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総選挙を棄権するつもりの人へ

★総選挙を棄権するつもりの人へ
***「『週刊現代』2014年12月6日号 BY 古賀 茂明」より転載

アベノミクスが失敗し、安倍政権は追い詰められたと先週号に書いたが、7~9月期GDPマイナスショックはこれを決定的なものにした。

 ただでさえ、集団的自衛権行使容認、特定秘密保護法、武器輸出解禁、原発再稼働などに反対の有権者は多数を占める。それに加えて、看板政策であるアベノミクスが失敗となれば、安倍政権の致命傷になってもおかしくない。しかし今、安倍氏は、この劣勢からの大逆転を夢見ている。野党の選挙態勢が全く整わないうちに、奇襲解散総選挙で寝首をかこうというのだ。今のところ、その戦略は当たっている。

 自民党がダメだとしても、一体、誰に投票したら良いのか見当がつかず、やはり自民党しかないのか、と途方に暮れる有権者が多いのだ。

 そこで、選挙に向けて、政党ごとに評価をし直してみよう。

 日本経済がここまで低迷したのは、'90年代からの自民党政治のせいだ。官僚主導政治で、農協、医師会、電力会社などの既得権と癒着して、成長のために必要な思い切った改革ができず、失われた20年を作ってしまった。

 返り咲いた安倍政権は、いかにも変わったように見えた。しかし、アベノミクス第三の矢と言われる成長戦略は全く出てこなかった。理由は、昔の自民党と全く同じ。これから先も変われる見込みはない。となれば、タカ派政策の賛否以前に安倍自民党は選択肢から外れる。これを助ける公明党も同様だ。

 一方、政権にあった3年間、何の改革もできなかった民主党も信用できない。経済政策以外でも、電力総連の圧力で大飯原発を再稼働させ、原発ゼロの閣議決定もできなかった。連合に迎合して公務員改革も逆行。安保政策でも党内はバラバラで、安倍総理と同じくらいのタカ派も多い。

 野党第二党の維新の党には改革派が多い。しかし、タカ派が多数派で、安倍政権の暴走の歯止め役にはなりにくい。結いの党出身のメンバーにはハト派が多いが、圧倒的少数派だ。党内の旧大阪維新の会メンバーは、大飯原発再稼働を叫んで橋下徹大阪市長を再稼働容認に転向させた実績があり、脱原発政策も大いに不安だ。

 共産党は、ハト派としては最も安心できそうだが、同党に日本経済を任せるとバラマキ政策で日本が破綻してしまう不安がある。

 そして、これら以外の野党は、存在感が全くなく、みんなの党は解党の運命だ。

 今回は棄権したいと思う人も多いだろう。しかし、棄権が増えれば、組織票中心の自民党勝利に手を貸すことになる。その結果、原発再稼働、集団的自衛権行使、特定秘密保護法施行、武器輸出と原発輸出、残業代ゼロ、派遣拡大などの安倍政権の不人気政策全てにお墨付きを与えてしまう。「全部国民の承認を得た」と胸を張る安倍総理の姿を想像するとぞっとする。棄権は絶対にダメだ。

 安倍政権の暴走を止めると同時に、日本経済の成長を実現してくれる政治を夢見る有権者は、まさに「八方ふさがり」の状況だ。では、どうすれば良いのか。

 政党で選ぶのは諦めた方が良い。一方、野党の中に少数だが、「改革はするけど戦争はしない」と思える政治家を探すことは可能だ。原発再稼働に無条件で反対と言えるか。ペルシャ湾での機雷掃海もダメと言えるか。抽象的文言ではなく具体的な踏み絵を踏ませよう。

