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「つなぎ」としての資材性(1)

1.延命リノベーション
N邸は1978年の新築で、2010年には築32年を迎えた物件です。いわゆる新耐震の施行が1981年ですので、現行基準と照らし合わせると「既存不適格」という法律用語が当てはまる家です。この家は文化財でもなく、古民家でもない、ただの一般的な町屋です。

高度成長期には、N邸のような旧住宅金融公庫基準の家が、たくさん建てられました。当時の融資基準に従ってしっかり建てられたのですが、日本の家の平均寿命は30歳代です。日本にたくさん育っている杉の木で家を作る場合、80年生の杉山から曳き出されることが多いです。それから考えると、木を伐って家を作り伐ったあとにまた木を植えるならば、80年の家の寿命がないと具合の良いサイクルは生まれません。日本の家の寿命も人間の寿命と同じ80歳代を目標にして、家が健康に長生きすることで、循環型社会の促進の手助けとなる事ができるはずです。

友人の建築家米谷さんはこんな考え方を教えてくれました。「僕達の世代が高度成長期に建築された建物に手を入れて延命させ、十二分に使って建物の命を全うさせてあげるのだ」これにちなんで、「延命リノベーション」と銘打ってみます。

2.「実家」へのコンバージョン
オーナーであるNさんは70歳の「単身女子」で、家は佐賀県K町の駅前通りにあり、亡くなられたご主人は写真館を営まれていました。いわゆる「店舗つき住宅」というタイプに類別される物件で、敷地は「鰻の寝床」と呼ばれる間口が狭く奥深い形状です。間口は2~2.5間、奥行きは9.5間で、敷地面積はだいたい25坪ぐらいです。

「コンバージョン」とは耳慣れない新しい言葉ですが、建物の用途変更の事を意味します。例えば、オフィスビルをマンシヨンに変更したり倉庫を店舗に変更したりして、建築物を全撤去しないで改善・改造を加え、再生して活用します。

Nさんには長女・次女・長男の順番で子供さんたち(以下敬称略)がいらっしゃいますが、皆結婚されて福岡県内に居住されています。夫々の子供たちには、お孫さんがいらっしゃいます。Nさんのライフスタイルは、ウイークデイは福岡市にいらっしゃるまだ小さい次女のお孫さんのお世話をして、ウイークエンドにはK町に帰ってきてお友達と交流を暖める、という形です。N家の人々には都市と田舎に拠点が夫々あり、「田舎の拠点を再生する」のが今回の案件です。

子供たちにとって、「田舎の拠点」とは「実家」の事を意味します。改めて「実家」という言葉の定義を調べてみました。「デジタル大辞泉」に依ると「1)自分の生まれた家、生家。 2)婚姻または養子縁組によって他家に入った者からみて、その実父母の家。」となっています。2)の定義を考えてみると、お嫁に行った娘さんたちにとって「実家」は大切な物になってきます。

商売屋では「店舗」の方に力点が置かれがちで、「住宅」の方はおろそかにされがちになります。そうなると「実家」で法事や節句の祝い事で皆が集まった時、「店舗つき住宅」では不都合な事が多くなってしまいます。
そこで、「店舗つき住宅」から「住宅」へ、「実家」をコンバージョンする事になりました。
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