夫の度重なる暴力に耐えかね、5年前に、子供を連れて家を飛び出した。おカネもほとんど持たないままたどり着いたのは、まったく土地勘もなく、頼る人もいない神奈川県の郊外だった。

 ガソリンスタンドに勤務する彼女の月々の収入は9万円ほど。夫からの慰謝料・養育費の送金はなく、一度として生活が楽だったことはない。生活保護も受けておらず、家賃5万9000円を払えば、生活はカツカツになる。

 親子3人で住むアパートは築年数約40年、リビング6畳・寝室6畳の二間だ。駅から徒歩15分と不便で、日当たりも風通しも悪いため、部屋の中はカビだらけ。これが原因で相原さんと娘は喘息(ぜんそく)になったという。

 「冬はとても寒いのですが、光熱費がもったいないので、お風呂は3分の1しかお湯を溜めません。もうすぐ家賃4万円台のアパートへの引っ越しを考えていますから、住環境はますます悪くなるでしょうね」

 そう言って哀しげな表情を浮かべた。

@「3000円だけ、貸してください…」

 女性の貧困が深刻化している。特に全国で約120万世帯にのぼる母子家庭(シングルマザー)の困窮が顕著だ。統計によると、母子家庭の平均年収は、一般世帯の半分にも満たない。

 2012年の貧困(世帯年収約122万円未満)率は、子供がいる現役世帯(世帯主が18-64歳)全体では15.1%なのに対し、ひとり親世帯では約55%にまで跳ね上がる(ひとり親世帯の約9割が母子家庭)。2世帯に1世帯以上が、貧困に苦しんでいるのだ。

 「シングルマザーの経済状況は、危機的なものになっています。なかには生きることすら困難になっている人もいる」

 こう指摘するのは、60年以上にわたり母子家庭を支援してきた公益団体「ひとり親Tokyo」の髙田伊久子会長だ。

 「昔は離婚して女ひとりで子供を育てることになっても、家族の支援があったり、安定した雇用があったのでなんとかなった。ところが核家族化と雇用の非正規化が進んだことや、元夫も非正規雇用で収入が少なく、慰謝料・養育費をもらえないというケースが増えたため、シングルマザーの貧困が深刻化しました。実際にうちに相談に来る人は、月収10万円以下で生活している女性が中心で、家賃が払えずに『3000円だけでいいので、貸してください』と懇願する人もいます」

 東京の郊外に生後9ヵ月の娘と住む甲本由香さん(仮名、20代)は、出産直後に夫と口論することが多くなり離婚。それまで住んでいた夫の実家を追い出され、途方に暮れた経験を語る。

 「仕事も辞めていて収入がなかったので、娘の出産祝いで食いつなぎました。手持ちのおカネが1万円を切って、これはもうダメかもしれないと思ったこともありました」

買い物をする時には「安くて、お腹にたまるもの」を中心に選ぶ。メニューは偏りがちだ

@「学校の教材が買えない」

 「とにかく、子供のためにおカネをかけられないのがつらい」と苦しい生活状況を明かすのは、埼玉県在住のシングルマザー・芦田絵美さん(仮名、30代)だ。

 「県営住宅に住んでいるので家賃は3万円ですが、生活に余裕はありません。食材は100円以下のものを中心に買い揃え、主食はうどんやパスタです。米は高いのでほとんど買えません。なるべく味の濃い調味料を使って、子供たちの空腹感をごまかすようにしています。うどんなら、揚げ玉をたくさんのせる、とか。

 一番苦しいのが、子供が学校で使う教材などの費用です。下の子供が小学校に入学するときに、2000円もする算数セットや、12色入りのマジックペン(1200円)を買わなければならなかったり……。ほとんど使わない鍵盤ハーモニカが、なぜ5000円もするんだろうとか、そんなことを考えるのがイヤですね(苦笑)。上の子供が高学年で野球が好きなんですが『中学校に行っても、野球部はダメだよ』と言ってます。ユニフォームや用具を揃えるのに、10万円はかかるから、とても手が出ません」

 一時期は住むところにも困っていた甲本さんと芦田さんは、生活保護を受けることでかろうじて生活を立て直したが、母子家庭支援NPO「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子氏によると、支援制度の存在を知らない女性も少なくないという。

 「インターネットを使う環境がないために、生活保護制度や支援団体を調べられないという女性がいます。役所の申請には、所得証明や戸籍謄本など証明書類も必要ですが、書類を揃えるのが大変で結果的に支援を諦めるという人もいるのです。また、地域社会に知られたくない、車保有が認められないなどの理由で生活保護を受けないという場合もある。実際、生活保護を受けているシングルマザーは、全体の14%程度でしかありません」

