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1月の唄:めくら花

★1月の唄:めくら花

作詞・藤原利一 
作曲・浅川マキ
歌唱・浅川マキ

昔のことは忘れたよ
あんたのことも忘れたよ
ガキのおいらにゃ涙も出ない
流れさすらい 落ち込んで
やっと咲きます この めくら花

夏の光がとけてった
あんたの瞼も乾いたろ
今のおいらにゃ とても歌えぬ
走って走って なお走り
胸の高まりひそめた恋歌

遠いところで死んでった
おいらの二十歳 あんたの温み
とおにおいらにゃ傷さえ失せた
狂い狂って なお狂い
いつか散ってた あの めくら花

・・・・・・・・・・・・・

1月のエントリーはこれでオシマイです。

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「10年後破綻する人」はどんな人か

★「10年後破綻する人」はどんな人か 経済ジャーナリスト・荻原博子さんに聞く
***「デイリー新潮 1月22日(金)5時20分配信記事」より転載

 昨年、「老後破産」「下流老人」といった言葉が流行語になった背景には、多くの人が、この先の生活について不安を抱えていることがあるのは間違いない。

 一体どうすれば、最悪の事態を避けることができるのか。

 この度、『10年後破綻する人、幸福な人』を上梓した経済ジャーナリストの荻原博子さんに聞いてみた。

――なぜ「10年後破綻」をテーマにしたのでしょうか。

荻原:あまり先の話になると、読むことは難しいのですが、10年後くらいまでの流れは大体わかっています。ところが、それに備えようという意識が薄い人が結構いるように思います。

 具体的には、2020年の東京五輪「後」に来る不況にどう備えておくか、ということですね。

――東京五輪で景気は良くなるのでは?  不況になるのですか? 

荻原:五輪開催までは、多少の上下はあってもそれなりに景気は上向きになると思います。すでに土地も仕事も人も東京に集中し、バブルのような状況も起こっています。

 しかし、五輪後にはその反動が一気に来るでしょう。

 1984年以降のオリンピック開催地を見てみればわかります。開催国の多くは、その後不況に見舞われています。

 唯一の例外は、1996年のアトランタ(米国)だと言ってもいいくらいです。

 なぜアトランタは例外になったかといえば、当時、米国ではIT革命が起こって、その勢いが強いために、反動の落ち込みをカバーできたから。残念ながら、日本にはそうした次世代産業が育っているとは言い難い状況です。

――しかし、年明け以降株価は急落したとはいえ、3年前に比べれば高い水準にあります。株価はもっと上がると見ている人もいるようですが……。
.
荻原:日本の株式相場は、このところ明らかに政府系の資金が主導し、7割を占める海外投資家が相場を盛り上げるという形で進んできました。外国人投資家にとっては、これほど安全な市場はないでしょう。なぜなら、相場が下落しても政府系の資金が大量に買い支えにまわるので、マーケットが奈落の底に落ちる心配がないからです。

 しかし、問題はいったんマーケットに入った年金などの政府系のお金は、儲かったからといって簡単にマーケットから引き出すわけにはいかない、ということです。そんなことをすれば、株価は暴落する可能性がありますから。

 こういう相場で、最後に損をするのは、一番最後まで残っているもの、つまり私たちの税金や年金、預金を使った政府の投資ということになります。

――個人のレベルで、何をすれば生活を防衛できるのでしょうか。財産を「土地」「投資」「現金」といった具合に分割せよ、といったアドバイスはよく耳にします。

荻原:土地で値上がりが見込めるのは、都心の不動産ですが、すでに良い場所はかなり高値になっているので、普通の人には手が届きません。

 株などの投資も、資金に余裕がある方ならば、少しやっておくことは悪くないでしょう。ただ、あくまでも余裕資金があれば勉強のつもりでやる、というくらいのほうがいいのではないでしょうか。
 
――「ハイパーインフレ」が到来するから備えよ! という人もいますが……。

荻原:インフレの危機を煽るような意見を聞くと、対策をせねばと不安に駆られるのは当然です。しかし、インフレは一朝一夕には起きません。朝、目が覚めたら、物価がとんでもないことになっていた……なんてことはありません。

 対策はインフレの兆しが見えてからでも間に合います。

 しかも、今はまだデフレからすら脱却できていないのです。

 ちなみに以前、私は1997年に経済破綻した韓国を取材したことがあります。その時、もっとも生活に打撃を受けたのは、住宅や株を持っていた「持てる人」たちでした。

 逆に、最も儲けたのは現金を預金していた人たちです。金利が上昇して、定期預金金利がいきなり31%にまで上がったからです。

 そのお金を元手に、暴落した株や土地を安値で買った人は、さらに大儲けしました。

――では、何をすればいいのでしょうか。

荻原:デフレが続くにせよインフレが来るにせよ、今、しておくべきは「借金を減らす」ということです。

 安心な老後を迎えるためには、投資信託などをコツコツ買い続けるよりも、借金を減らし、現金でコツコツ貯めておくことが、地味なようでも一番効果的です。

 老後に不安を持つ人に向けた「変額個人年金保険」などさまざまな金融商品もありますが、個人的にはあまりお勧めしません。少なくとも、利回りに目を奪われるだけではなく、手数料にもきちんと注意はしてください。

 たとえ運用で多少のプラスがあっても、手数料を取られて結局マイナスに、なんてこともあります。それでは元も子もありません。

 今回、この本は、あくまでも普通の生活、資産を守りたいという人に向けて、経済の基礎知識も含めて書きました。乱高下する相場で一攫千金、ということを狙いたいのなら話は別でしょうが、普通の人はそういうことに手を染めない方がいいと思いますよ。それこそ、欲をかいて「10年後破綻する人」になる可能性が高いと思います。

Book Bang編集部

「国民生活の現実を知らない」アベシンゾウ君

★ルモンドの記事から
***「内田樹の研究室 2016/01/12 」より転載

1月11日付けのLe Monde 紙が安倍首相の予算委員会での「パートで月収25万円」発言について、かなりきびしい口調で報道している。経済政策の破綻の理由が政策選択の適否ではなく、政治指導者たちが「国民生活の現実を知らない」ことに由来しているのではないかという疑念を私たちは海外メディアに突きつけられている。

記事はここから。

フランスの指導者はバゲットの値段やメトロの運賃の話を苦手とするが、日本の安倍晋三首相は国民の収入についての話が苦手である。1月9日の衆院予算委員会で安倍首相は野党から、2012年の政権復帰以後の実質賃金の低下について質問を受けた。
答弁として、首相は「経済の建て直しと雇用の増大」に言及して、その文脈で「パートタイムでの雇用に従事する人が増え」、それが平均賃金の低下をもたらしたと説明した。
たとえ話として、彼は想像上の「安倍家」を持ち出し、その夫はサラリーマンで月収50万円、その妻はパートで働いていて月収25万円。「この場合、平均賃金は下がる」と首相は説明した。

彼の説明には説得力がなかった。とりわけ彼が挙げた数字が現実と乖離していたからである。厚労省によれば、従業員5人以上の企業におけるパートタイム労働の平均賃金は月額96、638円。サラリーマンの平均給与は352、094円である。

