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川内原発停止要求 住民の不安を受け止めるべき

@川内原発停止要求 民意背負う知事に応じよ

琉球新報 <社説> 2016年8月30日 06:01

http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-346703.html

 稼働中の原発の一時停止を知事が求めたのは初めてだ。住民の命、安全を最優先する立場からの要請は当然の行動であり、支持したい。

 鹿児島県の三反園訓(みたぞのさとし)知事が、稼働中の九州電力川内原発1、2号機の一時停止と再点検、周辺の活断層調査などを九州電力の瓜生(うりゅう)道明社長に要請した。

 一時停止は7月に初当選した三反園知事の公約だ。4月に起きた震度7級の熊本地震を受け、原発を抱える不安を募らせた県民の多くの支持を得て、原発推進の前知事を破った。

 立地県の民意を背負う知事が、電力会社に原発停止を直接要請した意義は大きい。

 「安全神話」が崩れた福島第1原発事故を受け、原発の存在に不安を抱くのは鹿児島県民だけではない。三反園知事の行動を多くの国民が注視している。

 九電と政府は要請を真摯に受け止めて一時停止を決断し、安全性の再点検に臨むべきだ。知事に原発を止める権限はないという高飛車な態度で、要請を過小評価することがあってはならない。

 国が定めた原子力災害対策指針は、重大事故時、原発5キロ圏の住民は即時避難し、5~30キロ圏はまず屋内退避することになっている。

 だが、熊本地震発生後、多数の住宅が崩れたり、道路が寸断されたりしたため、全国の原発周辺住民には円滑な避難ができるのかという不安が高まっている。

 三反園知事は「原発への県民の不安を払拭したい」として、熊本地震の影響を考慮した上で設備全般を点検し、異常がないか再確認するよう求めた。知事は、原発事故を想定した避難計画に不備があるとして見直す意向も示している。

 九電は「熊本地震後に安全性について問題はないと確認した」と主張している。原子力規制委の田中俊一委員長は「われわれがきちんと審査してきた原発の何を点検するのか」と、冷や水を浴びせた。

 政府と規制委、九電が気脈を通わせる中、九電が一時停止するかについては否定的な見方が強い。

 川内原発1号機は10月、2号機は12月に約2カ月間の定期検査に入り、運転を停止するが、検査終了後の運転再開時には地元の同意を得ることが慣例化している。知事は安全性に疑念が残るなら、同意を拒めばいい。九電は、原発稼働には地元の理解が不可欠であることを再認識せねばならない。

*****

@川内原発停止要請、九電は不安を受け止めよ

佐賀新聞 論説 2016年08月30日 11時09分

http://www.saga-s.co.jp/column/ronsetsu/350355

 鹿児島県の三反園訓(みたぞのさとし)知事が、九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)を直ちに停止させて特別点検するよう、九電に要請した。

 特別点検に加えて三反園知事は、原発周辺の活断層の調査や、原発事故時の避難計画に対する支援強化なども求めている。原発を止める法的な権限がないにもかかわらず、知事が停止要請に踏み切った背景には、熊本地震で県民の不安が高まっているという切実な事情がある。

 震度7クラスが連発した熊本地震は、これまでの常識を根底から覆した。従来考えられていた「本震-余震」のパターンが崩れ、最初の地震よりも大きな揺れが襲う「前震-本震」型。しかも、群発する過程では震源が東へ西へと大きく広がりもした。

 川内原発は大丈夫なのか、住民の間に不安が広がったのも当然だろう。7月の知事選で三反園氏は、原発停止を掲げて選挙戦を戦い、再稼働を容認した現職に大きな票差をつけて破った。ここに、民意が示されたと言っていい。

 熊本地震で浮き彫りになったのは、土砂災害が起きれば、住民の移動が極めて難しくなるという現実だ。複合災害に見舞われたときに、現在の避難計画が本当に機能するのか疑わしい。三反園知事は当選後、川内原発周辺を視察して住民の避難経路などを確認し、前知事時代に作られた避難計画を見直す考えも表明している。

 今回の知事の要請を受けて九電は、来月初旬にも対応を回答するようだが、民意をないがしろにしないよう強く求めたい。

 九電の瓜生(うりゅう)道明社長はこれまで、「地震後(非常時の)緊急停止や冷却機能が保たれていることなどを確認した」と述べ、問題はないという認識を示してきた。だが、熊本地震で危ぶまれているのは、今回の地震による直接の被害だけではないはずだ。