 最悪納得できなくても今回は仕方ない。ダメな順に消去して、最後に残った候補者に目をつぶって投票する。「我慢の選挙」だ。

 そして、選挙の後に彼らを集めて新たな形の野党再編につなげる。道は長いが、諦めてはいけない。

・・・・・・・・・・・・・

★自民党が負けるはずがない! 選挙興味は野党の再編くらい
***「現代ビジネス 11月29日(土)6時2分配信」より転載

もしかしたら「怒り」が煮えたぎり、国民の審判に大きく影響を与え、面白い選挙になるかもしれないと期待していた。だが、その期待はほぼ間違いなく裏切られそうである。

@自民党が負けないことが見えている

 12月2日の公示を前に第47回衆議院議員選挙は、早くも結果が見えてきたことで、投票率も50%を下回るのは確実であり、白け切ったものになりそうだ。

 先週発売の週刊誌各誌は、自民党が現有議席295を50~60議席減らすとの予測を大々的に紹介、多くの有権者は「安倍1強」に変化が生じる面白い選挙になるかかもしれないと思ったに違いない。

 だが、現実はそうではない。まずはお浚い。衆院の定数は、「0増5減」が実現したことで小選挙区300と比例代表180の合計480議席から475議席となった。従って、衆院過半数は238、安定多数が249、そして絶対安定多数は266である。

 安定多数を制すれば、衆院議長を確保し常任委員会委員長を独占、かつ全常任委員会で与党委員が半数を占める。絶対安定多数となれば、常任委員会委員長を独占し委員も過半数を占める。因みに、衆院の3分の2である317を獲得すれば、参院で否決された法案を再可決できる。国会での力関係は、数の勝負なのだ。

 11月21日の衆院解散前、与党は自民党295、公明党31の合計346議席を有していた。だからこそ、安倍晋三首相が強く拘った特定秘密保護法案は衆院本会議で強行採決によって成立できたのである。

 では、12月14日投開票総選挙の見通しは、どのようなものなのか。選挙は魔物である。「風」が吹き嵐になれば、事前の選挙予測などいっぺんに覆る。が、今回はそうではない。自民党が負けないということが見えているのだ。

 現有議席から30以上落とせば、党内政局は必至となる。来年9月の自民党総裁選で安倍首相(総裁)に挑む者が出てくる。しかし、現状は275議席を基数としてプラス15、マイナス10というのが相場観である。このマイナス10というのは、自民党が政権復帰した2012年12月総選挙で初当選を果たした「安倍チルドレン」114人のうち相当数が民主党とのガチンコ勝負で敗退することを見込んだ数字である。

 一方、前回総選挙の比例代表は自民党が約1600万票獲得して57議席だった。そして約1200万票集めて40議席獲得した維新の党は半減すると見られ、大幅な議席減が必至である。自民党は小選挙区で民主党に競り負けて取りこぼしたとしても、その分、維新の党から奪取できるので、トータルでの議席減は10~20になるのではないか。

@興味は野党再編の動き

 つまり、自民党に飽き足らず維新の党に向かった「右」志向保守層の一部が戻ってくるということである。結果、維新の党を含めた民主党主導の野党再編の動きが加速する。民主党の馬淵澄夫選対委員長と維新の党の江田憲司共同代表の間で両党合流についての協議が進んでいる。所謂“橋下(徹共同代表)抜き”の合流話である。

 民主党の議席増は間違いないので海江田万里代表の続投は決定的である。来春の統一地方選で民主党が伸び悩むことになれば、その後、代表は岡田克也代表代行に引き継がれ、維新の党との合流話が表面化するだろう。そう、今や永田町では野党再編に関心は移っているのが現状なのだ。野党と言えば、共産党の飛躍は間違いない。先の「怒り」を抱えた有権者、特に団塊の世代の無党派層が民主党を通り過ぎて共産党に1票を投じるからだ。

 自民党に戻る。「安倍1強」がさらに強化される。注目すべきは、10月下旬段階ですでに安倍首相から11月下旬解散・12月中旬総選挙をいち早く伝えられていた谷垣禎一幹事長の存在感が高まることだ。

 恐らく、クリスマスに第3次安倍改造内閣が発足するはずだ。ここに来ての関心は、江渡聰徳防衛・安保法制相、西川公也農水相(当選した場合)の他、どの閣僚が交代するのかである。後任防衛・安保法制相の最有力候補は小野寺五典政調会長代理の復帰である。そして、後任農水相は江藤拓衆院農水委員長ではないか。12月15日の新聞各紙の一面トップには「自民 絶対安定多数確保」か「信任されたアベノミクス」の大見出しが躍ることになりそうだ。
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