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昔の掃除・今の掃除 №1

 昔の日本人はよく掃除をし、家を磨き上げていた。子どももガラス磨きや庭掃除、ゴミ捨てなど、能力に合わせて手伝っていた。
密閉度の低い隙間だらけの昔の和風住宅では、風が吹けば家の中が砂ぼこりでザラザラになる。素足で歩く畳面が、ごみや砂ぼこりでざらつくようでは気持ち悪い。素足で歩く感触を大事にというと大げさかもしれないが、そういう意味もあって朝、夕の掃き掃除と拭き掃除が日課として行なわれていた。
障子の桟や家具の上にはハタキをかけ、畳や縁側を座敷箒で掃き、細かな塵は庭に掃き出してしまう。その後、廊下や縁側などの板敷き部分に雑巾をかけ、玄関、便所の掃除をするというのが大体の手順であった。
春と秋の大掃除もあった。家中の畳を上げて庭に干し、ほこりを叩き出した。そのとき、畳の下から出てきた古新聞を読みふけっているお父さんが注意される場面は、サザエさんをはじめとする漫画の題材によくなったものである。
年末には、すす払いといって家中のほこりを払い、障子を張り替え、畳の表を替え、神棚を清めた。掃除の仕方にも1年間のリズムがあったといえる。
掃除の仕方は、住まいの構造や仕上げの材料、生活のしかたなどの変化に対応して変わる。
今日の私たちの住まいの大部分は新建材で仕上げられている。畳や板、土壁で仕上げられていた昔の家の掃除方法では、現代の住まいの汚れはきれいにならなくなっている。したがって、箒やハタキのない家庭が増えていても不思議はないのである。
建物の窓まわりはアルミサッシに変わり、住まいの密閉度は高まっている。春の嵐のような大風が吹かない限り、外の砂ぼこりは入ってこない。ごみや汚れは外から持ち込まれるものよりも、室内で人が生活する所から発生するものや、気密性のよい造りが原因となるカビや結露のシミなどが中心となっている。
このような汚れと仕上げ材料に合わせて掃除用具や洗剤、薬品を適切に選択し使いこなすことには、それなりの知識が要求される時代となっている。
また、今日の住宅事情では大掃除は無理である。狭い庭は植木と車でいっぱいで、畳を干すスペースは無い。住み方も変わった。部屋には大きな重い家具が入って、動かすのに一苦労である。家具や機器類の後ろに溜まったホコリは取りにくく、昔に比べて、いろいろな意味で掃除が複雑になっている。
              *          *          *
 私たちのつくる『もりの家』『自遊空間』では仕上げ材として自然素材を多用しているので、新建材の家とは違う掃除の仕方と心構えが必要である。
無垢の板材を使っている床は掃除機をかけ、時々水ぶきするだけで、合板の床のように定期的にワックスをかける必要もなく、手入れはむしろ楽である。
問題なのは布や紙のクロスと塗り壁である。ビニールクロスのように汚れたからといって洗剤を使って掃除することはできない。汚れが染み付かないうちに、こまめにホコリを掃うくらいしかない。配偶者は掃除機と静電気でホコリを取るハタキを使っているが、それでもついてしまった汚れは諦めるしかない。
新築の時が美しさのピークで後は汚くなっていく新建材を使ったピカピカの家と違って、自然素材の家は時間の経過とともに変化していく。白ぽかった無垢材はだんだん飴色に変化し、それに合わせて紙や布のクロス、塗り壁は汚れたり変色するが、決してキタナイという感じはない。          
 私たちはそれを「古美る」と表現している。
                                             次回につづく
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