首相の発言に対する反応はすぐにネット上に現れた。
「パートタイムで月収25万円?ありえない。私は週6日、休みなしで働いて、残業して、それで15万円。」
「パートの平均時給1000円で一日8時間働いたとして、25万円稼ぐためには月に32日働かなくてはならない」

安倍首相は「国民生活の現実から切り離されている」という指摘もある。「政治家一家に生まれ、銀のスプーンを咥えて育ってきたのだから」
彼の母方の祖父は1950年代末の首相だった岸信介、父は外務大臣である。

これだけ反応が激しかったのは、日本の労働者の37.2%が生活の先行きに不安を抱いているからである。日本では貧困化が進行している。すでに日本はOECD最貧国ランキングの6位であり、平均賃金の半分以下という貧困層は2013年に16%に達した(フランスは8.1%)。生活保護受給者は増え続け、2015年には163万世帯が受給者となった(2年前は159万世帯)。

Philippe Mesmer (東京特派員)

誰でも危ない「老後破産」の共通項を検証

★「天地真理」が激白! 「柳沢きみお」も瀬戸際! 誰でも危ない「老後破産」の共通項を検証する。
***「週刊新潮 2016年1月21日号掲載記事」より転載 

老後とは、それをエンジョイできる余裕がある人には「第二の人生」でも、「破産」状態に陥った人にとっては、悪夢でしかないだろう。天地真理も、柳沢きみおも味わう「老後破産」の恐怖。人生の終章で辛酸をなめる人には、どうやら共通項があるようだ。

 ***

 日本文化史を研究するイタリア人、パオロ・マッツァリーノ氏は、著書『「昔はよかった」病』(新潮新書)の中で、「昔はよかったね」と言って今を嘆き、過去を懐かしんでばかりいるのが日本の年長者の特徴だ、と看破する。しかし、「老後破産」に追い込まれてしまった人が生きている「今」は、誰がどう見ても、「昔はよかった」と言うほかないものである。

 そして今、「昔」の「よかった」生活から「破産」に近い状態にまで転落する人が激増している。『老後破産 長寿という悪夢』(新潮社刊)がベストセラーになり、「老後破産」の実例を報告した本誌(「週刊新潮」)34号の特集記事が話題を呼んだのも、誰もが「悪夢」にうなされかねない現実があるからだろう。

 事実、「昔」のほうが、老後をすごしやすい環境が整っていたようだ。貧困者の生活相談に乗り、アパートの連帯保証人を引き受けるNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の大西連理事長が言う。

「私たちが収入を得る要素は、労働、資産、家族の援助、社会保障の4つ。そして国民年金は、社会保障以外の3つの要素がある前提で成り立っている制度なんです。成人するまでは親に扶養され、学校を出たら働いて貯金する。結婚して子供が生まれたら、家族を養いながらマイホームを買い、資産を作る。そして定年退職を迎えたら、貯蓄と退職金、子供たちの援助に支えられて生活する――。実際、昭和にはそうした社会モデルが一般的で、現在の社会保障制度は、こうしたモデルを前提に設計されている。国民年金も、それ1本で生活を成り立たせるための制度ではないのです」

 ところが、そんな社会モデルが大きく崩れているという。大西氏が続ける。

「高度成長期には正社員が当然で、終身雇用が前提で企業福祉も充実し、妻が専業主婦でも家族を養う余裕があった。しかし、現在は非正規雇用者が労働者全体の37%を占め、彼らは給料が低いので資産を形成できず、そんな状態では結婚して家族を養うこともできない。要するに、収入の4要素のうち3つがない人が増え、昭和モデルが通用しなくなっているのです」

 それでもまだ、自分は正社員だから、あるいは正社員だったからと、対岸の火事の見物を決め込んでいる人が多いのではあるまいか。だが、大西氏は、

「老後破産に陥る人は、一般企業の正社員だった人も多い。それなりに恵まれた家庭環境で育ち、大学も出た人が少なくないのです」

 と指摘するのだ。心身の病気、リストラ、親の介護のいずれかの理由で仕事をやめたケースが多く、リストラを機に離婚を切り出される例もあるという。彼らが追い込まれる理由を、大西氏はこう解き明かす。

「そういう人は、自分がリストラされたり、熟年離婚せざるをえなくなったりしたとき、“恥”だと感じて周囲や友人に言い出せません。20代、30代ならともかく、40代や50代で今までの不自由のない生活からグレードを下げなくてはならなくなっても、周囲に同じような境遇の人はおらず、話しづらい。それを引け目に感じ、友達づきあいも減ってしまうのです。いざ転職先を見つけても、20代や30代の若者が上司ということが多く、孤立を深め、精神的に病んでしまったり、相談できないまま、間違った選択肢を選んでしまったりするのです」

 そうしたケースをつぶさに検証する前に、少々特殊な環境における事例を、2つばかり紹介したい。「特殊」とは言ったものの、実は、老後破産に陥る典型的なパターンを、いくつも含んでいるからである。

■浪費癖があるから

「私、20代、30代の一番仕事が忙しいころは、今みたいな状態になるなんて、思ってもみませんでした」

 こう語るのは、1970年代前半に「ひとりじゃないの」などの曲を次々とヒットさせ、スーパーアイドルとして一世を風靡した天地真理(63)。現在、川崎市の高齢者向け住宅に暮らしている。ちなみにこの住宅は、3人の入居者が次々と転落死していたことがわかった有料老人ホームと、運営会社が同じだが、それはともかく、今の彼女の暮らしぶりはこうだ。

「月に家賃が14万円、食費が4万円ほどかかりますが、ファンクラブの方が出してくれていて、感謝の言葉しかありません。65歳からは年金が月15万円ほどもらえるはずですが、今、蓄えはないです。渡辺音楽出版との契約で、私が死ぬまで3カ月に1回、5万円が振り込まれることになっていますが、全額娘に渡していて、普段の生活に使うお金は、娘が週に3回、2000円ずつ振り込んでくれて、それでなんとかやりくりしています」

 かつての大スターが、週に6000円でやりくりしているとは驚きだが、

「それは私に浪費癖があるからです。20代のころから良い思いをたくさんしてきて、今でもそのときの感覚が忘れられなくて、お金があると使っちゃうんです」

 そして、デビューから今日に至るまでの経緯を、このように語った。

「19歳でデビューするとすぐブレークして、月給300万円もらっていたんです。渋谷区の松濤に5LDKのマンションを6000万円で買って、ひとりで住むのが寂しくて、数年後に売っちゃいましたけど。お金は母に渡していましたが、頼めば高いお洋服も買ってくれるし、外食にもよく連れていってもらっていました。それにデビュー時のマネージャーさんが“自分への投資に衣装をいっぱい買え”と言っていたので、値段を気にする習慣もなかったんですね」

 だが、そんな日々は長くは続かなかった。

「25歳のとき、甲状腺機能障害ということで入院して、2年間、芸能活動を休止しました。本当は人気がなくなってきて、寂しくなって、鬱病になっていたんです。1カ月入院したんですが、その間に、渡辺プロと病院の先生が話し合って、“嘘の病名を作ろう”ということにしたのが真相なんです。復帰してからは、また月300万円もらいましたが、仕事が増えず、他の事務所へと転々とするようになってからは、月に50万円くらいのお給料でした。でも、浪費癖は治らず、お金に困るようになりました。86年にはロマンポルノに出演しましたが、あれはすべてお金のため。でも、ギャラの200万円は毛皮のコートを買って、使い果たしてしまいました」

