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安保法制改悪整備の波紋(下)

★波紋 安保法制〈下〉集団的自衛権 追いつかぬ国民理解
***「2015年3月22日(日)13時3分配信 カナロコ by 神奈川新聞」より転載

安全保障法制整備で自民、公明両党が20日に合意した方向性には、新たな目標が数多く盛り込まれた。だが、国会議員でさえ「複雑で分からない」と漏らす概念や視点が少なくない。今後の法案づくりでは、集団的自衛権の行使容認に向け安倍政権が昨年7月に閣議決定した内容も「過不足なく盛り込む」としているが、どのような状況が対象として浮上するのかは、不透明なままだ。憲法が揺らぎ、安保政策の大転換となる節目にもかかわらず、社会の理解は追いついていない。

 「共同文書は曖昧で、一般の人が読んで分かるだろうか。国の形を変える大切な転機だということは皆が感じているが、理解が追いついていない」

 憲法の成り立ちを考える「憲法カフェ」を各地で開いている横浜弁護士会所属の武井由起子弁護士は懸念を深めている。

 カフェは月3回の頻度で開催。20人ほどが集い、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定への関心も高い。

 参加している母親は、家で夫に「中国に攻められるから、ちゃんとやらなきゃいけない」と言われたという。だが他国からの直接攻撃は日本有事。個別的自衛権の範囲だ。

 カフェの延長で高校生を相手に憲法の話をすると「自分たちに関係する話」との反応が多い。「集団的自衛権の話は将来の国民を拘束するのに、今回の憲法解釈には将来にわたって政権を縛る歯止めがない。安倍晋三首相が慎重に対応したとしても、次の首相や将来の首相がそうするとは限らない」

 複雑な法制整備の議論に苦闘しているのは、与党議員も例外ではない。与党協議を受けて自民、公明両党が党内で議論を深めたが、ある公明党議員は会議終了後、「ついていくのが精いっぱいだ」と漏らした。

 背景には、集団的自衛権の行使を認めることで、日本の安全保障状況を定める「事態」を再び整理し直す必要が生じたこともある。

 現行の武力攻撃事態法では、「武力攻撃事態」「武力攻撃予測事態」を規定。これに、集団的自衛権を反映させた「新事態」が加わることになる。政府は「存立危機事態」との名称を提案したが、安保法制の全体像をまとめた共同文書では明記されず、正式な名称も先送りとなった。

 与党協議では、集団的自衛権の行使に対する「歯止め」をめぐる議論も焦点となった。海外での武力行使を封じてきた自衛隊の任務拡大にブレーキをかける必要があるからだ。

 公明党は自衛権発動の新3要件である(1)日本と密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険(2)国民を守るために他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使-のうち、(2)の要件を法案に明記するよう求めているが、結論は持ち越された。

 どのような状況が具体的に対象となるのかも見えていない。安倍政権は中東・ホルムズ海峡が機雷封鎖された際の機雷除去を例示したが、ある有識者は「同盟関係にある米軍が日本に期待している集団的自衛権行使はむしろ、ミサイル防衛協力だろう」と分析する。

◆野党 後半国会で論戦へ

 安全保障法制をめぐる審議は、通常国会の後半で大きな論点となりそうだ。会期延長も視野に入る中、与党合意に対して野党は、それぞれの立場で検証に臨む姿勢をみせている。

 民主党の岡田克也代表は20日、与党合意を「『切れ目のない』安全保障法制という名のもとに、『歯止めのない』自衛隊の海外での活動に拡大につながる」と批判する談話を出した。

 民主党は安保法制をめぐる党内議論を続けており、自衛隊の国連平和維持活動(PKO)参加に関連し、他国部隊や民間人を守る「駆け付け警護」や任務遂行型の武器使用を条件付きで認める方針を確認。他国部隊と共同での宿営地防衛や武装解除などの任務を可能とする法改正も目指すとした。

 ただ、それ以外の論点については「想像の世界で議論するのは建設的とは思えない」(党幹部)と、政府の法案づくりを見定める構えだ。安保政策の姿勢に党内で幅が残る事情もある。

 「さらっと見ただけでも問題が多い」。維新の党の江田憲司代表(衆院8区)も19日の会見で与党合意を批判し、「法文に落とし込んだ段階で精査したい」と検証に努める姿勢を示した。維新は自衛隊の海外活動に歯止めを設ける独自法案の提出を目指す方針だ。

 共産党は「憲法9条の下で絶対に許されない。法制化作業の中止を求める」(山下芳生書記局長)。社民党の又市征治幹事長も「わが国の平和主義の根本に関わる重大な問題が、国民不在のまま与党間の不透明な検討作業によって進められることは誠に遺憾だ」と非難した。

◇安全保障法制で検討されている「事態」

▼日本への攻撃

<武力攻撃事態>

武力攻撃が発生、または明白な危険が切迫していると認められるに至った事態

<武力攻撃予測事態>

事態が緊迫し、武力攻撃が予想されるに至った事態

▼他国への攻撃

<新事態(仮称)=新設>

わが国と密接な他国への武力攻撃が発生し、わが国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある事態

<重要影響事態(仮称)=新設>

日本の平和と安全に重要な影響を与える事態(周辺事態法で対応)

◆他国軍の支援も拡大

 昨年7月の閣議決定を踏まえた集団的自衛権の行使容認は、自衛隊法と武力攻撃事態法の改正で反映させることになる。現行法で規定する日本への攻撃に関連する事態と区別する作業が、今後の焦点だ。

 日本への武力攻撃に至る前の段階(グレーゾーン)事態の対処では、平時の警戒監視や共同訓練を「日本の防衛に資する活動」とし、参加する他国の艦船などを自衛隊が守る法改正の検討が盛り込まれた。現行法が認める防護対象は自衛隊の武器だけだが、改正で「米軍および米軍以外の他国軍の武器等」も加える。

 現行の日米防衛協力指針(ガイドライン)を反映させて有事の米軍後方支援を盛り込んだ周辺事態法も改正。事実上の地理的な制約を削除し、新たに「重要影響事態」と位置づけて地球規模で日米協力を強化させる。支援対象は「日本の平和のために活動する米軍や他国軍」に拡大する。

 「極東の平和と安定の維持」を目指す安保条約との関連が明確化された形で、法改正に基づく活動地域や対象国の範囲が今後の論点となる
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