 これまでの九電の対応を振り返ると、原発事故が起きた場合に拠点になる緊急時対策所の取り扱いひとつとっても、当初は「免震」構造で造るとしていたが、曲折の末、「耐震」構造へと転換した。免震と耐震では建物内の機器の安全性は格段に違うはずだが、実績がないという理由だけで安全対策を後退させてしまった。

 こうした九電の対応ぶりもまた、住民の不安をかきたてた要因ではないか。

 東日本大震災で起きた東京電力福島第1原発の事故を受けて、日本の原発規制は大きく変わったはずだった。中でも、新たに明らかになった知見を積極的に反映させていく「バックフィット」という考え方を取り入れたのは、事故をふたたび起こさないという覚悟の表れではなかったか。

 だが、熊本地震で得られた知見を取り入れて、規制委がこれまでの規制の在り方を見直す気配はない。田中俊一委員長は、三反園知事の発言を「何を点検するのか理解できない」と突き放しもした。

 川内原発は今後、1号機が10月、2号機が12月に定期点検を予定している。今回の即時停止要請に応じる代わりに、単に定期点検の時期を前倒しするような対応ではまったく意味がない。住民の不安を払しょくするために何ができるのか、再点検の中身そのものが問われると指摘しておきたい。
(古賀史生)

*****

@川内再点検要請 不安の声にも耳を傾けよ

西日本新聞 社説 2016年08月30日 10時53分

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/270850

 鹿児島県の三反園訓(みたぞのさとし)知事が、同県薩摩川内市の川内原子力発電所を一時停止して安全性を再点検するよう、九州電力に申し入れた。

 三反園知事は先月の知事選で「熊本地震の発生を受け、住民の不安が高まっている。川内原発を一時停止して安全性を再点検すべきだ」と訴え、再稼働を容認していた現職を破って初当選した。

 知事に原発を停止する法的権限はないが、政府は原発再稼働に当たり地元の理解を得て進める方針を示している。

 地元合意を抜きにして原発を動かすことは事実上できないはずだ。県民を代表する立場の知事が要請した事実は重い。九電は、9月初旬までに回答をまとめる方針という。真摯(しんし)な対応を求めたい。

 熊本地震で観測された九州・中四国4原発の揺れは原子炉自動停止の設定値を大幅に下回り、異常がないことが確認された。

 原子力規制委員会の田中俊一委員長は「安全上の理由があれば止めなければならないが、今の状況で問題があるとは判断していない」として川内原発を停止させる可能性を否定している。

 ただ、熊本地震後は川内原発に近い熊本県南西部でも地震が一時活発化した。関連性を不安視する地元住民の声は根強い。「そもそも規制委の審査は不十分。知られていない断層は数多くある」と指摘する地質学の専門家もいる。

 申し入れには、周辺活断層の再検証に加え、避難計画の見直しという重要な課題も盛り込まれた。

 今月19日には三反園知事自ら原発が立地する薩摩川内市などを視察し、事故が起きた際の住民の避難対策などを確認している。

 熊本地震では道路の寸断が多発しており、周辺住民の不安や懸念が高まっているのも事実である。

 再稼働した関西電力の高浜原発3、4号機(福井県高浜町)は新規制基準や避難計画などに疑問が残るとして司法判断で運転が差し止められている。九電は知事の要請を地元の民意と重く受け止め、熊本地震を機に改めて広がった原発への不安に耳を傾けるべきだ。

*****

@川内原発の停止要請/県知事の発言は極めて重い

河北新報 社説 2016年08月30日火曜日

http://www.kahoku.co.jp/editorial/20160830_01.html

 原子力施設の建設や運転に対して「地元」の理解が必須なるのは当然のこと。

 この場合の地元とは普通、原発などが立地する市町村と県を指している。電力会社と結ぶ安全協定の当事者になっているからだ。

 昨年8月に再稼働した川内原発(鹿児島県薩摩川内市)を巡って三反園(みたぞの)訓(さとし)・鹿児島県知事が先週、一時停止を九州電力に要請した。

 原子炉の安全確認などを求めているほか、事故時の避難計画を問題視している。法的な権限がない知事が運転中の原発の停止を求めるのは異例中の異例だが、九電は重く受け止めなければならない。

 説明を尽くしてもなお三反園知事の納得を得られないようなら、停止の要望を真剣に検討していくべきだ。県と真っ向から対立しながら原発を運転するのは、それこそ異常極まりない事態になる。