 そのころ、喫茶店のマスターと結婚した。が、

「彼が住んでいた麹町のマンションで暮らし、娘も生まれましたが、元亭主は仕事を全然しなくて、私には暴力をふるうし娘にもつらく当たって、離婚のときに慰謝料ももらえませんでした。離婚を機に横浜市に移って、娘が専門学校に入るまで学費などで困りはしませんでしたが、浪費癖は止まらなくて、30万円するサンローランの服を買ったり。お金を貯めなくちゃ、という思いはあっても、通帳にお金が残っていると使っちゃうんです。そんなだから娘ともいつも喧嘩になって、ひとり暮らしすることにしたんです」

■怖いのは病気になること

 天地のケースには病気や離婚、人気低下による事実上のリストラなど、さまざまな要因が詰まっているが、こうなった最大の理由は、

「ダウンサイジングすることの難しさ」

 だと大西氏は指摘する。実際、ダウンサイジングは老後破産を避けるための必須事項といわれる。

「仕事のストレスを解消するために、高価な買い物に走ってしまう。それに月に300万円ももらった経験があると、浪費に歯止めがきかなくなりがちだし、周囲にも良い暮らしをしている人が多かったでしょうから、それを意識して、なかなか生活レベルを落とせなかったはずです」(同)

 一方、動かした金額はケタ違いだが、今もなお「老後破産」の瀬戸際にいるのが、漫画家の柳沢きみお氏(66)である。

「二十数年前、バブル真っ盛りで私の年収も最高で1億8000万円ほどあった。フランスの芸術家エミール・ガレにハマって、彼の骨董品を買い漁り、クラシックカーを何台も買い換えていたある日、新聞の折り込みで、千葉県の山中に敷地3000坪のログハウスを見て、そこなら車を何台も置けると思い、買ってしまったんです。値段は4億円。当時、2億4000万円で買った原宿のマンションに住み、月に80万円を返していましたが、新たなローンを加えて月額350万円の返済になった。でも、払えなくなれば、高騰していた原宿のマンションを売ればいいと思っていました」

 ところが、である。

「それが大欠陥住宅で、水道がなく、井戸を掘ったら濁り水で粘土の臭いがする。また、家の裏が山で陽が全然当たらず、梅雨時は湿度が90%近くになる。そこに2本の週刊漫画誌の連載が終了して、ローンが支払えなくなり、原宿のマンションもクラシックカーも、全部売ることになったのですが、バブルのころは10億円と言われたマンションは、1億4000万円にしかならず、4億円のログハウスは競売にかけられ、3000万円で売ることに。借金の残金1億8000万円は利息なしで8年で返すことに落ち着きました」

 幸いにも、『特命係長 只野仁』がテレビドラマ化されて大ヒットし、予定より1年早く完済したというが、それでも、生活は危ういままだという。

「こんな経験をしただけに、“貯金をしなきゃ”と思うのですが、できていません。お金が貯まると、ガレの骨董品やクラシックギターを買ってしまう。自宅は家賃30万、事務所は20万円の賃貸マンションで、不動産も持っていません。アシスタント3人に給料を払い、食費、光熱費など諸々の出費を合わせると、今の収入と支出って、ちょうどトントンくらいなんです」

 羨むべき生活水準に見えて、その実、非常にもろい状態にあるというのだ。

「今、日刊ゲンダイでやっている『特命係長 只野仁ファイナル』の連載も、いつか必ず終わります。今のところ、新作の依頼も一切ないし、今後は仕事が先細りする一方だと思うんです。今、一番怖いのは、僕も含めて家族が病気になること。そうなったら漫画も描けなくなってしまうから、本当に怖いですよ」

 柳沢氏からは、やりくりがなんとも不器用な印象を受けるが、先の大西氏は、

「個々の性格として不器用な人、要領の悪い人、昔からの習慣や美徳に縛られている人ほど、自らの首を絞めてしまっている」

 と指摘。過去の習慣から抜けられない点は、天地真理にも共通している。

■日本独特の価値観に縛られ

 ともあれ、大西氏はこんな例を挙げる。

「うちに相談にきた60代の男性は、元々は一般企業に勤め、年収500万円ほどでしたが、50歳のころに母親が認知症を患い、介護に専念するために退職。しかし再就職しようにも、50代では条件に見合う仕事は見つからず、介護のストレスも溜まって鬱病になり、生活保護を受けています。介護つきマンションや老人ホームを探せば、仕事を辞めずに済んだはずですが、それでも自宅介護を選んだのは、“親の面倒は子が看る”という、日本独特の価値観があったからです」

 似ているのが、離婚をきっかけに身を落とすケースだという。

「ある50代の男性は、40代でリストラに遭って離婚を切り出され、持ち家と子供は妻に渡し、自分は賃貸アパートに一人暮らし。そのうえ養育費を月々支払い、新しい仕事は見つからない。リストラされたのなら、財産は半々にするなど、もう少し自分の人生設計を考えるべきでした。離婚後に苦しむケースは、男性が財産分与の際に見栄を張り、ほとんどを妻子に渡してしまう場合もあるんです」(同)

 全日本年金者組合東京都本部の年金アドバイザー、芝宮忠美氏(73)も、介護が足枷になる例を挙げる。

「最近、相談に来られた女性は、40代のころ母親の介護のために仕事を辞め、母親が亡くなったときには自分が50歳を超えていて、再就職もままならなかった。それでも、老人ホームに入れることだけは“絶対に嫌だった”と言うんです。結局、母親が亡くなると都営住宅から強制退去させられてしまい、私と相談した結果、生活保護を申請することになりました」

 やはり“美徳”を優先して、自らの首を絞めてしまったのだ。ところで、芝宮氏自身も「老後破産」に近い状態にあるという。

「私は同志社大学を卒業後、外資系のヒルトンホテルに就職して、最初の赴任地がアラブ首長国連邦の首都アブダビ。その後はクウェートやイギリスなどを転々とし、52歳からはスウェーデンで、定年退職後、帰国しました。当時の年収は700万円ほどで、妻と2人で普通の老後が送れると思っていましたが、海外勤務が長く、厚生年金に未加入の期間があって、年金受給額は月7万円弱。病気の妻の障害年金が約10万円ありますが、妻は人工透析を受けに週に3回病院に行くので交通費がかかり、週2日のデイケアの費用も3万円ほどかかる。そのほかの出費も積み重ねると、家賃4000円の都営住宅に住んでいても、毎月、収支はギリギリなんです」

 だが、必死に介護したくなる家族がいる人は、まだ幸いなのかもしれない。シニアの生活相談を行っている全国SLA協会事務局長の石寺弘子さんは、

「家族とのコミュニケーションが上手くとれているかどうかも、老後破産を防ぐうえで大事な要素」

 と言って、実例を示す。

「全財産をはたいて二世帯住宅を建て、息子夫婦と同居を始めたものの、何かにつけ嫁と揉めて嫌気がさし、家を出てアパートを借りた方がいます。年金だけではやっていけませんが、財産はもうなく、息子夫婦に家賃の支払いを求めたところが、取りあってもらえず困っている、という相談でした。また、家族の問題で最近増えてきたのは、自立しない子供を抱えた親からの相談ですね。働かない息子を抱え、生活の面倒は見てあげたいが、自分が病気をして入院中に預金を下ろされ使われてしまい、退院したら生活費にも困る状態になっていた、という相談もありました」

