FC2ブログ

原発と巨大噴火リスク(コピペ)

★原発と巨大噴火リスク 

●規制委に専門部会を

火山の巨大噴火による原発事故のリスクを全国の火山学者がどのように考えているかのアンケート結果を昨年12月23日朝刊で報じた。原子力規制委員会による安全審査が進む九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)に対する懸念が最も高く、北海道電力泊原発(北海道)などが続いた。原発への自然災害リスクはとかく地震や津波に注目が集まりがちだが、声を大にして言いたい。「巨大噴火はもっと恐ろしい」と。

@過去に九州壊滅、桁外れの破壊力

 「川内と泊の周囲には火砕流(かさいりゅう)堆積(たいせき)物がたくさんあるよ」

 親しい火山学者がこう教えてくれたのは10年ほど前。当時私は長崎県の島原通信部勤務。1990年に始まった長崎県雲仙・普賢岳噴火災害の取材を通して地震や火山について学んでいた。

 火砕流は、高温の溶岩や火山灰などが混然一体となって高速で広がる。火山災害で最も恐ろしい現象の一つだ。91年の普賢岳の火砕流では毎日新聞カメラマンを含む43人が亡くなった。動画サイト「ユーチューブ」で「火砕流」と入力して検索すれば当時の映像を見ることができる。

 だが、火山学的に言えば雲仙の火砕流は小規模。巨大噴火による火砕流は桁外れだ。

 巨大噴火は国内では約6000〜1万年に1回起きている。数十〜百数十キロ圏を火砕流で埋め尽くし、直径10キロを超えるようなカルデラ(陥没地形)を形成し、火山灰が日本列島全体、あるいは地球規模で広がるような噴火だ。

 例えば約9万年前の阿蘇の巨大火砕流。九州の中北部を焼き尽くしたばかりか、一部は海を越えて山口や愛媛まで達した。2・6万〜2・9万年前の鹿児島・姶良(あいら)の巨大火砕流では南九州が壊滅した。こうした巨大噴火は特に九州と北海道に多い。

 現代日本で巨大噴火が発生し、原発が火砕流に巻き込まれたらどうなるだろう。高温の火山灰に原発と周辺が埋まり、長期間制御不能になる。放射性物質が漏れても近づくことができない。国家そのものの存続すら危ぶまれる。

 荒唐無稽(むけい)な絵空事だろうか。国内で最後に起きた巨大噴火は約7300年前の鹿児島県での事例。平均発生間隔からすれば、今後いつ起きてもおかしくない。福島第1原発事故は「1000年に1回」級の地震と津波が重なったために起きた。単純計算だが、その6分の1から10分の1の発生確率は無視できるほど小さいだろうか。

@火山国・日本、厳格審査目指せ

 私は2011年10月から鹿児島県政を担当している。この2年あまり、川内原発再稼働は県政の中心課題だった。

 頭の中には常に、原発の巨大噴火リスクがあった。だから、新規制基準に巨大噴火に関する項目が盛り込まれた時は素直に喜んだ。だが実際に安全審査が始まると失望に変わった。地震に関しては「ここまでやるのか」と思うほど徹底しているのに、国内の原発で最も多くのカルデラ=巨大噴火の痕跡に囲まれている川内原発への巨大噴火リスクに関しては、ただ一回の会合で「周辺の火山が噴火しても原発に影響はない」とする九電の報告を了承したからだ。

 仕方ない面はある。規制委でこの分野を担う島崎邦彦委員長代理は火山ではなく地震の専門家。何より地球と人間の時間軸があまりに違う。原発稼働期間の数十年など地球にとっては一瞬。その間に巨大噴火があるかどうか判定できるほど、科学は発達していない。

 アンケートを実施したのは、全国の学者に個別の原発についてのリスクを尋ね、その数を集計すれば参考指標になると考えたからだ。設問への回答に加え、記述欄に貴重な意見が多く寄せられた。次のグループに分類できる。

 (1)「原発の稼働期間中に巨大噴火はない」と見切る(2)「可能性は小さいがゼロではない」との慎重派(3)特定の原発を挙げ「許容できないリスクがある」と指摘する(4)「リスクと利益を比較し社会全体で議論して決断すべきだ」と科学の限界を認めつつ社会的・政治的判断を求める。私は(4)の立場だ。専門家の間でもこれだけ意見の開きがあるのだ。規制委は結論を急ぐべきではない。

 今からでも遅くない。規制委の中に、国内外の火山学者を集めて専門部会を作り、巨大噴火リスクを原発ごとに掘り下げて議論し公開すべきだ。「看過できないリスクがある」原発があれば、再稼働を認めないことも含めて検討する。それこそが、火山国・日本がなすべき「世界に誇れる安全審査」だ。

*****「毎日新聞 2014年01月22日 東京朝刊:記者の目=山崎太郎(鹿児島支局)」より転載
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

としとんどん

Author:としとんどん
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード