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「関西電力」が「40年超老朽原発」運転延長へ

★「関西電力」が「40年超老朽原発」運転延長へ経産省はなぜこの暴挙を止めないのか
***「現代ビジネス 11月18日(火)6時2分配信」より転載

東日本大震災以降2度目となる衆議院の解散・総選挙の年内実施が既定路線になる中で、すっかり注目されなくなった争点がある。東京電力の福島第一原子力発電所で未曾有の事故が起きた原子力発電の問題だ。
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@「脱原発依存」を遅らせる行為

 エネルギーの安定供給の観点から見れば、すべての原発をいきなり廃炉にするのは乱暴だ。その意味では、ようやく九州電力の川内原発に再稼働のメドがついたことは評価できる。

 しかし、その一方で、関西電力は今、間もなく運転開始から40年(設計上の耐用年数)を迎える高浜原発1、2号機の運転再開に強い意欲をみせている。この動きは、震災後のいくつかの選挙で一定のコンセンサスを得たはずだった“脱原発依存”を実現するまでに必要な時間を20年引き延ばす行為に他ならない。

 選挙上手の自民・公明両連立与党は、今回も原発を含むエネルギー問題を争点にしない注意深さをみせているが、われわれ国民はそうした連立与党の戦略を黙認してよいのだろうか。

 新聞各紙が年内の衆議院の解散・総選挙ムードの高まりを報じ続けていた先週木曜日(11月13日)、日本経済新聞は朝刊1面トップで、『原発40年超え運転』の大見出しを付けて「関西電力は運転開始から39年以上たつ高浜原子力発電所1、2号機(福井県)の運転を20年程度延ばす方針を固めた。年末に特別点検を行い、来春にも原子力規制委員会に運転延長を申請する」と報じた。

 運転の開始から39年の歳月を経た“老朽原発”は、全国に7基ある。別表を参照してほしい。その7基とは、右端に並ぶ日本原子力発電・敦賀1号機、関西電力・美浜1、2号機、同・高浜1、2号機、中国電力・島根1号機、九州電力・玄海1号基だ。
原発の運転は原則として、開始から40年に制限されている。例外的に最大20年まで延長が可能だが、その場合は原子力規制委員会の新規制基準に加えて、より厳しい特別点検にも適合する必要がある。

 特別検査に適合するためには、「古い原発ほど燃え易い材質のものを使っている」と言われている電気のケーブルの交換などが必要で、膨大なコストがかかる。このため、一般論としては老朽化した原発の再稼働は難しいことになっている。

 そうした中で延長を目指す動きが報じられたのは、今回の関西電力の高浜1、2号機が初めてだ。同じ関西電力でも、運転開始からの経過期間がより長く、発電の出力が1、2号機の2機合計で84万kW(高浜は1、2機合計で166万kW)と小さい美浜は改修コストをかけると採算が合わず廃炉が避けられないとみられている。

 当の関西電力の八木誠社長(電気事業者連合会会長)は14日の記者会見で、美浜、高浜両原発の扱いを問われ、「どう対応するか検討している」「できるだけ早く方針を出したい」と述べるにとどめた。とはいえ、高浜の2基の運転延長については「ワンオブゼム(複数選択肢の一つ)」と意欲をのぞかせたという。

@関西電力への苛立ちの声

 だが、こうした関西電力の突出には、電力関係者の中からも苛立ちの声が少なくない。

 そもそも、政府は具体的な時期や道のりは示していないものの、それでも「エネルギー基本計画」で、「原発依存度の引き下げ」を掲げている。

 そして、川内原発の再稼働が現実味を帯びる中で、経済産業省は1980年以前に運転を開始した老朽化原発12基を廃炉に追い込み、安全性の観点からの選別強化を鮮明にすることで、残る原発の再稼働を円滑にしようと目論んでいた。実際、小渕優子前経済産業相が9月5日の記者会見で、「円滑な廃炉をすすめることと安全性が確認された原発の再稼働を進めることをあわせて推進したい」と強調したこともあったのだ。

 そんな経済産業省に呼応するかのように、運転開始から40年が経つ島根原発1号機を抱える中国電力や同じく39年が経つ玄海原発1号機を抱える九州電力はそろって、廃炉に柔軟な姿勢を示していた。

 しかし、廃炉には多額の費用が必要だ。電力会社の経営に直結する問題でもある。反発の強い電力会社を抑えきれなかったのだろう。小渕前経産相が9月17日、電気事業連合会会長の八木関電社長に対し、老朽原発の廃炉判断を急ぐよう求めた時には、廃炉対象の原発は1975年以前に運転を開始した“超”老朽化原発に限定され、対象数も7基に減ってしまった。関西電力を例にとれば、保有する原発11基のうち7基の廃炉を迫られるはずが、4基で済んだのである。