■100円のお惣菜を半額で

 さて、話を原点に戻すと、老後破産の“王道”は、なんらかの理由で仕事を追われたケースである。それは予期できないという点で、誰にも他人事ではない。

 大阪で日雇い労働者やホームレスの生活支援に取り組む野宿者ネットワークの生田武志代表は、

「40代、50代のときに仕事を失い、再浮上できないまま破産状態に追い込まれる人もいます」

 と言って、続ける。

「府内に住む60代の男性は、調理師として働き、30代のころは月に30万~40万円稼いでいたそうですが、バブル崩壊の煽りで店が倒産。40代から土木作業に転じますがケガが多く、50歳を前に解雇。その後は転職もできず貯金も尽き、生活保護を受給しています。やはり生活保護を受けている60代の男性は、大阪市内で複数のスナックを営んでいましたが、倒産して借金を抱え、10年前に離婚。住まいが奥さんの実家だったために住居も失い、自己破産してしまいました」

 また、最近は若くして破産状態に追い込まれる人も多いと、こう続ける。

「ある20代の女性は、理系の大学院を卒業後、企業の研究機関に勤めていましたが、企業がその事業から撤退して研究機関が廃止されてしまった。レジ打ちなどのアルバイトをして過ごすものの、腰を悪くしたりして長く続かず、転職活動もままならないうちに精神的にも病んでしまった」

 若者がこうなら、高齢者にはなおさら厳しいのは当然である。都営住宅に住む66歳の男性が語る。

「鹿児島から上京して獨協大学に入学し、卒業後は浅草有線放送などで正社員として働きましたが、競馬にはまったりして退職。新聞の勧誘や清掃などをして過ごしました。収入は月13万~14万円程度で、家賃は6万円。独身だし身体は丈夫なので生活できました。ところが5年前、鷺宮のホテルの清掃の帰りに、新宿駅で腹痛に襲われて意識を失った。急性腹膜炎で危険な状態だったらしくて、意識がないうちに手術され、3週間入院して50万円の医療費がかかった。それは月賦で払うことにしたけど、もう体力がなくなって働けない。生活保護を受けていますが、それが恥ずかしくて……。食事は100円のお惣菜が夜は半額になるのを狙って食べています」

 続いて、やはり都内に住む69歳の男性の話である。

「18歳から自動車の組み立て工場で働き、20歳でやめて夜間学校に4年間通い、証券会社に正社員として入社しました。給料もよかったのですが、職場にパソコンが入ってきて、それを使えずにクビになってしまった。その後は警備員をしたり、飲食店で働いたりしましたが、月収15万円ほどで生活はぎりぎり。独身で傾きかけた両親の持ち家があるから、なんとかなりました。今は2カ月で16万円の年金だけで暮らしていますが、貯金はゼロで、食事は納豆と豆腐ばかりです」

 前出の石寺さんは、

「今は医療の進歩もあって、高齢者の方も元気。退職後を第二の人生ととらえ、アクティブに行動する人が増えましたが、その分、交際費もかかり、生活を圧迫している場合もあります」

 と言う。たしかに、長生きのためには「アクティブであれ」と説かれるが、アクティブに行動する余裕がある高齢者がどれだけいるのか。また、アクティブな行動によって得られた長寿が、老後破産という悪夢と直結するなら、これほど皮肉な話はない。

夜間大学の現在(いま)

★遅番感覚で大学へ?関西圏私大唯一の夜間学部生の思い
***「THE PAGE(大阪) 2015.12.26 17:34 配信記事」より転載

 イルミネーションが輝く夜のキャンパス。華やぎを楽しみながらも、学生たちが教室に急ぐ。大阪市東淀川区にある大阪経済大学の経営学部第2部は、関西圏の私大で唯一残る夜間学部だ。他大学の夜間学部撤退が相次ぐ中、来年度から入学定員を増員し、新たな時代の要請に応えようとしている。夜間教育で何が起きているのか。学びの場を訪ねた。

@大阪市内で唯一の夜間学部

 2015年度までの経営学部第2部の入学定員は1学年90名。学生たちは選択科目に応じて、東淀川区の大隅キャンパスと中央区の北浜キャンパスで学んでいる。どちらも地下鉄などの交通アクセスに恵まれ、仕事を終えてからも通学しやすい。

 文部科学省の学校基本調査によると、全国の国公私立大学の夜間学部に通う学生は1996年度で、12万4617人だった。その後、少子化や勤労学生の減少などを理由に、夜間学部が相次いで廃止されていく。夜間教育の場がなくなることで、夜間学部で学ぶ学生も減少。2015年度は2万1485人と、19年間で約17%まで減少した。

 現在、夜間学部の学生募集を実施している大学(フレックス制を除く)は、全国で14大学。関西圏に限定すると、大経大、大阪教育大学、神戸市立外国語大学の3大学だけ。大経大経営学部第2部は関西圏の私立大学で唯一の夜間学部となっている。

@来年度入学定員を90人から110人へ増員

 経営学部第2部の入学定員90人に対し、11年度から5年間の志願者数は、318人、243人、336人、360人、451人。全学的に志願者数が落ち込んだ12年度を除くと、増加傾向にあり、15年度の競争率は5倍に達した。

 こうした手応えを踏まえ、大経大では夜間教育の再検証を実施。経営学部学部長補佐を務める四條北斗講師は「奨学金やアルバイトの給料を学費に当てながら、経済的に自立して学びたいという若者が多い。社会人学生の学び直しのニーズも高い」と指摘。「働きながら学べる夜間教育の機会を拡充することは、教育機関としての社会的使命であると判断し、入学定員の増員を決定しました」と話す。

 来年度から経営学部第2部の定員を90人から110人に増員。併せて「経営コース」「ビジネス法」コースに加えて、「サービス・マネジメントコース」を新設する。

 さらにクォーター(4学期)制を導入し、学びたい科目を集中的に受講できるなど、仕事と両立しやすい教育環境の醸成を図る。働く学生たちが互いの職場体験などを共有し合う社会人学生ゼミも、実践的で関心を集めそうだ。

 学費に関しては、15年度の初年度学費等納付金で、経営学部第1部の117万円3000円に対し、同第2部は61万3000円と、約52%に抑えられている。

@学び直してふるさとで教師になりたい

 午後7時40分から始まる四條講師の講義を受講する学生たちに聞いた。金子達哉さんは25歳の1年生。岩手県の高校を卒業後、就職のため上京。大学で学びたいとの思いがあったものの、仕事に追われ、踏ん切りがつかない。

 4年半働いてふるさとの普代村へ戻る。東日本大震災の被災の中から立ち上がろうとする人たちとふれあい、大学進学を目指す気持ちに筋が通った。

 「教員になり、ふるさとの子どもたちに教えたい。教員になる決意を固めた後、インターネットで検索して、働きながら学べる大経大経営学部第2部を知り、迷わず受験しました」(金子さん)
コンビニでアルバイトをしながら大学に通う生活にも慣れた。通常の講義に加え、教職課程も受講して教員をめざす。