 三反園知事は7月の知事選で初当選したばかり。選挙では「川内原発の停止」を訴えていた。

 福島第1原発事故後の新規制基準によって、国内で初めて再稼働したのが川内原発。昨年8月に1号機、10月に2号機が運転を再開した。

 だが、今年4月の熊本地震によって安全性を心配する声が強まったいきさつがある。三反園知事も今回、熊本地震後の県民の不安の声を理由の一つに挙げている。

 川内原発はそもそも、火山災害の危険性が指摘されてきた。桜島や霧島などがある南九州は火山活動が極めて活発な地域だからだ。当然、地震の危険性も伴う。隣県の地震災害に敏感に反応するのは自然の成り行きだ。

 停止要請に先立ち、原発30キロ圏内を視察した三反園知事は避難計画を見直す考えも示した。もし計画を大幅に改めるのであれば、原発は停止してから作業に入るのが県民に対する責任だろう。

 重大事故や緊急事態の際の避難計画についても、川内原発は再稼働前から多くの問題点が指摘されていた。避難ルートや避難先などが不透明なまま、地元が再稼働に同意したいきさつがある。

 例えば緊急時対応として、ケースによっては自宅にとどまる「屋内退避」が盛り込まれているが、全く無意味ではないか。福島第1原発事故でも一部の地域が屋内退避になったが、物資不足で生活維持が困難を極めた。

 福島の事故を教訓にすれば屋内退避は問題がありすぎるのは明らかだ。

 運転中の原発が停止された例としては2011年5月の浜岡原発(静岡県御前崎市)がある。南海トラフの巨大地震の影響を心配した菅直人首相(当時)が「予防的措置」として中部電力に求めた。

 もし川内原発が停止になれば福島第1原発事故後、2例目になる。1号機は10月、2号機は12月に定期検査に入るため、2カ月程度は停止することになるが、定検後の運転再開については地元の同意が必要だろう。

 その際に三反園知事がどう判断するかはまだ分からないが、九電はいずれにしても知事の意見に対して誠実に向き合っていくべきだ。

*****

@原発停止要請  住民の不安受け止めよ

京都新聞 2016年08月29日

http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20160829_3.html

 鹿児島県の三反園訓知事が九州電力に対し、川内原発(薩摩川内市)を直ちに一時停止し、施設の安全性を点検、検証するよう要請した。稼働している原発の停止を知事が求めるのは初めてだ。

 三反園氏は7月の知事選で、脱原発や川内原発の一時停止を公約として掲げ、再稼働を容認した前知事を破って初当選した。要請は原発に対する県民の不安を反映したもので、九電は重く受け止めなければならない。

 異例の要請の背景には、隣の熊本県で震度7を2回観測した4月の熊本地震がある。

 国の原子力災害対策指針では重大事故時、原発5キロ圏の住民は即時避難し、5~30キロ圏はまず屋内退避することになっている。熊本地震では多くの住宅が損壊し、道路も打撃を受けたため、地域住民の避難や退避に対する不安が高まった。

 三反園氏は九電に対し、熊本地震の影響を考慮した上で施設や設備全般を点検し、異常がないことを確認するよう求めた。さらに、川内原発周辺の活断層の調査や自治体の避難計画に対する支援の強化、地震などの災害発生時や原発で事故が起こった際に包み隠さず正確な情報を発信することを申し入れた。

 いずれも、住民の安全確保に責任を負う知事として当然の要求といえる。

 これに対し、九電は「要請内容を確認して検討を進める」としつつも、「熊本地震後に安全性について問題はないと確認した」と主張している。9月初旬をめどに回答をまとめる方針だが、一時停止が実現するかどうかは見通せない状況だ。

 しかし、稼働中の川内1号機は10月6日、2号機は12月16日にそれぞれ定期検査に入り、2カ月程度にわたって運転を停止する予定だ。知事に原発を止める法的権限はないが、検査終了後の運転再開時には地元同意を得ることが慣例となっている。

 運転再開を認めるかについて三反園氏は「九電が要請に対し、どういう対応を取るかによって総合的に判断したい」としている。原発の安全性に疑問が残るようなら、難航する可能性もある。

 九電は定期検査入りを待たず、要請に基づいて速やかに安全点検を行い、住民が納得するだけの対応策を示すべきだろう。地元の理解がなければ原発を動かすことはできない、という原則を改めて肝に銘じる必要がある。
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NHK「貧困女子高生」報道へのバッシングが覆い隠した問題点


★NHK「貧困女子高生」報道へのバッシングは、問題の恐るべき本質を覆い隠した
***「BuzzFeed Japan 8月28日(日)11時0分配信記事」より転載

NHKがニュース番組で紹介した女子高校生に、ネット上で批判が殺到した。NHKは「貧困女子高生」と報じたが「生活に余裕がある」「捏造」という内容だ。

片山さつき・参議院議員も報道に疑問を呈したことで、事態はさらに炎上した。

バッシングは、本来、NHKが伝えようとした「子どもの貧困」の問題を覆い隠した。なぜ、このようなことが起きたのか。そして、問題の本質とは。

@「経済的に困難な女子高生」への批判

家計が苦しいために、パソコンを購入することはできない。だから、キーボードだけ買って、タイピングの練習をする。進学だって、諦めざるを得ない。

今回、NHKのニュース7(8月18日放送)で取り上げられたのは、母親と二人暮らしをする、神奈川県内の女子高生だ。

「経済的な壁に直面」しているとして紹介されていた彼女。しかし、その部屋のなかに、アニメグッズやイラスト用のペン、エアコンのようなものが映り込んでいたことから、ネット上で「貧しくない」という批判が渦巻いた。

その後、生徒のツイッターアカウントが「発見」されると、炎上は拡大。「アーティストのライブに行っている」「1千円以上のランチを食べている」などと、生活のあらゆる側面がバッシングの対象となった。

この炎上騒動に加わったのが、自民党の片山さつき参院議員。番組放送後、ネット上で批判が拡散すると、こうツイートした。

”拝見した限り自宅の暮らし向きはつましい御様子ではありましたが、チケットやグッズ、ランチ節約すれば中古のパソコンは十分買えるでしょうからあれっと思い方も当然いらっしゃるでしょう。経済的理由で進学できないなら奨学金等各種政策で支援可能!”

片山議員はNHKに説明を求め、3日後にその回答を掲載している。

”本日NHKから、18日7時のニュース子どもの貧困関連報道について説明をお聞きしました。NHKの公表ご了解の点は「本件を貧困の典型例として取り上げたのではなく、経済的理由で進学を諦めなくてはいけないということを女子高生本人が実名と顔を出して語ったことが伝えたかった。」だそうです“

@「相対的貧困」への無理解

そもそも今回、NHKが取り上げたのは、「相対的貧困」に苦しむ子ども達の問題を同世代の高校生や教員に発信するために、神奈川県が主催したイベント。女子高生は、そこに参加していた当事者2人のうちの一人だった。

「相対的貧困」とは、その社会において、平均的な暮らしを送ることができていないことを指す。たとえば戦争で焼け出された難民のように、食べるものや着るものに困窮している「絶対的貧困」とは違う。

病院に行けない、進学ができない、満足な学習を受けられない、友達と遊びに行けないーー。貧困状態にない人が当たり前に送っている、そんな生活が難しい人たちだ。
「絶対的貧困」と比べれば、生活の苦しさは伝わりづらい。そうした見えづらい問題を、当事者の高校生自身が伝えるのがイベントの趣旨だった。

神奈川県子ども家庭課の小島厚課長は、BuzzFeed Newsの取材にこう語る。

「子どもたちはスマートフォンだって持っているし、着るものもある。食べられなくて飢餓状態にあるわけではない。それでも修学旅行にいけなかったり、大学にいけなかったりして、将来を諦めている。そうした見えにくい貧困の現状を伝えるためのイベントでした」

「高校生の生の声を広げる機会と思っていましたし、イベント自体は大成功でした。バッシングには正直びっくりしましたし、ショックです。『見た目が変わらないから、貧困じゃない』と、問題そのものが理解されず、現実も伝わらなかった。相対的貧困が社会に理解されていないことが露呈した」

当事者の女子高生は大きなショックを受けているという。小島課長は、こう訴える。「顔を出して勇気を振り絞ってくれた彼女の個人攻撃をするのは、本当に辞めてほしい。

@6人に1人の子どもが貧困

日本の子ども貧困率は、想像以上に深刻だ。所得の中央値の半分(貧困ライン)を下回っている「相対的貧困」の家庭にいる子どもは、実に6人に1人、約325万人いるとされている。

内閣府の子ども・若者白書(2015年版)によると、子どもの「相対的貧困率」は、1990年代半ばごろから上昇傾向にある。2012年は、16.3%と過去最悪を更新。1人親世帯に限ってみれば、54.6%と先進国でも最悪水準だ。

経済的理由により学校に通えないため、「就学援助」を受ける小・中学生は約155万人(2012年度)。率でみれば、過去最高の15.64%となっている。

「そういう家庭の所得を計算してみると、子ども1人の一人親家庭で月に14万円代。夫婦と子ども2人だと、20万円代です。そんな人たちが6人に1人いるという現実があるんです」

