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抗菌剤に意味はある?

 いやはやまったく西村氏というのは鋭い。前回にもこうして褒めたが、また褒める。いまの日本の健康問題でもっとも憂慮すべきなのが「抗菌」であり、次にはこれをテーマに書かなくちゃ、と思っていたのである。
 褒めたついでに言っておくと、みなさんがどう思っているのかはまったく想像もつかないが、西村氏は相当な人物である。僕はこれまで全国の有名な建築家や工務店の社長にたくさん会ってきた。その中でも西村氏は本来の意味での「知的人物」である。形而上の問題と形而下の問題を見事に整理し、そこを泳いで生きてきている(と思う)からである。

 さて、本題。
いつから抗菌時代に入ったのだろう。記憶をたどれば「MRSA」をまず思いつく。いわゆる院内感染で有名になった菌類である。次には「O-157」か。MRSA問題はたぶん7年ほど前から始まったから、1996年くらいから抗菌時代が始まったという感じか。
 僕のところにはいろんな企業からいろんな素材が持ち込まれてくる。そこそこ有名なので宣伝してくれたらラッキーと思っているのだろう。そしてその素材に必ずといってついてくるのが「抗菌性のデータ」である。僕はそういうデータがあるものは相手にしない。僕が本気で健康のことを考えていることを彼らはわかっていない。

 僕が小学生の頃、キタナイものを食べて驚かすということに快感を覚えていた。要するにアホだったわけだが、給食のパンを教室の床に落とし、それを踏んでから食べたりしていた。とくに女の子たちは「きゃー」と喜んでくれた。うれしかった。でもそれで僕の体には何の異変も起こらなかった。
 マジメに考えると、人間という生き物は菌類とめちゃくちゃ長い間付き合いをしてきた。もちろん、長い間人類の生命を脅かす最大のものは「菌類」であり、それに対する戦いの歴史にはすさまじいものがある。それを克服することで人類の寿命は大幅に伸びた。
 しかしいまでは大きな問題がある菌類などほとんど存在しない。MRSAにしたって、病院という特殊な環境においてのみ問題になる。住宅に使う素材にMRSAに対する効果があっても何の意味もない。

 いや、意味がないだけではなく、大きな問題がある。
 人間に限らず生物というのは外界から体に入ってくるものに対して防御反応をするようにできている。それが体に益があるものかどうか、新しいものだからとりあえず排除すべきかどうか、などを判断するようにできている。そのシステムが「免疫」と呼ばれるものだ。
 しかし人間においてこの免疫システムはまだまだ発展途上の状態にある。あらゆる物質を正確に見極め、それを問題なく排除できるまでには至っていない。過剰反応する場合もあり、そのひとつがアレルギー反応というわけだ。
 未完成な免疫システムは反応する力をセーブすることができず、菌類がうじゃうじゃいた頃は菌類を何とかしようと頑張っていたが、菌類が少なくなってきた現代では、その力をもてあまし、化学物質に過剰に反応するようになってきていると言われている。
 もってまわった言い方をしたが、要するに、例えばアトピーの人が化学物質に反応するのは、菌類が少なくなって反応する対象が化学物質だけしかなくなってきたから、という説があるのだ。

 空調機にも、空気清浄機にも、ボールペンにも抗菌性がある時代である。ほんとにこんなものにはまったく意味はない。普通の生活環境で健康を脅かす菌類などない。
 こうした抗菌時代はますますアレルギーを増やす可能性がある。化学物質を使った抗菌剤は2重の意味で危ないし、たとえ金属を使っていても、自然素材を使っていても、抗菌性のあるたぐいの製品はすぐさま排除すべきである。

 ある車のCMに、親に「子供に泥んこになれ」と言わせたいCMがある。この車の「モノより思い出」というコピーには「車というモノを売りたいんじゃないか、バカ」といつも言いたくなるが、こうした車を買いながら、一方で抗菌性のある空調機に「子供の健康を守ってくれそう」と思うバカな親がたくさんいそうな気がする。

 そんなバカ親にはならないでくださいね、この読者のみなさん。
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