 「必修科目が設定されていないので、進路希望に応じて自由にカリキュラムを組めるので助かります。年下の同級生ともうまくやっています」(金子さん)

 岩手、東京から岩手を経由して、大阪へ。日本列島を縦断しながら目標へ突き進む。

@国公立大断念も学費の安い夜間学部へ

 兵庫県出身の池田利満さんは24歳の4年生。高校卒業時、両親との取り決めで、学費の安い国公立大学に限定して受験。現役時代から2年連続してトライしたものの、わずかに届かず。しかし、池田さんの学習意欲は衰えない。

 「1年間アルバイトをして入学金と受験料を貯金し、安い学費で学べる大経大経営学部第2部に入学しました」(池田さん)

 飲食店チェーンなどで働きながら4年間通学し、まもなく卒業する。後輩たちに「経営学部第2部は学費が安く、講義も充実しているので推薦します。いろんな業界のことが学べる社会人学生ゼミには、ぜひ入った方がいいですね」と助言する。

 ふたりとも明確な信念を抱いて仕事と大学を両立させながらも、余分な力みを抜いて自然体を保つ。自分なりの暮らしの中で、どんな学びのスタイルが可能か。しっかり考えて選び取った道だからだろう。

@夜間教育の新たな可能性を切り開く

 社会全体で1日の活動時間が延びた今、昼間の通学に、必ずしもこだわらなくていい。アルバイトを通じて、早番勤務と遅番勤務を体験する若者文化も定着した。生活環境と学習目標のバランスを取りながら、夜間の大学に通うという選択肢があることを、現在の2部学生たちは証明しているようだ。

 必要に応じてアルバイトの遅番勤務を選ぶ感覚で、夜間教育を活用してもいいのでもないか。学生たちの意欲に応え、夜間教育の新しい可能性を広げるためにも、「夜学」や「苦学生」に代わる表現方法を見つけ出したい。詳しくは大阪経済大学の公式サイトで。

(文責・岡村雅之)

なんと2016年、財政再建は実質完了してしまう?

★「日本の借金1000兆円」はやっぱりウソでした~それどころか…なんと2016年、財政再建は実質完了してしまう!この国のバランスシートを徹底分析
***「現代ビジネス 2015年12月28日(月) 高橋洋一「ニュースの深層」」より転載

@鳥越俊太郎氏もダマされていた

先週2015年12月26日(土曜日)、大阪朝日放送の番組「正義のミカタ」に出た。大阪のニュース情報番組だが、東京とは違って、自由な面白さがある。そこで、「日本経済の諸悪の根源はZ」というコーナーをやった。Zとは財務省である。

その中で筆者が強調したのは「借金1000兆円のウソ」である。借金が1000兆円もあるので、増税しないと財政破綻になるという、ほとんどのマスコミが信じている財務省の言い分が正しくないと指摘したのだ。

借金1000兆円、国民一人当たりに直すと800万円になる。みなさん、こんな借金を自分の子や孫に背負わせていいのか。借金を返すためには増税が必要だ。……こんなセリフは誰でも聞いたことがあるだろう。財務省が1980年代の頃から、繰り返してきたものだ。

テレビ番組は時間も少ないので、簡単に話した。「借金1000兆円というが、政府内にある資産を考慮すれば500兆円。政府の関係会社も考慮して連結してみると200兆円になる。これは先進国と比較してもたいした数字ではない」

これに対して、番組内で、ゲストの鳥越俊太郎さんから、「資産といっても処分できないものばかりでしょう」と反論があった。それに対して、多くの資産は金融資産なので換金できる、といった。

筆者がこう言うのを財務省も知っているので、財務省は多くのテレビ関係者に対して、「資産は売れないものばかり」というレクをしている。鳥越さんも直接レクされたかがどうかは定かでないが、財務省の反論を言ってきたのには笑ってしまった。

番組が昼にかかり15分くらいの休憩があった。そのとき、鳥越さんから、「金融資産とは何ですか」と筆者に聞いてきた。「政策投資銀行(旧日本開発銀行)やUR都市機構(旧住都公団)などの特殊法人、独立行政法人に対する貸付金、出資金です」と答えた。それに対して「それらを回収したらどうなるの」とさらに聞かれたので、「民営化か廃止すれば回収ということになるが、それらへの天下りができなくなる」と答えた。

このやりとりを聞いていた他の出演者は、CM中のほうがためになる話が多いといっていた。実際に、番組中で言うつもりだったが、時間の都合でカットせざるを得なくなった部分だ。

借金1000兆円。これは二つの観点から間違っている。

@バランスシートの左側を見てみれば…

第一に、バランスシートの右側の負債しか言っていない。今から20年近く前に、財政投融資のALM(資産負債管理)を行うために、国のバランスシートを作る必要があった。当時、主計局から余計なことをするなと言われながらも、私は財政投融資が抱えていた巨額の金利リスクを解消するために、国のバランスシートを初めて作った。

財政が危ういという、当時の大蔵省の主張はウソだったことはすぐにわかった。ただし、現役の大蔵官僚であったので、対外的に言うことはなかった。

筆者の作った国のバランスシートは、大蔵省だからか「お蔵入り」になったが、世界の趨勢から、その5年くらい後から試案として、10年くらい後から正式版として、財務省も公表せざるを得なくなった。今年3月に、2013年度版国の財務書類が公表されている(http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2013/national/hy2013_gassan.pdf)。

その2013年度末の国のバランスシートを見ると、資産は総計653兆円。そのうち、現預金19兆円、有価証券129兆円、貸付金138兆円、出資66兆円、計352兆円が比較的換金可能な金融資産である。そのほかに、有形固定資産178兆円、運用寄託金105兆円、その他18兆円。

負債は1143兆円。その内訳は、公債856兆円、政府短期証券102兆円、借入金28兆円、これらがいわゆる国の借金で計976兆円。運用寄託金の見合い負債である公的年金預り金112兆円、その他45兆円。ネット国債(負債の総額から資産を引いた額。つまり、1143兆円-653兆円)は490兆円を占める。

先進国と比較して、日本政府のバランスシートの特徴を言えば、政府資産が巨額なことだ。政府資産額としては世界一である。政府資産の中身についても、比較的換金可能な金融資産の割合がきわめて大きいのが特徴的だ。

なお、貸付金や出資金の明細は、国の財務書類に詳しく記されているが、そこが各省の天下り先になっている。実は、財務省所管の貸付先は他省庁に比べて突出して多い。このため、財務省は各省庁の所管法人にも天下れるので、天下りの範囲は他省庁より広い。要するに、「カネを付けるから天下りもよろしく」ということだ。

@財政再建は、実は完了している?

