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11.福島~東京みてある記

 一月十五日から十九日まで、福島、東京へ出かけた。高校の修学旅行で日光を訪ねて以来、それより北上したことが無く、仕事とはいえ南東北へ出かけるのは楽しみであった。
仕事依頼先への秘守義務があるため、あまり具体的な内容は書けないが、見て歩いた先での印象などを、かいつまんで書いてみることにする。
 初日、福岡空港を発って東京上野から東北新幹線で新白河へ向かった。二階建ての新幹線車両を見るのは久しぶりだったが、そのあとに入ってきた普通の車両に乗り込む。まもなく都会の密集地を抜けると、関東平野の中に入った。しばらく外をながめていると、集落に付随する屋敷林のいろあいが福岡とは違うことに気がついた。裸になった落葉樹に寄り添うように立っているのは、たいてい濃緑の針葉樹である。時たま照葉樹も見かけるが、量的なバランスからみるとかなり少ない。照葉樹を見慣れている九州の僕からすると、何かうすら寂しい風景だ。本を読んだりうたたねをしているうちに、だいぶ北上したらしく、外に眼をやると、遠方に白く雪をかぶった山並みが見えた。上野から一時間半で新白河着。白河に圃場を所有している某親方の車に乗せてもらって、山間部へ移動。親方が、福島ははじめての僕に、「福島は会津、中通り、浜通りの三つの地域に分かれています」と、親切に教えてくれる。小一時間ほど走ると、薄く雪をかぶった雑木林のような広大な圃場へ入った。土づくりや樹勢回復技術の面でも活躍されておられる親方が、飽きの来ない興味深い話を次々としてくれ、有益な情報を得ることができた。僕たちがよく使用する本に緑化樹木のガイドブックがあり、生育可能な圏域が樹種ごとに日本地図のなかに記されている。福島県というのは、照葉樹とも呼ばれる常緑広葉樹が生育できる北限になっていることが多く、ここから北には落葉広葉樹や針葉樹が多く見られるようになる。いわば、植生が変化するエリアである。新幹線の中から見た光景は、このことを反映していたことになる。親方は、一つ一つの樹種について、「あなたの考えている地域では使えるよ」「関東までは大丈夫だが、そこでは無理だよ」と教示してくれた。樵小屋のような事務所?で温かいお茶をいただいたあと、山越えして、宿泊するホテルまで送ってくださった。ホテルでテレビをつけると、明日の浜通りの気温は6℃~-3℃と告げている。夕食をとりに外に出ると、夜の街は乾いた冷気に包まれていた。太平洋側の小名浜沖は暖流と寒流がぶつかる好漁場で、新鮮で豊富な種類の魚が揚がるというので、小料理屋に入ってみた。土地のものを食べながら(めひかりの一夜干しやイカの沖漬けは最高に美味だった)、朴訥で実直そうな主人とおっとりとした女将の話を楽しんだ。
 二日目は終日、現地調査を行い、空っ風の中を動き回った。三日目、映画「フラガール」の舞台の一つになった施設「スパリゾート・ハワイアンズ」を訪ねた。ホームに足湯のある温泉駅から送迎バスが出ている。建設当時からはずいぶん拡張したらしく、温浴施設、ホテル、記念館などの施設を併せた巨大な複合施設となっているが、賑わっている。外国人の利用客も多く、サービスも親しみをおぼえ、スマートである。僕が幼い頃に行ったことのある別府の温泉施設のように懐かしくなる雰囲気があり、一日楽しめそうな気がした。映画「フラガール」のなかで、植木屋がオープンに間に合うように、亜熱帯の樹を植え付けるために、ストーブを借りてまわるシーンがあったが、前庭には当時植えられたと思われる樹が、ちゃんと根を張って大きく育っていた。冬を越すために藁巻きがなされている樹も多かったが、それなりに土地の風景となっていた。夕刻、上野に着く。昔の職場の先輩と会うことになっていて、大門から大江戸線に乗り、六本木で下車。陽が落ちた都会の建物や通りは、溢れんばかりの光りで照らされている。六本木ヒルズの中にある店で、先輩と共通の知り合い(僕の通った大学の後輩)も一緒に、夕食となったが、仕事上のアドバイスを受けるタイミングを失い、二日後に再度、六本木で会うことにした。
 東京に寄る機会に会いたい仲間がいて、彼らとは二年ぶりである。リーダー格のNさん以外は、Nさんのホームページを介して知り合うようになったのだが、みな良友である。博多から来るというので、夜は江戸の蕎麦を食べてもらい、次に下町の居酒屋へ案内するという趣向で、もてなしていただくことになっているらしい。朝、仲間の二人が住む四ツ木で、Nさんと待ち合わせた。電車が荒川を渡ると、福岡の井尻や高宮あたりに似た町の稜線が姿をあらわし、ホッとする。Nさんに案内していただいて、曳舟や京島あたりを散策することになった。向島と呼ばれる地区一帯は、戦災に遭わなかったところで、下町の情緒が色濃く残っている。まず、向島百花園に寄る。町中の小さなオアシスで、福岡の友泉亭をもっとこぢんまりとしたような庭園である。Nさんに習って、ワンカップ酒をしのばせて逍遙する。初めて見る露地琴(ろじきん)が珍しい。水琴窟をそのまま地上にあげて楽しむような施設で、瓶から付きだした竹筒に耳を持っていき音を愛でる。あとで歩いた商店通りの一画にも、この露地琴が置かれていた。ロウバイがゆかしく香っている庭のあちこちに歌碑が建てられ、都々逸や俳句が刻まれている。芭蕉の句〈蒟蒻(こんにゃく)の刺身も些(すこ)し 梅の花〉はさすがだが、流麗すぎる字が読めないのは凡人のあわれ。藤棚の下にある縁台で、茹で落花生をつまみにして、二人で呑んでいると、強力な道先案内人K子さんが登場した。K子さんは地元、京島育ちのかたである。御主人の仕事の関係で福岡と京島を行ったり来たりされているらしい。三人で、下町散策が始まった。Nさんのすすめで購入しておいたロジコミ京島のマップには、楽しいイラストで長屋、路地、商店街、史跡などが紹介され、まちの形成史が書かれている。それによると、戦災に遭わなかったというより、「地域住民の必死の努力により、奇跡的に消失をまぬがれた」のだそうだ。この続きは、次回に。
 
 









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