@急増する「母子心中」

 安定した職に就けず、さらに行政からも支援が受けられない女性の選択肢のひとつが、風俗だ。最近では「女子寮完備」や「入店すれば支度金30万円支給」などの”特典”をうたう「人妻系風俗店」が増えている。実際に寮はあるものの、相当古いアパートだったり、売り上げの中から「寮費」として一定額を引かれるケースがほとんど。

 また、勤務内容がハードな割には実入りが少なく、「一日3人客をとって、ようやく人並みに暮らせる程度の収入」(勤務経験のある30代女性)だという。しかし、住むところさえない女性のなかには、風俗での仕事が「最後の砦(とりで)」となっている人がいるのも事実だ。

 そういった店でも働けない女性は、最悪の場合、「死」を選択することもある。

 近年、生活に行き詰まり、母子ともに餓死したり、母親が子供を手にかけてしまうという事件が多発している。「反貧困ネットワーク埼玉」の藤田孝典氏が説明する。

 「貧困に苦しむシングルマザーは、精神疾患になってしまうケースが多い。子供に『おなかいっぱいご飯が食べたい』『なんでうちは貧乏なのか』などと泣かれて、精神的に追いつめられてしまうんです。私のところにも、泣きながら『子供に暴力を振るってしまった』『一家心中を考えている』と相談に来る方がいる。一歩間違えば事件につながるのではないかと感じることは、少なくありません」

 昨年9月、千葉県銚子市では痛ましい事件が起こった。県営住宅の一室で、43歳の母親が13歳の娘を絞殺したのだ。背景には極度の貧困があった。

 母親は、隣の市の給食センターで臨時職員として働き、娘の可純さんを育てていた。手取りは月7万円ほどで、家賃1万2800円の県営住宅に住んでいたが、’12年頃から滞納するようになり、千葉県が部屋の明け渡しを要求していた。

 「母親が娘を殺したのは、県が部屋の明け渡しの強制執行を行う日の朝でした。母親は警察の調べに『住むところがないと、生きていけなくなる。生活苦から娘を殺して自分も死のうと思った』と供述しています」(地元紙記者)

@「なぜ産んだんだ」と責められ

 可純さんはバレー部に所属する、アイドル好きの活発な女の子だった。この4日前には、彼女の通う中学校で運動会があり、可純さんは応援団の一員だった。母親は、娘が応援団で使用したハチマキを使って、首を絞めたという。

 「なぜ誰も救いの手を差し伸べなかったのか。千葉県の県営住宅の場合、生活困窮者であれば最大で家賃を月2560円にまで下げることが可能なんですが、自治体はそれを、母親から相談がなかったために説明しなかったのです。

 また、母親は’13年の4月に一度、生活保護の受給の可否を市役所に問い合わせているのですが、『面会記録票』を見る限りでは、市の担当者が母親の話をまともに取り合っていなかったと思われます。生活保護が受けられていれば、あるいは家賃の減額制度を知っていれば、娘を手にかけるようなことはなかったはずです」(「千葉県生活と健康を守る会連合会」妹尾七重会長)

 この一件だけではない。’13年5月には大阪市北区のマンションで28歳の母親と3歳の息子が餓死しているのが発見された。預金残高は数十円だった。また、’14年3月にはJR新大阪駅で、生活に困窮していた母親が1歳の女児を置き去りにするという事件も起きている。

 前出の藤田氏は、こうした痛ましい事件をなくすためにも、母子家庭の支援制度をもっと充実させる必要があると言う。

 「貧困対策の制度はある程度用意されていますが、それを利用するハードルは非常に高い。財政難から、生活保護の申請を出来るだけ受け付けないようにしようという自治体も増えています。たとえば福祉事務所の窓口に相談に行っても『なんで離婚したの』『もう少し働けるでしょ』などと責められることがある。

 また、安倍政権発足以降、生活保護の支給額が従来より低く見直される傾向にあります。そもそも『もう限界だ』という状態だから相談に来ているのに、そこで追い返されれば途方に暮れるしかなくなります。シングルマザーは、社会の中でも特に立場の弱い人たちです。その人たちに救いの手を伸ばさない世の中でいいのか、と疑問に思います」

 3歳の子を持つ20代後半の女性(兵庫県在住)は、本誌の取材にこんな心情を明かしてくれた。

 「出産から1年が経った頃に県内の福祉事務所に生活保護の相談に行くと、『苦しい生活になることが分かっているのに、なんで子供を堕ろさなかったんですか』と言われました。悔しくても、言い返せなかった。自分が悪かったのかなって思ってしまって……。それ以来、子育ては苦しみばかりで、この子がいるから私は貧しいんだと思うようになってしまった。この子もこれから苦しい生活をするぐらいなら、と、そんなことを考えてしまうことがあるんです」

 「働くお母さん」が自活できない格差社会――。これがいまの日本の、偽らざる姿だ。 

高校生も安倍政権に「NO!」~経済的徴兵制はイヤ!!