第二の問題点は、政府内の子会社を連結していないことだ。筆者がバランスシートを作成した当時から、単体ベースと連結ベースのものを作っていた。現在も、2013年度版連結財務書類として公表されている(http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2013/national/hy2013_renketsu.pdf)。

それを見ると、ネット国債は451兆円となっている。単体ベースの490兆円よりは少なくなっている。

ただし、この連結ベースには大きな欠陥がある。日銀が含まれていないのだ。日銀への出資比率は5割を超え、様々な監督権限もあるので、まぎれもなく、日銀は政府の子会社である。

経済学でも、日銀と政府は「広い意味の政府」とまとめて一体のものとして分析している。これを統合政府というが、会計的な観点から言えば、日銀を連結対象としない理由はない。筆者は、日銀を連結対象から除いた理由は知らないが、連結対象として含めた場合のバランスシート作ることはできる。

2013年度末の日銀のバランスシートを見ると、資産は総計241兆円、そのうち国債が198兆円である。負債も241兆円で、そのうち発行銀行券87兆円、当座預金129兆円である。

そこで、日銀も含めた連結ベースでは、ネット国債は253兆円である(2014.3.31末)。

直近ではどうなるだろうか。直近の日銀の営業毎旬報告(https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2015/ac151220.htm/)を見ると、資産として国債328兆円、負債として日銀券96兆円、当座預金248兆円となっている。

直近の政府のバランスシートがわからないので、正確にはいえないが、あえて概数でいえば、日銀も含めた連結ベースのネット国債は150~200兆円程度であろう。そのまま行くと、近い将来には、ネット国債はゼロに近くなるだろう。それに加えて、市中の国債は少なく、資産の裏付けのあるものばかりになるので、ある意味で財政再建が完了したともいえるのだ。

ここで、「日銀券や当座預金も債務だ」という反論が出てくる。これはもちろん債務であるが、国債と比べてほぼ無利子である。しかも償還期限もない。この点は国債と違って、広い意味の政府の負担を考える際に重要である。

@滑稽すぎる 「日本の財政は破綻する」論

このようにバランスシートで見ると、日銀の量的緩和の意味がはっきりする。

政府と日銀の連結バランスシートを見ると、資産側は変化なし、負債側は国債減、日銀券(当座預金を含む)増となる。つまり、量的緩和は、政府と日銀を統合政府で見たとき、負債構成の変化であり、有利子の国債から無利子の日銀券への転換ということだ。

このため、毎年転換分の利子相当の差益が発生する(これをシニョレッジ〔通貨発行益〕という。毎年の差益を現在価値で合算すると量的緩和額になる)。

また、政府からの日銀への利払いはただちに納付金となるので、政府にとって日銀保有分の国債は債務でないのも同然になる。これで、連結ベースの国債額は減少するわけだ。

量的緩和が、政府と日銀の連結バランスシートにおける負債構成の変化で、シニョレッジを稼げるメリットがある。と同時にデメリットもある。それはシニョレッジを大きくすればするほど、インフレになるということだ。だから、デフレの時にはシニョレッジを増やせるが、インフレの時には限界がある。

その限界を決めるのがインフレ目標である。インフレ目標の範囲内であればデメリットはないが、超えるとデメリットになる。

幸いなことに、今のところ、デメリットはなく、実質的な国債が減少している状態だ。

こう考えてみると、財務省が借金1000兆円と言い、「だから消費増税が必要」と国民に迫るのは、前提が間違っているので暴力的な脅しでしかない。実質的に借金は150~200兆円程度、GDP比で30~40%程度だろう。

ちなみに、アメリカ、イギリスで、中央銀行と連結したネット国債をGDP比でみよう。アメリカで80%、65%、イギリスは80%、60%程度である。これを見ると、日本の財政問題が大変ですぐにでも破綻するという意見の滑稽さがわかるだろう。

以上は、バランスシートというストックから見た財政状況であるが、フローから見ても、日本の財政状況はそれほど心配することはないというデータもある。

本コラムの読者であれば、筆者が名目経済成長でプライマリー収支を改善でき、名目経済成長を高めるのはそれほど難しくない、財政再建には増税ではなく経済成長が必要と書いてきたことを覚えているだろう。

その実践として、小泉・第一安倍政権で、増税はしなかったが、プライマリー収支がほぼゼロとなって財政再建できた。これは、増税を主張する財務省にとって触れられたくない事実である。実際、マスコミは財務省の言いなりなので、この事実を指摘する人はまずいない。

さらに、来2016年度の国債発行計画を見ると、新規に市中に出回る国債はほぼなくなることがわかる。これは、財政再建ができた状況とほぼ同じ状況だ。こうした状態で、少しでも国債が市中に出たらどうなるのか。金融機関も一定量の国債投資が必要なので、出回った国債は瞬間蒸発する。つまり、とても国債暴落という状況にならないということだ。

何しろ市中に出回る国債がほとんどないので、「日本の財政が大変なので財政破綻、国債暴落」と言い続けてきた、デタラメな元ディーラー評論家(元というのは使い物にならなかった人たちということ)には厳しい年になるだろう。

@今の国債市場は「品不足」状態

2016年度の国債発行計画(http://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2016/gaiyou151224.pdf)を見ると、総発行額162.2兆円、その内訳は市中消化分152.2兆円、個人向け販売分2兆円、日銀乗換8兆円である。

余談だが、最後の日銀乗換は、多くの識者が禁じ手としている「日銀引受」である。筆者が役人時代、この国債発行計画を担当していたときにもあったし、今でもある。これは、日銀の保有長期国債の償還分40兆円程度(短国を含めれば80兆円程度)まで引受可能であるが、市中枠が減少するため、民間金融機関が国債を欲しいとして、日銀乗換分を少なめにしているはずだ。

要するに、今の国債市場は、国債の品不足なのだ。カレンダーベース市中発行額は147兆円であるが、短国25兆円を除くと、122兆円しかない。ここで、日銀の買いオペは新規80兆円、償還分40兆円なので、合計で120兆円。となると、市中消化分は、最終的にはほぼ日銀が買い尽くすことになる。

民間金融機関は、国債投資から貸付に向かわざるを得ない。これは日本経済にとっては望ましいことだ。と同時に、市中には実質的に国債が出回らないので、これは財政再建ができたのと同じ効果になる。日銀が国債を保有した場合、その利払いは直ちに政府の納付金となって財政負担なしになる。償還も乗換をすればいいので、償還負担もない。それが、政府と日銀を連結してみれば、国債はないに等しいというわけだ。

こういう状態で国債金利はどうなるだろうか。市中に出回れば瞬間蒸発状態で、国債暴落なんてあり得ない。なにしろ必ず日銀が買うのだから。

こうした見方から見れば、2016年度予算(http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2016/seifuan28/01.pdf)の国債費23.6兆円の計上には笑えてしまう。23.6兆円は、債務償還費13.7兆円、利払費9.9兆円に分けられる。

諸外国では減債基金は存在しない。借金するのに、その償還のために基金を設けてさらに借金するのは不合理だからだ。なので、先進国では債務償還費は計上しない。この分は、国債発行額を膨らせるだけで無意味となり、償還分は借換債を発行すればいいからだ。

利払費9.9兆円で、その積算金利は1.6%という。市中分がほぼなく国債は品不足なのに、そんなに高い金利になるはずない。実は、この高い積算金利は、予算の空積(架空計上)であり、年度の後半になると、そんなに金利が高くならないので、不用が出る。それを補正予算の財源にするのだ。

@マスコミはいつまで財務省のポチでいるのか

このような空積は過去から行われていたが、その分、国債発行額を膨らませるので、財政危機を煽りたい財務省にとって好都合なのだ。債務償還費と利払費の空積で、国債発行額は15兆円程度過大になっている。

