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「つなぎ」としての資材性(3)

2)温熱環境

次世代省エネ基準を満たす厚み以上の断熱材「ポリスチレンフォーム E-3」を、床・天井・外壁に充填しました。

二階は生活の中心なので、天井はロックウールを付加して断熱性能を25%アップさせています。窓には、ペアガラスを装着したアルミサッシュを、新たに取り付けました。

一階の日の当たらない場所にあるユニットバスには、家の躯体断熱に加えて、ユニットバス単体の断熱を施してあります。

冬の暖房設備には、コストパーフォーマンスの高い「FF式ストーブ」を採用しました。これ一台で二階全体を暖めてくれます。これで、暑い夏寒い冬も気持ちよく過ごせて、家の中の極端な温度差も改善されます。Nさんの身体への負担も軽減されるし、お孫さんも喜んで泊まっていかれるのではないでしょうか。

3)劣化度

既存のN邸には、表と裏の二箇所に「ルーフバルコニー」が設置されていました。

「ルーフバルコニー」の下地は鉄骨で作られ、仕上はコンクリートでプールのように端部を立ち上げてありました。排水は、「ドレーン」という金物をコンクリートの中に埋め込んで竪樋に繋ぎ、水を吐かせるやり方です。この方式だと、「ドレーン」部からの「濾水」の可能性が例外なく考えられます。N邸を丸裸状態(スケルトンという)にしてみると、二箇所の「ルーフバルコニー」周辺の構造用木材に、「濾水」の跡が見られ腐朽している部分がありました。

表の「ルーフバルコニー」は撤去して、新たに「店舗つき住宅」から「住宅」へコンバージョンしたシンボルとして、出窓を通りに面して作りました。(これにより、容積率・建蔽率の問題はクリアできました)

裏のそれは物干し場として必要なので、改善することにしました。旧コンクリートをはつり、下地のデッキプレートを取替え、立ち上がりをつけずに鉄筋コンクリートを打ちました。既設の庇には軒樋がなかったので、それを取り付けました。大部分の雨水は、庇から樋を介して排水されます。ごく少量の雨水は、塗膜防水されたスラブを伝って、自由落下して行きます。しかし、躯体の内部まで雨水が浸み込む事はありません。

その他には、浴室がタイル貼りの在来型だったので、土台及び柱・間柱の下部にも同様の状態が見て取れました。どうしても、タイルの目地から水がしみてしまうのです。

腐朽した木材は、丸ごとあるいは部分的に、取り替えて改善します。構造躯体を構成している部材に当たる木材は、重力や地震力に耐えなければならないので、ただ置き換えればいいというものではありません。木材同士が接合する部分(直行方向を「仕口」と呼び、並行方向を「継ぎ手」と呼びます)は、切断した面を突きつけるのではなく、細工して互いの面に凹凸をつくりうまく嵌るようにします。さらに、補強金具でしっかりと止め付けます。箇所によっては、「突きつけ」しかできない場合があります。その時は「アイデア金具」とも呼ぶべき、実用新案的な金具を使用します。金具製品の知識が、必要となります。

4)耐震性

いわゆる新耐震基準とよばれる現行の基準に従い、構造計算をして、地震力に対抗するための「耐震壁」という壁をバランスよく配置します。これを「構造計画」といいますが、人の命に係わる非常に大切な作業です。

N邸は細長い短冊形なので、長手方向は壁がたくさんできるので「構造計画」がしやすいのですが、短手方向の場合はそれとは真逆です。短手方向の壁をなるべく作るため、「構造計画」に沿ったプランが必要になります。一階二階ともに中央部にトイレなどの設備コアがあるので、それに付加して、押入れや収納などの小さな空間を作って短手方向の壁を数多く作りました。

N邸は、1978年の住宅金融公庫の融資基準に則り、新築されています。1978年の構造に関する融資基準で、現行の基準と大きく違う所は、基礎の仕様です。ざっくりいえば、1978年の基礎には鉄筋が入っていなくてコンクリートだけで出来ていますが、現行の基礎には割とたくさん鉄筋が入っています。前者を「無筋」といい、後者を「有筋」といいます。

新旧のギャップを埋めるために、国土交通省監修の「木造住宅の耐震診断と補強方法」というマニュアルが出版されました。この本によると、外周部および耐震壁の既存の無筋基礎に新規の有筋基礎を合体させる、という耐震補強が説明されています。N邸はこの方法に準じて施工しました。

「耐震壁」は、柱・梁・土台・筋交で構成される木造軸組である壁とそれに取り付く基礎が緊結されて、一体の物として働きます。壁の木造軸組も一体の物として効果を上げるために、柱・梁・土台の直交する要素に筋交という斜材を金物で止めてしっかりした三角形を作り上げます。先のマニュアルにはこの考え方に基づいて補強方法が示されていて、正確に施工しました。

このように、「構造計画」と「耐震補強法」の整合した総合的な思考が必要とされます。
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