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我々は合成化学物質とうまくつきあえるのか?第1回

 さて今回は「合成化学物質の功罪について書け」とのこと。これはなかなか手ごわい。気合いを入れて書くことにしよう。
 合成化学物質というのは石油を原料にしてつくられているものである。医薬、洗剤、殺虫剤や防虫剤、防腐剤や防カビ剤、合成樹脂など、本当に様々なところに使われている。化学工業の進歩がなければ、いまの社会の状況はありえなかっただろう。合成化学物質でつくられたものが家庭にひとつもない、なんて人はまずいない。
 しかし最近になってこの合成化学物質に対して社会全体が批判的になってきた。これはなぜだろう?
 ①人間を含む生物の体に悪影響を与えそう
 ②合成樹脂はゴミとして処分しにくそう
 ③有限な資源である石油をつかっている
 ④製造エネルギーが大きそう(二酸化炭素排出の原因になりそう)
 こんなところだろうか?大雑把にいって「環境の敵」みたいな感じなわけだ。
 あんまり詳しくやっても読んでもらえなくなるのでやめるけど、こうした「合成化学物質の欠点」をきちんと見るというのは環境問題を考えるときにものすごく重要なのでそこそこ詳しく解説したい。
①合成化学物質は生物の体に悪影響を与えるか?
 ふーむ。これだけでも正確に書こうとすれば連載5回分くらいは必要だな。できるだけ簡潔に書こう。
 当然だが「医薬」「殺虫剤や防虫剤」「防腐剤や防カビ剤」というのは、生物の体に作用させて利益を生もうとしているのだから「影響はある」といえる。ただこうした薬剤の影響について慎重に調べて製品をつくるべし、という流れがあり、基本的にはどんどん安全になっている。たとえば農薬で利用される殺虫剤も、殺したい虫だけに作用させるような開発を進めてきているし、環境への残留性も30年ほど前に比べれば格段に小さくなっている。もちろんまったく影響がないというわけではなく、使い方を間違えれば(たくさんの量を体に入れてしまえば)影響は出る。医薬の誤飲での事故はたびたびあるし、シックハウス問題などはこの典型。
 そもそも「絶対安全なもの」なんてない。どんなものでも量を間違えれば危険だ。それは合成化学物質でも天然のものでも同じ。ただ20年前くらいまでの合成化学物質の中には相当危険というものがあった。こう書くと「環境ホルモンは?」という質問がありそう。これはまた別の機会に書くが、どうやら環境ホルモンは騒がれたほどのもんではない、というのが結論のようだ。
 洗剤や合成樹脂はどうだろう?
 洗剤はこれまたややこしいので詳しくは別の機会に。ただいえるのは「合成洗剤も相当安全になってきている」ということ。
 合成樹脂で騒がれているのはシックハウス問題にからむ接着剤や塗料、そして塩化ビニルの発がん性くらいだろうか。
 シックハウス問題は「いまの日本での最悪の化学物質問題」と考えてよい。化学物質によるシックハウス問題の最大の特徴は「吸い込むことで健康に害を与える」ということ。これまでは「食べるもの、飲むもの」に注意が払われていて「吸い込む」は盲点だったというところか。そのスピードはなんともいえないが、このシックハウス問題も少しずつ解決の方向に向かうのは間違いないだろう。私も西村氏もがんばってるし。
 塩ビのことは次回以降にまとめて特集しよう。今回のおさらい例として非常におもしろいから。では①の結論。
 ■基本的に合成化学物質の生物影響は小さくなってきていると見てよい。ただし、日本のような先進国と呼ばれるところに限るという条件つき。
②合成樹脂はゴミとして処分しにくいか?
 コンビニの袋とかプラスチックトレイとかが道に落ちているとすごく気になる。「いつまでもそのままで残ってるんだろうな」と思うから。紙とかならいつかは土に還りそうだけど。
 まず我々が合成樹脂の処分問題について感じているのはこんな内容だろう。確かに放っておいてもかなり長い間そのままの状態であることは間違いない。でもそれは合成樹脂の処分問題の本質ではない。なぜなら、合成樹脂は燃やされて処分(最終処理)されるから。
燃やされて処分されるのは合成樹脂だけに限らない。燃えるものは燃やして処分しないと「かさ」が増えてどうしようもない。もしあらゆるゴミがそのまま埋め立てられたら最終処分場がものすごい数になる。「燃やして処分」というのはまず永遠に続くだろう。
 少し脱線するが、そういう意味では「土に還る」というエコメッセージはほとんど無意味だ。生分解性プラスチックなんていうのも開発している(開発されている)らしいけど、やっぱり無意味。何となくそのことに世の中が気がついてきた印象はあるが…。
 さて合成樹脂の処分問題の本質だが、それは「再利用しにくい」というところにある。いくつかの用途の合成樹脂は再利用が進んでいるが、合成樹脂の種類が多く、また含まれる添加剤などがいろいろで分別しにくいから。金属は種類も少なく、見た目でその種類もわかるから再利用しやすい。
 ただ今後、合成樹脂のうまい再利用の技術やシステムが生まれてくる可能性もある。ポイントは「再利用するときに使われるエネルギー」になる。これが大きければ有効な再利用の方法にはならない。
 では②の結論。
 ■合成樹脂が「土に還らない」ということは処分問題とはほとんど関係がない
 ■現状として再利用しにくいのは事実。ただ社会からの再利用の要請が始まったのはごく最近。技術開発いかんによっては再利用が進む可能性もある。

 今回はここまで。いやはや、やっぱり大変なテーマだ。
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