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安保法制改悪整備の波紋(上)

★波紋 安保法制〈上〉 隊員の安全どう確保 自衛隊任務拡大
***「2015年3月21日(土)13時20分配信 カナロコ by 神奈川新聞」より転載

新たな安全保障法制整備の骨格を定めた共同文書が20日、自民、公明両党の与党協議会で正式に合意された。集団的自衛権の行使容認や他国軍への後方支援など、自衛隊任務を大幅に拡大する方向性が盛り込まれたことに、複雑な思いを抱く自衛官や家族、関係者も少なくない。

 「娘が自分の目で選んだ人の仕事をうんぬんしたくない。でも娘の将来に関わると思うと、彼には危険な仕事に携わってほしくないと思ってしまう」

 県内在住の50代の女性は昨年暮れ、自衛官と交際中の娘から、結婚に踏み出せないでいることを打ち明けられた。

 「自衛隊を辞められるなら、辞めてほしい」-。母としての本音だ。

 湾岸戦争後のペルシャ湾掃海艇派遣、米中枢同時テロ後のテロ対策特措法に基づくインド洋での給油支援などを経て、現在は海賊対処法に基づいたソマリア沖での監視任務が続く。

 海外任務中の護衛艦では、幹部が乗員たちの心身の管理に心を砕いていた。「わずかな体調の変化も、自覚したらすぐ知らせるように伝えていた」。長期にわたる海外任務の経験が蓄積されていることの表れといえる。

 海自護衛艦の乗員でもある夫を持つ40代の女性は、インド洋での給油支援活動に従事した夫と1カ月以上も連絡が取れなかった。

 法制整備により、今後予想される任務の拡大-。女性は「そのときにならないと分からない」。再び派遣されることになれば、涙をのんで「行ってらっしゃい」と言うことにしている。とはいえ、「漠然と『大丈夫』と思い込んでいないと、気持ちが持たない」のが正直な気持ちだ。

 家庭では職場の話をしない夫。だが、安保法制整備への動きを伝えるニュースには、こうつぶやいていた。「これからは隊員のなり手が減るだろう」

 今回の与党協議の合意では自衛隊の海外活動をめぐり(1)国際法上の正当性(2)国民の理解が得られるよう民主的統制を適切に確保する(3)自衛隊員の安全確保に必要な措置を定める-の3点を確立するとした。

 とりわけ自衛隊員の安全確保は、与党協議や両党内の会議でも、たびたび議論に上っている。過激派組織「イスラム国」による邦人人質殺害事件を受け、在外邦人の救出も議論の対象となっていたためだ。

 在外邦人救出については、政府は「邦人や隊員の安全確保の見通しが立つことが前提」と強調する。しかし、自民党の会議では「安全性を強調しすぎると実際の活動ができなくなる」との不満が漏れているのも実情だ。

 自衛隊の役割拡大に積極的な政府・自民党と、多くの歯止めをかけたい公明党が綱引きを続ける構図は、与党協議で一貫して変わらなかった。

 ただ、「こちらが押し切ったような形に見られている」「『前のめりになっている』と批判を受けた」と、世論に神経をとがらせる意見は自民党内からも相次いでおり、今後の法制化で丁寧な説明を求める声は今後も上がりそうだ。

◇派遣の要件 今後の論点に

 今回の与党協議では、自衛隊の海外での活動が大きな論点の一つとなった。人道復興支援などを行う国際平和協力活動では、派遣の要件をめぐって結論を先送りした項目もあり、将来的な任務拡大の余地は不透明なままだ。

 これまでインド洋給油支援やイラク自衛隊派遣は特別措置法で対応されてきたが、今回の法制整備は国連平和維持活動(PKO)以外の人道復興支援などに参加できる法改正を目指しており、実現すれば派遣が随時可能となる。さらに、国際紛争に対処する他国軍に後方支援を提供する恒久法を新たに定める方針も掲げている。

 自衛隊派遣に対し、公明党は「国際法上の正当性」を要求。結局、合意文書では恒久法に基づく派遣の要件を「国連決議」で一致した。ただ野党からは「湾岸戦争時に採択された国連決議を援用して正当性を主張したイラク戦争にも、独仏は参加していない」(江田憲司・維新の党代表)との指摘が上がっており、どのような性格の決議を要件に位置づけるかが今後の焦点になる。

 新たな骨格では、他国の「武力の行使」との一体化を防ぐ枠組みを設けることも必要とした。後方支援を実施する地域の状況が変わり戦闘地域となった場合には、活動を休止することなどが想定されそうだ。

 一方、PKO協力法については、PKO以外の人道復興支援や治安維持活動ができる法改正の検討を明示した。ただ、同法に基づく派遣は武力行使を前提としていない。

 現行のPKO参加には、紛争当事者間の停戦合意など「5原則」が課されるため、それ以外の活動に公明党は「5原則に匹敵するような厳格な原則があって初めて派遣が容認される」(北側一雄副代表)と主張してきた。政府、自民党は、国連以外の国際機関や地域機関の要請があるケースなどでの派遣も視野に入れるが、公明党は慎重で結論は持ち越されている。 

◇百点ではないが評価

 海上自衛隊の元自衛艦隊司令官香田洋二氏の話 与党合意は百点ではないが前向きに評価する。日米安保体制を強固にして、抑止力を高めることが自衛隊の役割だ。国連平和維持活動(PKO)や後方支援に加え、集団的自衛権の行使容認という新たな領域に踏み出すことで日米関係はより緊密になり、抑止力が向上する。ただグレーゾーン事態への対応では疑問点がある。自衛隊法の「武器等防護」の規定で米軍などを防護するとしているが、そもそもこの規定はそうした事態を想定したものではない。武力攻撃やその恐れがあるときに発令する「防衛出動」の敷居をどう下げるかという議論をするべきだ。

◇自衛超えた米軍協力法制

 市民団体ピースボート共同代表で軍縮問題に詳しい川崎哲氏の話 この問題に関する安倍晋三首相の国民への説明は、戦地から逃げてくる母子を守る話から始まっていた。それなのに与党合意の内容は、日本の自衛をはるかに超え「米軍協力法制」の印象が強い。周辺事態法の地理的制約を取り払ったり、他国軍の後方支援が目的の恒久法を制定したりするのは、自衛隊が米軍の要請に応え、世界中に行ける態勢をつくる狙いがある。これまで海外での活動が限定されていた自衛隊の在り方は大きく変わる。「切れ目のない法制」というが、米軍と自衛隊の間の切れ目をなくすことになってしまう。
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