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B級的自然住宅のススメ 第7回

 1月から本の原稿を書いていて、やっと4月末にとりあえずのものがほぼ出来上がった。テーマは「温度、湿度、熱」。言い換えると「断熱、気密、換気」。さらに言い換えると「快適で省エネになる家づくり」。前の『自然住宅のタダシイつくり方』もどこにもない本にしようと思って書いたが、今回もその意気込みで書いた。出版社の編集長に「こんな家がいい、と説明できる人は結構たくさんいるけど、それぞれの考え方の人にどんな家が合っているのかを考えさせるような文章が書けるのは野池しかいない」というようなことを言われた。何がタダシイなんていうことは私には断言できない。それは家づくりにかかわらず何でもそうだと思っている。だからそんな内容になってしまうわけ。力量じゃなくて性格というか基本的な考え方がそんな評価をしてもらえる理由。

 さて前回の続きにいこう。
 もともと環境問題には関心があったから、何とかして環境にやさしいことを取り入れようとしただろう。ここで問題は「素材に行くか、それともエネルギーに行くか」ということ。いままで私は素材派という認識を受けている。つまり自然素材を使っての環境にやさしい家づくりのリーダー的存在だという認識。でもこれは本当にたまたまなんですね。環境に興味があって、建築という世界に首を突っ込み始めたきっかけになったのが「素材派」の人たちだったからそこから入っていったけれど、もしエネルギー派の人たちと最初に出会っていたなら違っていたような気がする。もしかしたら高断熱・高気密派の論客になっていたかもしれない。そしていま素材派という立場から断熱や気密を語り始めているように、断熱・気密派という立場から自然素材を語っているようになっていたかもしれない。こういうことを想像するのは結構楽しい。
 話を戻そう。
 私が家を建てようとしたとき、3冊の本が手元にあったと考える。まず1冊は素材派の人が書いたもの。この本ではとくにシックハウスのことが書いてあり、「シックハウスにも対応でき、しかも環境にやさしい素材ということで自然素材を使いましょう」と書いてある。もう1冊は断熱・気密派の人が書いた本。そこには地球温暖化対策として断熱・気密が重要と書いてある。最後の1冊はOMソーラーの本。パッシブな考え方がいいよ。そして自然素材もいいよ、ということがちょっと理屈っぽいんだけど結局は情緒的に書いてある。
 さて私はどの本にいちばん共感しただろう?
 きっと断熱・気密派の人が書いた本になると思う。なぜなら私は理系だから。理論的に整合性があるものに惹かれてしまうから。で、「よし、しっかり断熱と気密を考えて、省エネになる家をつくろう!」とまず思う。
 ところが、そんな家づくりをしている住宅メーカーが建てている家を実際に見にいくと、きっと「何だか貧相だなあ」と感じると思う。理屈という建材で建てているように感じるだろうと思う。確かに理屈は大事だし、うまくいく家づくりの確率を上げるには理屈は必要なんだけど、でも理屈だけで家を建てられるのは何だか変だと思うだろう。私は確かに理系なのだが、私の理系としてのプライドは「理屈には限界があることをタダシク知っているのが本当の理系」と思っているところにある。そして「理屈に振り回されるのはおかしい。理屈のために理屈があるのではなく、人や環境や未来のシアワセのために理屈がある」と思っている。

 ここで「はて、どうしよう?」と立ち止まることになる。素材派の人は理屈が貧弱。断熱・気密派の人は理屈に振り回されている。OMソーラーは理屈を宣伝に使っているという嫌味を感じる。私はどこにも進みようがない。困った。
(続きは次号に)
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