こうしたからくりは、予算資料をもらって、それを記事にするので手一杯のマスコミには決してわからないだろうから、今コラムで書いておく。

いずれにしても、政府と日銀を連結したバランスシートというストック面、来年度の国債発行計画から見たフロー面で、ともに日本の財政は、財務省やそのポチになっているマスコミ・学者が言うほどには悪くないことがわかるだろう。

にもかかわらず、日本の財政は大変だ、財政再建が急務、それには増税というワンパターンの報道ばかりである。軽減税率のアメをもらったからといって、財務省のポチになるのはもうやめにしてほしい。

たかが10大予想、されど10大予想

★たかが10大予想、されど10大予想 --- 岡本 裕明
***「アゴラ 1月7日(木)19時5分配信記事」より転載

この時期はいわゆる10大予想花盛りです。当たる確率は6割程度とされるその中身もそれなりに考えられているものが多く一応、検証してみる価値はあろうかと思います。このブログのメインテーマである世界経済や国際関係、政治などをよくカバーしている二つの10大予想、ブラックストーン副会長のバイロン ウィーン氏とイアン ブレマー氏のユーラシアグループの予想をみてみましょう。

まず、ウィーン氏の10大予想はあまりにも有名ですが、当たる確率も比較的低い気がします。2015年予想もざっくり60点ぐらいでしょうか?この10大予想は当てるための予想というよりそんな見方もあるのだ、という切り口が面白いのだろうと思います。では2016年の氏の予想です。

1 アメリカ大統領選はヒラリー勝利。ちなみに共和党候補はクルーズ氏
2 アメリカ株式市場は世界情勢不安で現金志向が高まり下落へ 
3 FOMCの利上げは16年には1回のみで年後半には利下げ検討も
4 海外投資家もアメリカ投資持ち高を減少させ、ドル安でユーロは1.20ドルに
5 中国の成長率は5%以下へ、人民元は対ドルで7.0元に切り下げ
6 極右台頭でEUに再び崩壊の危機
7 原油は30ドル台低迷
8 ロシア、中国からの買の手が引き大都市高級不動産は急落  
9 アメリカ10年国債は2.5%以下(=安全志向が高まる)
10 世界経済はわずか2%成長に留まる。(IMFは3.6%成長を予想)

イアン ブレマー氏の2016年主要リスクは「同盟の空洞化」「閉ざされた欧州」「中国の影響力」「ISとテロ組織」「サウジアラビア」「IT関係者の政治力」「予想できない指導者」「ブラジル」「十分でない選挙」「トルコ」となっています。ブレマー氏が特定のエリアないし国家そのものにリスクを見て取っていることに注目すべきでしょう。また、この10大予想にロシアが入っていないことも特徴的だと思います。

この二つの著名予想を比べて共通項として言えるのはアメリカの孤立主義とそれに伴う世界への影響力の低下から世界がシュリンクしやすいという点でしょうか?また、欧州についてはブレマー氏がシェンゲン協定の危機を指摘し、ウィーン氏が極右台頭でEUの危機と指摘している共通点もあります。シェンゲン協定とはEU内なら国境検査なしに行き来できる協定ですが、欧州は既に一つの欧州を囲むそのボーダー管理が一元的でなく甘くなっているところがあることに懸念が出ています。具体的にはギリシャであります。

但し、ウィーン氏の予想に一部つじつまが合わないところがあります。それは氏の10大予想以外の起こりうる予想で日本について「アベノミクスが奏功、ドル円は130円に」とあります。これは10大予想でドル安ユーロ高を指摘しているのに対円だけドル高になるとみているようでこれはおかしいと思います。

いづれにせよ、あまり明るいニュースがなく保守的で安全が2016年のキーワードになりそうです。

ちなみに私がある雑誌に寄稿した今年の10大予想は権威も箔もありませんが、一応、さらっとご紹介します。(12月初旬に入稿したものです。)

「安倍政権、再び消費税問題でホットシートに」「為替と株価は市場に聞け」「米大統領選は史上最高のソープオペラ」「遠い世界平和」「あふれる石油と鉄鉱石」「日中韓は雪解けへ」「オリンピックどころではないブラジル」「カナダの不動産は今年も堅調」「若者の行動に変化」「テクノロジーの進歩に人間は退化」。

ちなみに記載内容の補足説明をするとカナダの不動産が堅調とみるのはカナダドル安でカナダ不動産が大バーゲンだからという意です。また日中韓の雪解けに関しては「慰安婦問題は政府レベルではなく市民レベル。これはそう簡単に解決しない」と記し、ブラジルについては「ルセフ大統領はオリンピック後に息切れ」としています。若者の行動変化とは「コンピューターの画面に飽きた若者がリアルの世界を見直す」というものです。

外れても悔しくないけど外したくもないこの予想、さて、どういう展開になるのでしょうか?

では今日はこのぐらいで。
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「あいりん地区」の“年の瀬”に迫る!

★期限切れのコンビニ弁当、トイレはマンホール…「あいりん地区」の“年の瀬”に迫る!
***「dot. 2015年12月31日(木)7時15分配信記事」とり転載

年の瀬も押し迫り、2015年も残すところ、あと1日となった。そんな大みそかの今日も厳しい生活を余儀なくされている大阪市西成区「あいりん地区」の様子を現地からレポートする。

 JR・南海各線「新今宮」駅西口出てすぐ、労働者たちが集う「あいりん労働福祉センター」横の路地を歩くこと約3分。路上に敷かれたビニールシートの上にコンビニ弁当や食パン、季節外れのクリスマスケーキがたくさん並べられている。

――弁当の路上販売ですか? おいくらで売ってるんですか?

 記者がこう問いかけると周囲にいた数人の労働者たちの殺気立った目が光った。そして、すぐさま彼らに取り囲まれた。

 コンビニ弁当が山のように積まれた軽トラック横にいた店主らしき男性は、彼らを制しながら、優しさのなかにも鋭さを併せ持つ口調でこう話してくれた。

「マスコミの人か? この現状を皆さんによう伝えてや。これはなコンビニで賞味期限が切れた商品を売ってるんや。弁当は1個100円や。サービスでコンビニのオニギリ、5個つけてる。ほんまならもう廃棄されている品や。それで命を繋いでいる人がここにいる人たちなんや」

 その時、ほとんど歯の欠けた70代くらいと思しき労働者が大声で記者に、「俺なんか、このカップめん20円で買うたんや! 2日飯食うとらんど」と叫びながら酒臭い息を漂させながら近寄って来る。

 これを店主が、「黙っとけ、お前。大事な話してるんや。記者さんにこそ聞いてもらわなあかん。お前らのためや!」と制する。

「ほんまはこういう路上販売は食品衛生法違反なのよ。俺かてほとんど儲けはあらへん。半分、ボランティアや。何度も警察から注意された。まあ、もし起訴されて裁判になっても、裁判官もアホやない。社会の現実はわかってはる。それなりの配慮はしてくれるやろ」

 店主がこう話している間も何人かの労働者がやって来た。賞味期限が過ぎた1個100円の弁当を70円に値切る者、とうに賞味期限が切れているケーキを200円にしてほしいと頼み込むする者もいた。

――仕入れはご主人がなさってるんですか? 賞味期限切れの商品を買い取られているんですか?