 しかし、関西電力は、その4基の廃炉にすら素直に首を縦に振らなかった。冒頭で紹介した新聞報道の通り、高浜原発の2機(1、2号機)を温存し、廃炉を美浜原発の2機(1、2号機)だけに限定する姿勢を打ち出したのである。

 こうした関電の態度について、電力会社の中にも「カネ勘定が好きな関電らしい。が、電力業界の存亡をかけた“暗黙の了解”を台無しにしかねない」と苛立ちを隠さないところがある。

 というのは、思い切って廃炉を受け入れれば、経済産業省が、廃炉によって財政難に陥りかねない立地自治体の理解を得るための後押しや、経営圧迫を避けるために必要な会計上の特別措置の導入に一肌脱いでくれると期待していたからだ。

 老朽原発の廃炉という“出血”を受け入れることで、電力会社としても安全性を重視して原発を選別する姿勢を明確にして、川内原発が再稼働のゴーサインを獲得した流れを確かなものとし、各地の原発の再稼働を加速するのに役立てたいという“戦略”も、台無しになってしまうという。

 全国の電力10社合計の燃料費は、2014年度上半期に約3.5兆円と、過去最大を記録した前年度と同程度の規模に膨らんでいる。原発の再稼働の遅れは、経営を一段と圧迫する見通しだ。電事連会長会社であるにもかかわらず、自社の損得勘定を前面に押し出す関西電力に、同業他社が苛立つのも無理はない。

 ちなみに、川内原発の再稼働後は、関西電力の高浜3、4号機と四国電力の伊方3号機に対する原子力規制委員会の新規制基準の適合性審査が本格化するとみられている。しかし、東日本大震災によって収益面で大打撃を受けた東北電力の女川、東通の両原発や、完成間近だった電源開発(Jパワー)の大間原発などは、いまだに審査開始のめどが立っていない。円安に伴う火力発電用の燃料輸入コストの高騰と相まって、高い電気料金がわれわれの暮らしを圧迫する状況はなかなか解消しそうにない。

@宮沢経産相は「見て見ぬふり」

 もう一つ国民の立場で言えば、関西電力の高浜1、2号機の再稼働は、運転開始から40年を経過した老朽化原発を順次廃炉にして、原発依存度を引き下げていくというシナリオを根底から覆すものだ。安心安全のシナリオを台無しにするものなのである。

 再び別表の左端をご覧いただきたい。廃炉の“40年原則“を厳格に守っていけば、それだけで20年後の2034年に稼働が可能な原発は、東北電力の3機(女川1、2号機、東通1号機)、北海道電力の2機(泊原発2、3号機)など、この左端の11機に縮小するはずだったのだ。立地や地元の電力需要などの要素を勘案すれば、さらなる絞り込みも可能なはずだった。

 しかし、関西電力が高浜原発1、2号機で「(運転の)20年延長」の実績を作り、それが慣例化してしまうと、2034年になっても緑と黄色の背景色をつけた別表の中央部分の30基も存続にも存続の道が開かれる。これでは、政府が「エネルギー基本計画」で掲げた「原発依存度の引き下げ」が骨抜きになることは明らかだろう。

 それにもかかわらず、現在のところ、宮澤洋一経済産業相は、「(運転期間の延長は)原子力規制委員会や電力会社が判断する問題だ」と逃げの姿勢を決め込んでおり、これ以上、個別の電力会社の方針に関知しない姿勢を示している。

 見方を変えれば、今回の関西電力の老朽化原発温存の動きは、安倍政権と与党が発足からの2年間、お題目のように「原発依存度の引き下げ」と唱えながら、何ら具体策を示して来なかったことのツケに他ならない。

 そして、宮澤大臣の発言から伺えるように、経済産業省には電力会社と対峙する気概がない。今後も面倒な調整は避けて、譲歩を続けるのだろう。関西電力の「原発依存度の引き下げ」破りを見て見ぬふりするのは、その証左である。福島第一原発の大事故後も、この役所に電力・原発政策を委ねてきたことが正しかったのか否かという疑問を抱かせずにはおかない。

@原発政策の立て直しも「重要な争点」

 最後に、前回の総選挙で投票率が過去最低の59.32%にとどまった問題を指摘しておきたい。投票率が低かった原因は、今回もよく似ているが年の瀬が押し迫った12月16日に投票日が設定されたことや、鳴り物入りで政権交代をした民主党の政権運営のあまりのお粗末さへの失望、そして原発問題を争点にしない自民、公明両党の選挙戦略のうまさなど、様々な要因が考えられる。

 しかし、結果として、あの選挙で誕生した安倍晋三政権が、見直しに必要な利害調整の困難を嫌い、お粗末な前政権の電力・原発政策をほぼそのまま踏襲している事実を忘れてはならない。

 われわれ国民は、今回の総選挙で争点にすべきテーマが消費増税だけではないことを肝に銘じるべきだ。そして、政府・連立与党に電力・原発政策の明確な建て直しを公約するよう迫っていく必要がある。
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町田 徹
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