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環境主義住宅を解く 第5回

 前回は冷房(夏場)の話だった。住宅雑誌で「環境と共生する住宅」というような特集で紹介されている家では「夏場にエアコンを使わない工夫」みたいな内容になっているものが多い。でもこれは「周辺環境と調和(共生?)する住宅」という表現が正しいだろう。あえて広い意味での“環境”を視野に入れるなら、「原発に頼らない住宅」とか「電力ピークを抑える住宅」が正しい。こんな見出しはあり得ないけど…。
建築家側の問題なのか、編集者側の問題なのかはわからないが、こういう住宅を「環境と共生する住宅」と呼んで特集するのは間違っている。建築のプロでも冷房にかかるエネルギー消費がかなり大きいと思っているからこんなことになるのだろうが、もしいま「環境と共生する住宅」と呼んで特集を組むなら、やはり暖房や給湯にかかるエネルギー消費量を抑える工夫を中心に紹介すべきだ。前回でご紹介した用途別のエネルギー消費量の割合をあらためてしっかり頭に入れてほしい。
 で、今回からその暖房の話に移っていこうと思うのだが、その前にあらためて「住まいの省エネ」について詳しく見ていくことにする。本来は前回の冷房(夏場)の前に述べておくべき内容なのだが、冷房は省エネの主役ではないため、暖房という主役登場のところで述べておきたかったわけだ。

 日本国中で、いや世界的にも省エネが叫ばれたのはオイルショックのときだ。もちろん戦中もそうだったのだろうが、特殊な状況なのであまり参考にはならない。オイルショックのときは原油価格が高騰することで「お金」のために、そして石油の備蓄のために、国を挙げて省エネが叫ばれた。
 しかしこれが落ち着いてくることで、そしてその後のバブルまでの好景気に支えられて、お金のために省エネに励むという意識が薄れた。生活におけるインフラに対して消費者が支払うお金の割合が相対的に少なくなったということであり、これは極めて重要なことだ。そして基本的にはその傾向はいまでも続いている。環境税(炭素税)が論議されているが、もしこれが実現されたとしてもそれほど電気代などには反映されず、この意識に大きな影響を与えることはないだろう。
 そして「お金のために省エネをしよう」の時代から、今度は「地球温暖化のために省エネをしよう」になった。この変化は省エネに直接のインセンティブ(動機付け)が働きにくいという意味でとても重要だ。実際、景気とエネルギー消費量には強い相関関係があることがわかっている。どうやら景気は上向きらしく、いまからはこの景気のよさと省エネのためのあれやこれやの方策とのどちらが勝つかの戦いになっている。
 政府は「高断熱・高気密(実際には次世代省エネルギー基準を満たす住宅)+高効率給湯器+省エネ効果に対する報告義務」を条件に補助金を出すことにした。こうした政策はよく行われるもので、「トップランナー方式」と呼ばれる。ここで得られたデータやメディアなどが注目することによって消費者やつくり手の意識を高揚させようということだ。ただ、こうした政府主導のやり方に頼る限り、本来の意味での“環境主義の時代”はやってこない。いま意識ある市民が(つまりみなさんが)自らトップランナーになろうという気概が必要なのだ。
 私が住んでいる隣の町である箕面市というところには「15%クラブ」という環境市民団体がある。このクラブのメンバーは、生活時においてあらゆる環境負荷を与えることに対する15%の削減を自らマニフェストとして宣言し(もちろん省エネやCO2排出量も)、この実現のために個々が試行錯誤し、効率的な方策について情報交換し、その経過を報告し合っている。さらには、その方策や結果を外部(たとえば箕面市)にも伝えている。
 こうした取り組みは決して“特殊なもの”ではない。15%という数値目標も現実を踏まえた妥当なものだ。環境問題の全体を直視し、素直に考えればこうした動きにつながるのが当たり前だと思う。





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