「ううん。ホームレスからの仕入れや。コンビニで廃棄された品を引き取ることを生業としてる奴やな。それを1個5円から10円で買い取ってここで売るのよ。西成界隈のコンビニではちょっと難しいから、大阪郊外を根城とするホームレスの仕事やな」

 トラックをみると大手コンビニエンスストアの堺市内の店舗名が記載された段ボールが山積みにされていた。店主によると堺市など大阪近郊で仕入れて、ここで販売するのだという。

「ほんまなら正月といえばお節とか、うまいもん食うてるはずやのに。それでもこの弁当が世間さんでいう“お節”という人もいるんや」

 その後、店主と別れ、あいりん地区のメインストリーム、「三角公園」に向かった。すると、住民らしき人約50人が公園内に設置されているテレビを見ている。その様子はまるで高度経済成長期、大勢でテレビをみている人さながらだ。

 三角公園前の路上では、2人組の男性が約20人の警察官に取り囲まれている。そのうちのひとりは、「ギャー、わぁー」と奇声を上げている。傍にいた警察官に何があったのか尋ねてみた。

「あぁ、ここではよくある喧嘩の類です。大勢で来ないとちょっと収拾つかなかったので……」

 平然とこう応える警察官に、長年この町に住みついているのだろうという風が見て取れる50代と思われる男性が声をかける。

「今、東成かどっかで刑事課長しているあいつ元気しとう? 俺、あいつとここでは同期やねん」

「ああ、そうなん? 元気やで。あのひと西成署、長かったね」

「西成署で3年もおったらどこの署でも勤まるやろ?」

「そう言われてますね……」

 まるで住民が警察官を育てているといった物言いだ。警察官に声かけした男性が家路につくという。彼と目が合った記者は、町を案内してもらいながら、彼の住む家までついていくことにした。

 その家は、地元では「センター」と呼ばれる冒頭部で紹介した「あいりん福祉労働福祉センター」近くにある、いわゆる“福祉アパート”だった。敷金・礼金なし。家賃は月額3万9千円。Wi-Fiなどのインターネット設備が完備されている。この町では相場通りの家賃だそうだ。

「もっと安いところやったら月額3万5千円くらいやな。そういうとこはネットの設備がないねん。ドヤ、木賃宿なら1日800円、1週間で4000円のところもあるけどいつも満杯や」

 関西の中堅私大を卒業、法学部だったという彼は、「生活保護を受けて10年以上になる。一度、保護を受けると働く気がなくなった」と自らの心境を吐露した。

 だが、彼のように「帰る場所」や「寝る場所」がある人はいい。行政の庇護に頼らず生活保護を受給することを是とせず、自力で頑張っている人たちは寒空の下で布団や段ボールを敷き野宿を余儀なくされている。夜になると気温は3度くらいにまで冷え込むという。

 自前のストーブを持っていたり、登山用の寝袋がある者はまだ恵まれている。しかし、寒さを凌ぐための段ボールの調達すらできない者は「センター」横で布団を敷くだけだ。

「段ボールの囲いをして寝ていい人、いけない人が暗黙のうちにこの町では決まってるんや。それを知らんかったら布団も服も仕事道具を取られても文句はいえん」

 今年65歳になるという元日雇い労働者のホームレスは、この町のモラルはもちろん法も通用しない善悪を超越した秩序をこう述べた。記者を大阪市職員と勘違いしたこのホームレス男性が語気を荒げた。

「お前ところの市長か。吉村に言うとけ! (元首相の)菅直人は俺らのところまで足を運んでくれたぞ。一度、あいりんに来てみ。なんで60歳超えて野宿して寒いなか“立ちション”せなあかんねん。マンホールをトイレ替わりにする市民の現実を見晒せ!」

 実のところ、あいりん地区では年末年始、トイレの問題が深刻になっている。ホームレスたちが集う「あいりん福祉労働センター」が休みに入っていることから公衆トイレの使用を余儀なくされる。

 だが、公衆トイレは三角公園近くのそれと、公園に設置された3か所しかないという。数多くのホームレスが寝泊まりする同センターから歩いていくには5分から10分程度かかる。そのため、マンホールや公園フェンスの一角をトイレ替わりに使用しているというのだ。

「あのマンホールは“小”用、あっちのマンホールは“大”や。寒いなか、真夜中に尻出しての排せつするんや。70歳超えたおじいちゃんなんかトイレまで持たず失禁することもしばしばやで」

 真夏に記者があいりん地区に訪れた際とは異なり、年末年始のここはアンモニア臭が鼻にこびりつき、何時間たってもそれは取れる気配がない。

 これが厳しい状況にある「あいりん地区」の現状を思い起こさせる。社会全体が機能しない年末年始だからこそ垣間見えた「西成」の現実がそこにはあった。

(フリーランス・ライター・秋山謙一郎)

2015 映画トップ10

★2015映画トップ10

新年、あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしく!

新年早々ではありますが、去年の映画トップ10を選んでみます。



【A】セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター(ヴィム・ベンダース+J・L・サルガド監督)

B、この国の空(荒井晴彦監督)
C、野火(塚本晋也監督)
D、イミテーションゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(モルテン・ティルドゥム監督)
E、アメリカンスナイパー(クリント・イーストウッド監督)
F、クーデター(ジョン・エリック・ドゥードル 監督)
G、アリスのままで(リチャード・グラッツァー + ウォッシュ・ウェストモアランド監督)
H、海街diary(是枝裕和監督) 
I、ピースオブケイク(田口トモロヲ監督) 
J、百円の恋( 武正晴監督) 

B~Jまで順不同。「恋人たち」「バクマン。」は未見です。



@2015最優秀男優賞:綾部剛(I他に「新宿スワン」)

@2015最優秀女優賞:多部未華子(I他に「深夜食堂」)/安藤サクラ(J)

@2015新人女優賞:広瀬すず(H)

@2015最優秀監督賞:ヴィム・ベンダース/荒井晴彦

@2015新人監督賞:モルテン・ティルドゥム



@2015の圧倒的な1本:セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター

写真家セバスチャン・サルガドの生い立ちから学生時代、家族のこと、経済学者としての仕事を捨てて写真の世界に飛び込んだ経緯、模索しながらも撮るべき被写体に接近していく様子などが、本人や父、妻へのインタビュー、また息子やベンダース監督自身のコメントも織り交ぜて淡々と時系列に沿って展開する。飢餓や内戦等による「悲愁に満ちた人々」の報道写真を撮り続け、サルガドは精神を犯されていく。この現実から目を背けてはいけないという「意識」とどうしようもない「絶望」との相剋。

故郷のブラジルに戻り、妻レリアの助言により、荒れ果てた実家の農場に植林を始め、元通り以上の森林を復活させます。その広大な土地を環境保護地区として祖国に提供し、インスティテュート・テラという環境保護団体も設立、これにより環境活動家としても有名になります。同時に、森羅万象の自然と対峙するGenesisプロジェクトという撮影を再開し、写真家としての『復活』と自身の『再生』も遂げることになる。

原題は「The solt of the earth (地の塩)」。同じタイトルで旧作のドキュメンタリーがあるが、この題名の方がしっくり来る。
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