★渋谷に5000人! ついに高校生が「安保反対デモ」のインパクト
***「日刊ゲンダイ 2015/08/03」より転載

ついに高校生までもが安倍政権に「NO」を突きつけた。

 安保法案に反対する高校生グループ「T―ns Sowl(ティーンズソウル)」が2日、渋谷や原宿でデモ行進。中高年や親子連れも列に加わり、5000人が休日の繁華街で「安倍はやめろ!」と怒りの声を張り上げた。

 メンバーの高1男子(15)はこう言う。

「安保法案がニュースで報じられるのを見て、お腹の底からグワーッと恐怖が湧いてきました。ご飯もノドを通らないくらい不安です。戦争できる国にしないために、僕たちも声を上げなければいけないと思いました」

「T―ns Sowl」は7月1日に設立され、メンバーは計30人。沖縄や北海道にもメンバーがいるという。アップテンポな曲に合わせ、「集団的自衛権はいらない」「民主主義ってなんだ」と叫ぶ様子は、大学生を中心としたグループ「SEALDs」に似ている。デモに参加した元経産官僚の古賀茂明氏(59)はこう言う。

「SEALDsの国会前抗議活動に高校生たちも参加しているようで、大きな影響を受けているようです。とはいえ、高校生たちはSEALDsとは立場が違う。選挙権年齢が18歳に引き下げられましたが、大半が選挙権を持っていません。政治的な主張をしたければ、デモや集会で声を上げるしかないのです。安倍政権の暴走を放っておくと、ツケを背負わなければならないのは若者たちです。一人一人が危機感を覚え、自らの意思で動いているのでしょう」

 高校生たちのあまりの迫力に、買い物客は足を止め、目を丸くしていた。中には手を振り、拍手を送る若者もいた。デモ終了後に中心メンバーのあいねさん(16=高2)は報道陣にこう話した。

「政治家は、若者は何も考えてないと思っているかもしれない。でも、高校生だって政治のことを考えています。選挙権がないからって、声を上げちゃいけないわけじゃない。人が命を落とすかもしれない法律を、安倍首相は笑いながらつくろうとしている。この人に自分たちの未来を任せることはできません」

この日はサポートに徹していたSEALDsの奥田愛基さん(23)はこう言う。

「『若者は政治に無関心』と言われ続けてきましたが、そんなことはない。こうして高校生たちが声を上げてくれたことで、僕たちも勇気づけられました」

 来夏の参院選では18、19歳の有権者が約240万人増える。彼らが安倍自民党を追い詰めることになるかもしれない。

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★【安保法制】高校生デモ「僕たちが戦争に行かなきゃならなくなる」 
***「田中龍作ジャーナル 2015/08/02 19:44 エントリー記事」より転載

 「憲法守れ」「集団的自衛権は要らない」・・・若い声が高らかにシュプレヒコールをあげる。そこにいるのは学校の制服を着た少年少女だった。

 彼らは、いま現在は高校生だ。だが、安保法制成立後の将来、兵隊になっているかもしれない。

 「戦争には行きたくない」。アベシンゾーへの反発が彼らを駆り立てたのか。制服の少年少女たちが「戦争法案反対」を訴えて、きょう、渋谷の繁華街をデモ行進した。

 都内の高校2年生(男子)はストレートに危機感を表した。「(安保法案が)通っちゃうと僕たちが戦争に行かなきゃならなくなる。徴兵制は絶対ダメ」と。

 「高校生に政治はタブーという風潮があるが、小さな声を集めてタブーを壊したい」と語るのは、千葉県船橋市から参加した女子高校生(2年)だ。

 彼女の友人には経済的な事情から「自衛隊員になりたい」と志望している女子生徒もいるという。

 「奨学金の返済延滞者は防衛省(自衛隊)のインターンシップをやってもらえば・・・」。文科省の有識者会議で日本学生支援機構の運営評議員が発言していた(※)。

 奨学金を貸し付ける側が「返せないんだったら軍隊に入ってもらおうじゃないか」と言ったのである。露骨な経済的徴兵制だ。

 「大学には奨学金で行きたいけど、経済的徴兵制があるからねえ、どうしようかなあ」。習志野市の女子高校生(2年生)は、苦しそうに語った。手で汗をぬぐう仕草が彼女の苦悩を物語っていた。

 経済的徴兵制は現実味を帯びつつあるようだ。

 彼らは安倍政権の下心を十分に知っている。安保法制への理解は少年少女にまで進んでいるのだ。明らかに戦争に導くものである、と。

 「将来、もし子供が戦争に取られそうになったら、海外に住む」。前出(習志野市)の女子高校生は厳しい表情で言った。

 デモ隊の中には年金生活者(69歳・渋谷区)の姿もあった。「孫の世代に付き添いたいので参加した。このまま行けば、彼らの将来は間違いなく真っ暗だ」と心配する。

 少年少女をここまで追い詰める日本に未来はあるのだろうか。

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 (※)「経済的徴兵制」 日本学生支援機構・委員がマッチポンプ

川内原発が動く前に声をあげ行動しよう!

