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16.夏の花

 北部九州は、平年より二週間ほど早く梅雨があけ、連日30℃を越す暑さだ。昨年八月に日本の観測史上最高となる40.9℃を記録した埼玉県熊谷市にくらべれば、たいしたことはないのだろうが、やはり涼を求めたくなる。
 佐世保の鯨瀬からフェリーで二時間半、上五島の北端に宇久島はある。何度か行ったことがあるが、春のサイクリングや夏場の海水浴・キャンプには、うってつけの島である。周回道路は約20㎞、小学校の正門前にある横断歩道以外、信号が無い。もっとも、教育上、設置したらしい。標高200㍍程度の丘陵地形をなしているけれど、全体的には壱岐の島を小さくしたような平たい島で、平港の東側の大浜、西側のはずれにある汐出浜が美しく、サンドベージュの砂浜、ターコイズブルーの海が広がっている。ふだんは釣人が訪れる島で、あまり知られていないせいか、人も少なく、プライベートビーチのようにゆっくりと海水浴が愉しめる。民宿を利用するなら、事前に頼んでおくと、とびきり新鮮な魚をたべることができる。以前、五月の終わりにサイクリングにでかけた時は、とれたての甘鯛の刺身を食し、その甘い肉質に名の由来を教わったのだった。変化に富む海岸の背後には岬や草原が拡がり、佐賀牛の種牛になる牛が放牧され、のんびりとアザミを食べている。風車がまわる草原や静かな漁村集落、棚田と、穏やかで変化に富む風景が島のあちこちに見られる。(島の人たちは、いつもきれいに掃除をしていて訪問者に親切だが、若者の流出が多く、島の将来を気にかけている。)海岸線の近くには、アコウの樹が多い。アコウはクワ科イチジク属の常緑高木。暖地の沿海地に生え、幹から気根を出し、大きいものは高さ20㍍になる。天草や玄海町でも見たことがあるが、沖縄や八重山諸島などでよく見るガジュマルに近い。五島列島の遠い南西に、同じ東シナ海に弧を描く沖縄、八重山があるのだが、エキゾチックな夏の花、ブーゲンビレアが五月ころから咲き始める。別名、イカダカズラといい、南米原産の常緑蔓性中低木(落葉蔓性との説もある)。花に見えるのは実は三つの苞が集まったもので、赤・桃・橙・黄・白色があるが、なんといっても鮮やかなマゼンタ色がよく知られている。このマゼンタ色は、沖縄、八重山の海の色に絶妙に調和していて、花と海の配色として僕たちには刷り込まれている。ずっと前から続いている沖縄ブームの表れか、福岡でも住宅の門柱にシーサーを置く人がいるが、最近は、庭先にブーゲンビレアをよく見かける。北部九州あたりでは、露地で越冬するのは困難だろうと思っていたが、温暖化のせいだろう。「Botanica」という分厚い図鑑(洋書)には、世界で用いられる10000種以上の庭木が掲載され、巻頭に、世界を対象とした生育可能圏域(Hardiness zone )が示されている(生育可能圏域は、年平均最低気温をもとに作成されている)。これによると、ブーゲンビレアの生育可能圏域は亜熱帯~熱帯にかけてで、日本では愛知~関東の太平洋側と示されている。幼い頃からよく目にした夏の花には、カンナ、ダリア、ザクロ、オシロイバナなどがあるが、ピンク色のオシロイバナは他の花と違った雰囲気があった。ブーゲンビレアは、じつはオシロイバナ科の植物。7月20日の誕生花で、花言葉は「あなたは魅力に満ちている」というらしい。
 






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