そうBuzzFeed Newsの取材に説明するのは、子どもの貧困問題に長年取り組み、「子どもの最貧国・日本」などの著書がある山野良一・名寄市立大教授だ。

「さらに、貧困ライン未満の人の所得の中央値を出すと、月々の所得は10万円とか15万円になる。つまり、12人に1人がそれ未満で暮らしている。東京で家族4人が15万円で暮らすことが、果たしてできるでしょうか」

この金額からは税金が差し引かれているが、児童手当や扶養手当は含まれるという。いかに生活に困窮しているのかが、よくわかる。

このような家庭の子どもたちは、病院に行く、塾に通う、友達と遊びや修学旅行を楽しむなどの「当たり前」な暮らしが送れていない。「ワーキングプア」である保護者は、長時間労働ゆえに子どもとの時間が作れない。

そのため、子どもの学力や健康状態、発達状態に悪影響が及ぶケースが多い。

「貧困とはまさに、(NHKが取り上げた)彼女のような状態のこと。お金はなくて、自分が希望する進路が選べない。本当に必要なパソコンなどが買えない。ごく普通の平均的な家族ができることを、できないことなんです」

では、なぜ相対的貧困の子どもたちは「可視化」されにくいのか。

「親が貧困であることを周りに隠してしまう。無理をしてでも、子どもにはいい服を着せようとか、おいしいご飯を食べさせようとか。今回の女子高生のケースでも、本人には、できる限り周囲と見劣りしない生活をさせて、母親が我慢しているということだってありうる」

「そうすると“普通”に見えてしまいますよね。いろいろなものが安く手に入るようになった今、確かに昔の『食うや食わずや』みたいな、冷蔵庫も持たないみたいな人はすごく減っている。一見貧困かどうかも、わからなくなってきているのです」

@許されない「当たり前」の生活

では、炎上が拡大した理由はどこにあるのか。山野教授は、いまの日本社会が「貧困の人たちは当たり前のことができなくても仕方ない、と思う社会」になっていると、指摘する。

「親が貧困だとなんでお前は進学するんだ、と。それはおかしいですよね。子どもと親は切り離して考えてあげなきゃいけない。どんな親に生まれるなんて誰も選べない。子どもは所得をつくれないし、両親に依存をしなければならない」

「経済的に大変な家に生まれていたって、友達との付き合いや趣味を楽しむこともある。美味しいご飯だって食べたいし、ディズニーランドに行くことだってあるでしょう。それは全然普通のことですよね。貧困家庭の人たちは、普通の暮らしをしてはいけないんでしょうか」

こうした批判は、社会全体に広がる「自己責任論」に依拠しているとも分析する。

「貧困は自己責任だから、真面目にやっていないとか、怠けてばっかりいるとという風潮になっている。これはもはや、弱いものいじめですよね。なんらかの理由で努力をできない人たちが貧困になっている。だから、叩くという論理です」

「それに対し、子どもたちは反論できない。そもそも声をあげられないわけで、反論できるわけはないですよね。そういうところを突いて、追い込められればいいと思っているのではないでしょうか」

そんな「いじめ」に乗じた片山さつき議員の振る舞いにも、「政治家が本来すべきことはバッシングでない」と、苦言を呈した。

「政治家がすべきなのは、いまの子どもをめぐる制度を変えるためにエネルギーを注ぎ、社会合意を形成することのはず。これでは、女子高生のようにようやく勇気を出して声をあげた若者たちが、また、声を出しにくくなってしまう。ネット上だけではなく、学校などでいじめを生み出すきっかけを作ってしまう可能性すらあります」
.
@日本社会に欠けている視点

山野教授は、「どういう家に生まれたかによって、その子の将来が変わり、学力などにも差が出てしまう社会」を、変えなければならないと強調する。

「子どもを平等にするということは、彼らが将来、納税者になって社会を豊かにしてくれるということを意味しています」

「貧困家庭の子どもたちがそのまま大人になると、税金や年金代が払えなくなったり、医療費や生活保護費がかさんだりする可能性もある。つまり、社会的なコストをもっと生み出してしまうことになります。社会全体にとっても、子どもの貧困を放置することはお得ではない」

日本は、子育て支援に使う予算が、GDP比率で1.0%(2009年)、教育予算が3.5%(2012年)と、いずれも先進国でも最低だ。高齢者に使う予算は10%と、その差は歴然としている。

「貧困とは、努力が報われないこと。生まれたときから、機会が平等でないこと。どんな家に生まれても、努力するための基礎がある、スタート地点には平等に立てる社会を目指すために、子どもの平等を社会全体で考えること。いまの日本には、その視点が欠けていると思うのです」

【BuzzFeed Japan / 籏智広太】
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