★川内原発が動く前に声をあげ行動しよう! 福岡核問題研究会 2015年7月25日

現状での再稼働は科学的・技術的にはもちろん、法的にも制度的にも、さらには倫理的・道義的にも間違っています。まず、「負の遺産」としての核廃棄物をこれ以上増やすべきではありません。また、このまま川内原発を再稼働すれば、福島原発事故を上回る大災害を招く恐れがあります。それは、原発事故の原因となる災害や問題などの想定と対策が甘過ぎ、過酷事故対策や航空機の衝突・テロ対策などが国際基準にも満たないためです。原子力防災・避難計画の備えと訓練などが全く不十分だからです。特に、噴火・地震等による原発事故と天災の複合災害への対応や、災害弱者の避難計画などが問題です。
 
原子力規制委員会は推進側の論理に負けて、違法で不当な審査で九州電力の申請を許可し、規制基準が必要とする安全対策にさえ猶予期間を与え避難計画の有効性は審査していません。やむを得ず市民が原子力規制委員会に許可取消しと審査手続き中止を法的に昨年申立てましたが、申立ての回答はいまだに放置されたままです。九州電力は多くの周辺自治体の議会決議を無視して住民説明会を開催しません。九州電力を監督すべき経済産業省は、民主社会を冒涜し社会的責任を放棄する不適切な事業運営の改善を命令していません。
 
福島原発事故を招いた過ちを繰り返してはなりません。人災や自然災害などによる事故を防ぐためには、安全性を経済性などより優先するように、技術的・政治的判断などのあらゆる場面で倫理性を尊重しなければなりません。正しい判断と言動が立場を損ない潰される代わりに、守られ評価される仕組みが必要です。
 
日本のエネルギー政策の目標は「3E」、つまり「エネルギー安全保障(Energy Security)」「経済性(Economy)」「環境適合性(Environmental Conservation)」を重視しましたが、福島原発事故の後に「安全性(Safety)」を入れて「3E+S」と言われています。しかし、福島では核燃料保管プール(核燃料のジルコニウム火災など)の危険性が残り、放射能汚染水は増え続けています。溶けた核燃料の状況は把握されておらず再臨界の恐れがあり、状況はコントロールされていません。自主避難者含め十数万人以上の原発避難者が救われていません。
 
それでも安倍政権や原発メーカーなどが原発の稼働と輸出を企てているのは、良心がマヒしている証拠です。科学的・技術的に具体的な問題が指摘されても都合悪ければ不正やごまかしが横行し、目先の利益と立場を守るために他者の犠牲や環境破壊を見過ごす原因は倫理性の欠如です。
 
よって、倫理委員会の結論で脱原発を決断したドイツに見倣い、日本でも倫理(Ethics)を加えて(4E+Sで)エネルギー政策を考える必要があります。これまでの悪しき慣習を断ち切り自らの欠点や弱さを反省し、倫理的な正しさを尊重し、安全性を優先して判断することは大変で難しいことです。川内原発は世界で一番の火山リスクがあり大噴火も想定されます。噴火の影響で原発事故が起きた場合、放射能まみれの火山灰が世界中に降り注ぐ恐れがあります。再稼働中止は、こうした災害に対処するよりは簡単で実現可能な道であり、倫理性を尊重する判断です。
 
日本政府は平和憲法に違反してでも集団的自衛権を認めさせて、海外に派兵できる道を進めていますが、これは日本を敵視する勢力が増えて原発が攻撃される危険性を増します。核攻撃を防ぐために核武装すべきとの考えもありますが、人類絶滅の危険さえある可能性が高い力によるコントロールから、良心と理性に基づいたコントロールに転換すべきです。間違いを犯し利己的で悪意を抱いてしまう人類が、安心して住み続けられる平和な世界を実現するためには、危険で管理の難しい核物質の製造・保管・利用の禁止こそが唯一の正しい道であると考えます。
 
ヒロシマ・ナガサキ・フクシマを経験した日本が、率先してこれを実行することが世界の希望になります。大飯・高浜原発では運転を差し止める判決が出ましたが、川内原発の再稼働中止を求めた裁判は不当な判断で否決されました。川内原発の再稼働が8月早々に強行されうる現状で、最後に期待できるのは国内外の市民の声です。次頁からの内容とリストを参考に、関係各所への働きかけをお願いします。

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